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韓国つれづれ

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韓国についての、あれこれを、つれづれと。
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郷の味

郷の味

ようつべの韓国まちあるきライブ配信を見て、以前から気になっていた襄陽のことを調べてみた。

襄陽、なんとなく海のイメージを持たれがちだけど襄陽市街地は江原道北部の山から流れてくる谷筋の集まるところに邑城が築かれ郷校も置かれる「山の拠点市街」だったので、本来の名産品は山の松茸・山菜と川のハゼ(ウキゴリ)でチュオタン/どじょう汁的なハゼ汁「トゥゴリタン(뚜거리탕)」が名物料理ということなんですね…。

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京城の電車ゆめ語り -京城軌道- 3

京城の電車ゆめ語り -京城軌道- 3

 日本統治下で賑わうソウル、いや京城の街。日本人が続々と入植してゆく、京城の近郊。朝鮮時代から内陸水運の河川港として、また渡し場として賑わっていた纛島のまちも、生活の近代化や物流の増加など京城近郊の拠点として重要度はますます高まっていったようです。

 そんな中、大きな転機となる事象がありました。

 1925年7月、京城近郊は大雨に見舞われます。4日降り続いた豪雨により漢江沿岸の集落や施設は大き

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京城の電車ゆめ語り -京城軌道- 2

京城の電車ゆめ語り -京城軌道- 2

 ソウルの、いや京城のまちの電車ものがたりなどをつらつらと「ゆめ語り」しているのですが、初回からの続きをば…
初回記事はコチラに https://note.com/ktnh/n/n672fd69269da

 さて、ソウルが京城と呼ばれていたころの街は、今のソウルより、ずっとコンパクトでした。
 朝鮮王朝時代の首都だった「漢陽府」はヨーロッパや中国に多い城郭都市で、西大門・南大門・東大門、そして街

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京城の電車ゆめ語り -京城軌道- 1

京城の電車ゆめ語り -京城軌道- 1

 ソウルの街を縦横に駆け巡る地下鉄、郊外へひた走る電鉄。いまのソウル都市圏は世界トップレベルの電車ネットワークを誇る街。そんなソウルにも、昔、市内電車が走っていました。

 ソウル(いや当時は漢陽の時代ですね)の市内電車は、朝鮮王朝(大韓帝国)時代の1898年に王室とアメリカ資本との共同出資で設立された電気会社「韓美電気」によって企画され、翌年4月に西大門−鍾路−東大門−清凉里間で開業と、かなり早

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生きる

生きる

ここ数年、写真投稿サイト「flickr」を、よく見ます。
欧米でよく利用されているサービスで、比較的高齢者の利用も多いのか古い写真も多くアップされています。そして従軍カメラマンなどの個人所有写真もアップされたりしており、そのコレクションからは、当時の様々な様子が垣間見られるのです。

冬のソウル郊外を歩く、紳士。これは1946年に撮影されたものだそうで、都市部の撮影が多い昔の写真としては珍しく、7

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異国での汽車旅。【欧州の風になって】

異国での汽車旅。【欧州の風になって】

異国での汽車旅、引き続き、書いてみようかなと…

2014年5月の訪韓は、恒例となっている「まちあるき」だけでなく、列車の旅を愉しむこともテーマとし、敢えて釜山イン・アウトでソウルまで列車で往復するプランに。往路は日本の夜行列車を彷彿とさせる懐かしい汽車旅でしたが、復路は「外国をしっかり楽しむ」ための行程としていました。

まあ「しっかり楽しむ」とか言いながらも、帰国の途にはつきたくないもので、宿

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異国での、汽車旅。【いきなり夜行便】

異国での、汽車旅。【いきなり夜行便】

前回投稿からの続きを、書いていきましょうかね…。

さて、私が海外で初めて本格的な「汽車旅」をしたのは、2014年5月、韓国でした。
2012年から頻繁に訪韓するようになり、交通好きもあってソウル近郊では色々な「のりもの」に乗り、列車にも何度も乗っていました。しかしそれは「移動」のためのものであり、旅情を楽しむためのものではありませんでした。そろそろ、汽車旅を、してみたいなぁ…と。

気が付けば、

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異国での、汽車旅。【プロローグ】

異国での、汽車旅。【プロローグ】

鉄道が好きな、私。
今の旅行好きは、鉄道好きが高じて「そうなった」ものです。
まあ、子供の頃はご近所の私鉄電車が中心で、国鉄というものを認識できる機会もほとんどなく、狭い世界の中のこと、でした。

しかし、国鉄-JRに触れる機会も増え、ほかの「世界(地域)」の鉄道が、少しずつ身近になると言いましょうか、あぁ、つながっているんだなぁ…と実感できるようになりました。

こういうのに乗れば、「どこか」に

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おいしいの裏の、物語。

おいしいの裏の、物語。

先日から改めて、韓国の「食」について、色々と見ていました。
最近は韓国でも各地のローカルメニューなどが改めて注目されているようで、リピーターが多いと言われる日本からの韓国旅行者でも、ソウルや釜山から一歩踏み出した、近隣の名物料理などを食べたりしている人も多いかと思います。もう韓国料理の定番メニューになっているプデチゲも、元はソウル郊外の地方都市で生まれたローカルメニューですね。

さてそんなローカ

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知らない、恐さ。

知らない、恐さ。

気になったことがあり、調べていたら出てきた、自分のツイート。

ソモリクッパ(牛の頭部の肉を使った煮込みスープ料理)のことを改めて調べていたのですが、元々その存在を知ったのは2016年9月の韓国旅行で広州市に行くことになり、何か名物はないのいかな…と軽く検索したのがきっかけ。ソモリクッパと陶磁器(朝鮮青磁・白磁の産地)というざっくりした情報があり、地域の中心市街地なら何かしらそれらしいものがあるだ

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開発と、歴史と。

開発と、歴史と。

昨年末から、再開発に揺れるソウル乙支路地区。
都市防災の意味からも再開発は必要なのですが、開発計画の内容が現在の住民・商業主や街の歴史・特性への配慮が見えず、工事着手のやり方が乱暴だとして批判の声が年明け以降大きくなり、その再開発区域に有名な老舗飲食店が数軒あることから騒ぎが拡大、市長が「事業見直し・老舗の営業継続への配慮」を発表するに至りました。
(経緯などは下の記事をご参照ください)

市長は

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街が、消えゆくとき。

街が、消えゆくとき。

 ツイッターのタイムラインを眺めていたら、リツイートで回ってきたこの投稿が、目につきました。

 ツイ主は、こう語ります。
「文化遺産である清渓川乙支路産業団地を保存してください。ここに住宅団地(高層マンション街)って、何故ですか?!」

 清渓川と言えば、今はソウルを代表する観光スポットであり、近年の都市再開発の世界的先進事例となっている都市河川。

 今はこんな、デートスポットみたいになってい

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何故か1泊することになった釜山 その5

何故か1泊することになった釜山 その5

 前編からカナリ間が空いてしましましたが、交通機関トラブルから予定が変わり1泊することになって色々と見ることができた2017年の釜山の街のことを、つらつらと書いているシリーズ。忘れないうちに、書いていきましょう。

 そんなこんなで1泊して朝を迎え、釜山の現代史が積み重なった「山の街」を見てきた午前。帰国便の時間もあり、あまりゆっくりもしていられずバスで麓に降りてきました。午前中に見たのは旧日本人

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