IaaS/PaaS/SaaSをスーツで捉える?
日本においてもクラウドファーストを掲げ、あらゆるシステムやサービスをクラウドの利用前提とする企業がほとんどになってきています。
今回はIaaS/PaaS/SaaSをテーマとしていますが、それぞれが一体何者なのかを、非IT業界の人たちにも概念を理解してもらえるような内容としています。前半ではつまらない話、後半にはイメージの理解ができる話をしていきます。
(ここでは分かり易く「非IT業界の人たち」と表現していますが、必ずしもIT業界以外の人たち全般という意味ではなく、日頃ITとの関りが薄い人たちと読み替えてください)
なので、IT業界の人たちからすると、「正確に言うと・・・」のような、つつきたい重箱の隅的な内容もありますが、非IT業界の人たちにも雰囲気を理解してもらうことを重要視しているという点を先にことわっておきます。
クラウドとは
クラウドとは、インターネットに接続することを前提とする各種サービス。クラウドでは、コンピューターのリソース(Disk、メモリ、CPUなど)や、アプリケーション、OSなど、様々なサービスが提供されており、ユーザは自分の目的に沿ったサービスをチョイスし、サービスの利用量に応じた費用を支払うことになります。
クラウド導入のメリットや、細かい内容はメガクラウドベンダーのHPを参照ください。
AmazonWebService クラウド(クラウドサービス)とは?
これまでは必要なリソースは全て個別に調達し、ネットワークやサーバ、パソコンやソフトやセキュリティに至るまで、自分たちで準備やセットアップをしなければならなかったのが、パソコンの画面上にあるボタンをポチポチと押し進めれば、いつのまにか必要なコンピューターの環境が出来上がっているというわけです。
ここで題名にも掲げているIaaS/PaaS/SaaSについて、業界的なわかりにくい説明をします。
IaaS・・・Infrastructure as a Service
OS以上のレイヤーはユーザ側で準備・管理する必要がある
PaaS・・・Platform as a Service
OSやミドル上に載せるアプリケーション・データをユーザ側で
準備・管理する必要がある
SaaS・・・Software as a Service
ユーザ側での準備は必要なく、インターネットに繋がる
デバイスがあれば即日利用することが可能(極端な表現ですが)
いずれのサービスにおいても、最終的なユーザの目的は何かしらのシステム・アプリケーション・ソフトウェアを作って、業務システムやサービスを立ち上げたい、という点にあります。
次章では、この3つのIaaS/PaaS/SaaSを使って、「業務システムやサービスをつくりたい」、を「スーツを仕立てる」という例えを用いて違いのイメージを説明します。
この説明を通して、3つのサービスを使ってシステムを作る、ということがどのようなことなのか、雰囲気を掴んでもらいたい。
IaaS
IaaSでシステムを作る、とは麻布テーラーのフルオーダースーツ
フルオーダースーツ
あなたは新しくスーツを仕立てたいと思っている。自分にピッタリのサイズで、ボタンや裏地なども一品ものにこだわりたい。生地もイタリアからのインポートものが肌触りが良くて、人と被らないものが良い。
吊るしのスーツと比べるとお値段は張ってしまうし、納期も1カ月も先になってしまう。色々と選んだり悩んだりする必要があるので、正直面倒くさい。
しかし仕方のないことだ。それが仕立てのスーツというものだ。
IaaS
IaaS=リッチな仕組み、ということではない。あくまで、細部までこだわれる、という点でフルオーダースーツと対比している。
またWindowOSしか使えない、RHELしか使えないといった制約はなく、どのようなシステム(スーツ)を作りたいのか?を前提にして、構築を進めることができる。(※厳密に言うと、制約はある)
スペックも柔軟に選択することができる。もちろんいくつかの選択肢の中からになるが、こちらも作りたいシステム(スーツ)に合わせることができる。ただし、コストとデリバリーは、フルオーダースーツと同様に、それなりにかかってしまう。
PaaS
PaaSでシステムを作る、とはSUIT COMPANYのパターンオーダースーツ
パターンオーダースーツ
あなたは新しくスーツを仕立てたいと思っている。それなりにこだわって仕立てたいが、予算と納期の都合上、今回はパターンオーダーで作る。
いくつかあるパターンの中から、出来合いのものを選ぶ必要がある。しかし、出来合いのものといってもそれなりのクオリティで、安く早くつかうことができる。しかも最近だとパターンがたくさんあり、一からオーダーするのと変わらないクオリティ。ただし、細部の仕様に拘ることができないため、我慢しなければならないことも多少はある。
フルオーダースーツほどではないが、それなりにピシっと自分の体形に合ったスーツを1週間程度で仕立てることができる。それがパターンオーダースーツだ。
PaaS
予め部品化されたサービスを使うことができる。例えば、IoTの自販機管理システムを作りたいとする。一からIaaS上にIoTシステムを作るのはコスト的にもデリバリ的にも難しい。しかし、PaaS群の中にIoTプラットフォームの部品があれば、簡単にIoT自販機管理システムを作ることができる。
ただし、帯に短し襷に長しまではいかないにしても、あと少しで満点なのに、となってしまう機能もでてきてしまう。が、そこは我慢をしなければならない。
SaaS
SaaSを使うとは、青山の吊るしのスーツを買うということ
吊るしのスーツ
あなたは新しくスーツを仕立てたいと思っている。しかし予算も納期も無いので、吊るしのスーツを買うことにした。
しかし最近の吊るしのスーツは悪くはない。それなりに良い生地を使って大量生産しているため、一着ごとのコストはかなり抑えた形で買うことができる。それにサイズ感についても、ちょっとした裾や袖の長さや幅の調整はしてもらえる。デザインだって、万人受けするような無難なデザインだから、こちらが無理に合わせている感じも少ない。
コストも安く済むし、納期だって早ければ翌日には受け取ることができる。それが吊るしのスーツだ。
SaaS
近年SaaSを利用する企業が、体感的に以前よりも増えている。
従来日本では、システムを業務に合わせて作るというのが一般的であったが、近年は業務をシステムに合わす、という欧米では当たり前のことが日本でも習慣付きし始めている。(業務をシステムに合わさないとSaaS利用の価値が無い)
基本的にSaaSは個別のカスタマイズができないが、吊るしのスーツと同様に、ちょっとした手入れぐらいはすることができるが、基本的にはそのまま使ってもらうというのが大前提の仕組みだ。
編集後記
元々、SaaS(ASP)という概念が一般化してきていた10年前に、スクラッチSI/パッケージ/SaaSの説明をする際にたとえ話として使っていました。
それを今回IaaS/PaaS/SaaSに当てはめてみましたが、若干無理のある部分がありながらも、非IT業界の人たちには雰囲気を掴んでもらえるのではないでしょうか。
大事なことは
どのような事を実現したいのか。
そのためにどのようなシステムが必要なのか。
システムを作る上で、細部まで拘る必要があるのか、そこそこ機能た満たされていれば良いのか、出来合いのものを使ってそれに業務やサービスを合わせれば良いのか?であると考えています。
以上
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?