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車を買うと節税になるのはなぜか…という話。

ksk_bizの記事を見に来てくれてありがとうございます!
今日は、節税でよく言われる「車の購入」について書いていこうと思います。

僕はいま、法人経営をしながら個人でも経理を教えたり会計サポートをしたりしています。
先日も個人事業をしている方に経理を教えていて、
そこで話に出たのが「節税で車を買う」ことについてでした。

実は車を買うだけではあまり節税にならず、節税できる条件があったりするので良ければ最後まで見ていって下さい!

なぜ車を買うことが節税になるのか?

そもそも、税金とは一年間でうまれた所得に対して決まった税率を掛けてきまります。
そして所得とは「収入ー経費」でもとめられるものです。

車を買ってそれを事業で使うのならそれは経費と認められて、
所得が低くなる。
結果、税金が少なくなるという流れになります。
シンプルな話ですよね。

減価償却という仕組み

ただし、車のような高額(10万円以上)何年も使えるようなものは買ったその年に全額経費にすることはできません。

例えば、
「今年300万円の収入がありそうなので300万円の車を買って経費にすれば
所得は0円になって税金もかからないじゃん!」
とはできないのです。
(実際に収入300万円で300万円の車を買うなんてしないと思いますが笑)

なぜなら減価償却という仕組みがあり、高額で何年も使えるようなものは
「これは〇〇年使えるものだから、その年数で少しずつ経費にしなさい!」と国がルールを決めているのです。
※この年数を法定耐用年数といいます。

普通車でいうと、一般的に耐用年数は6年なので300万円の車を買ったら、
毎年50万円ずつ経費にしていき、6年間かけてようやく全額の300万円を経費にできるということです。

つまり、今年に限って言えば300万円のお金を払って50万円しか経費にできないという節税の面から言うとコスパが悪いことになります。
まぁ、来年はお金を出さずに経費にできるのですが、来年の利益が見込めていないようであれば経費にしても無駄になりますよね。

ではなぜ、「節税のために車を買う」という話が世の中に出回っているのか。
それは減価償却には特例があるからなのです。

車を全額その年の経費にするには

車を買ってその年に全額経費にする方法を2つお伝えします。
1、少額減価償却資産の特例を使う
2、簡便法により耐用年数を算定する

少額減価償却資産の特例

先ほどにも書きましたが、10万円以上の金額のものは減価償却をする必要があります。
ただし特例があり、30万円未満であれば減価償却をせずに全額経費にすることができるのです。

それなら30万円以上の金額から減価償却というルールにすれば良いのでは?
となりますよね…
でもそうではなく、10万円以上を減価償却するのは原則です。
30万円未満は全額経費にするか、減価償却をするか選択できるというのが
大事なのです。
(みんながみんな全額を経費にしたいというわけではないんですね。)

これはあくまで特例であり条件があります。
1、青色申告をしていること
2、年間の上限額が300万円まで
3、適用期限:2026年3月31日までの特例(2024年7月現在)

つまり、30万円未満の車であれば全額その年の経費にすることが可能ということです。
でも30万円だとあまり節税効果が無いような感じがしますよね…。
そこで2つめの方法です。

簡便法により耐用年数を算定する

これは、減価償却の方法耐用年数の考え方組み合わせて利用する
方法です。

まずは耐用年数についてですが、
先ほど「これは〇〇年使えるものだから、その年数で少しずつ経費にしなさい!」と国が耐用年数を決めていると言いましたよね?
普通車の場合、この年数は6年と決められています。

確かに新車であれば6年は使えるかもしれないですが、中古の場合はどうでしょう?
もっと使える期間が短くなるはず!と思いますよね。
国もそれを認めているんです!
(実際は10年とか乗れそうですけどね)

「中古資産の耐用年数の算定」というルールがあり、ある程度年数が経っている場合、その分耐用年数を短くして良いよというものです。
※耐用年数を計算する式があるのですが、ここでは割愛しますね。

普通車で言うと、4年落ちの中古だったら耐用年数は2年で良いよということになるんです。
これなら、節税効果は3倍にも膨れ上がりますね!

300万円の普通車で新車の場合は6年償却で今年の経費は50万円ですが、
中古4年落ちの場合は2年償却で今年の経費は150万円ですもんね!

…いやいや全額経費にできるって言ってなかった?と思いますか?
実は最初に言った「減価償却の方法」にもひと手間加えれば、
全額経費にできるんです!

定額法と定率法

減価償却の仕方には定額法と定率法というものがあります。
(他にも方法はあるのですがここでは割愛します)

定額法とは、購入金額を耐用年数で割って毎年同じ額(定額)減価償却して
経費にしていきましょうというものです。
先ほどから話しているのはこの方法ですね。

一方の定率法とは、毎年残っている価値に耐用年数で決められた率を掛けて減価償却していくという方法です。

例えば、
新車300万円
耐用年数6年
の場合、
購入時の価値は300万円で、償却率は0.333となります。

最初の年は価値3,000,000円に償却率0.333を掛けて経費にできるのは999,000円ということになります。
すると残った車の価値は2,001,000円となります。

次の年は価値2,001,000に償却率0.333を掛けて経費にできるのは
666,333円ということになります。
残った価値は1,334,667円となります。

このように、定率法では最初の年にたくさん減価償却できて、
だんだん減っていくという特徴があります。

そしてここが大事なのですが、
定率法の場合、耐用年数2年の償却率は1なのです。
つまり耐用年数2年の資産はその年に全額経費にできるのです!

このことから、
4年落ち中古車の場合、
「中古耐用年数の簡便法」を使い耐用年数2年となり
「定率法」を使い償却率が1となり
結果、買った年にそのまま経費にできる。
という流れになるのです。

ただ一点、
個人事業主の場合、原則として定額法で減価償却をしなければなりません。
定率法をで減価償却をするには事前に届出が必要になりますのでご注意ください。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
資産は減価償却するという基本は分かっていても、それをどう活用するのかというのはなかなか知る機会が無いですよね。
こうやって決まったルールを組み合わせることで色々なことができるというのは個人的には面白いなあと思います。

また、こうすれば節税できる!というアドバイスをもらったときに
「そうなんだ」と鵜呑みにせずに「なぜだろう」「そういうことか」と
理解して選択していくことが大事なんだと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました!
また次回も良ければ見ていってください!

※僕は税理士ではないので実際に節税を実行するときには専門家としっかり
相談するようにしてくださいね。

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