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短編小説「ぺりとんとん」

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小学生の時以来に書いた、短編小説です。
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ぺりとんとん_第1話

ぺりとんとん_第1話

白い木に実が成っている。
それを取ろうとしたけれどあとビー玉一つ分だけ手が届かない。
何度も手を伸ばしているうちに実が大きくなって、
後3回トライしたら辞めようと思ってから2回目で手が届いた。
触れてみると思っているよりも少し冷んやりしていて、
それを持った手だけが夏の海辺でコーラの缶を持つあの瞬間にいる様だった。

僕はしばらくその実を眺め続けた。
中身が気になったけれど、あんまりにも綺麗な実だ

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ぺりとんとん_最終話

ぺりとんとん_最終話

「ワロタ」

3階くらいの高さの木の幹に蛇口がある状況と
なぜか幽体離脱して公園の真ん中で寝転がっている自分を俯瞰している自分に対してまず僕はそう言った。
不思議と恐怖なく、今この瞬間を本能的に理解していた。

当然、こんなところに蛇口があって捻らないほど僕は大人ではなく、
好奇心に少しだけ勃起しながら一目散に捻りに行った。

誰も触らない様なところにあるのにその蛇口は新品の様にピカピカだった。

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