近代食文化研究会

近代の食文化史を研究しています https://amzn.to/2YvXK9s 『なぜ…

近代食文化研究会

近代の食文化史を研究しています https://amzn.to/2YvXK9s 『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』『お好み焼きの戦前史』『牛丼の戦前史』『焼鳥の戦前史』等出版中です。twitter https://twitter.com/ksk18681912

最近の記事

戦前の絹ごし豆腐は絹で濾していた---絹で濾さなくなったのは「軍用機」生産がきっかけ

メルクマール記事、公開しました。 第二次世界大戦前の絹ごし豆腐はその名の通り絹で濾していました。 記事中のソースは国立国会図書館デジタルコレクションで確認できますので、ぜひご自身の目で確認してください。 デジタルコレクションを「絹漉し豆腐」「絹漉豆腐」で検索すれば、「絹ごし豆腐=絹布で濾した豆腐」であることを示す、数多くの戦前の資料があることがわかります。上記三例はチェリーピッキングではないのです(国会図書館IDを持たない人でもログインなしで参照できる資料を選んでいます

    • 新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 コリーン・テイラー・セン『カレーの歴史』の問題点について

      新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 『新しいカレーの歴史 上』では、「さらなる研究のための英語文献案内」として、英語圏の各種研究書を解説とともに紹介しています。 リジー・コリンガムの『インドカレー伝』を含め、日本語で出版されているカレー史の本でおすすめできる本はほとんどありません。しいて挙げるならばコリーン・テイ

      • 新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 リジー・コリンガム『インドカレー伝』の問題点(その2)

        新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 日本語に翻訳された海外のカレー史の本として、手軽に入手できるリジー・コリンガム『インドカレー伝』。 他の海外のカレー史の本、David Burnett, Helen Saberi『THE ROAD TO VINDALOO』、David Burton『THE RAJ AT TAB

        • 新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 リジー・コリンガム『インドカレー伝』の問題点(その1)

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 日本語に翻訳された海外のカレー史の本として、手軽に入手できるリジー・コリンガム『インドカレー伝』。 他の海外のカレー史の本、David Burnett, Helen Saberi『THE ROAD TO VINDALOO』、David Burton『THE RAJ AT TAB

        戦前の絹ごし豆腐は絹で濾していた---絹で濾さなくなったのは「軍用機」生産がきっかけ

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 「ビートン夫人に学ぶシチュー(stew)」(その2)

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 19世紀イギリスのカレーはstewの一種として認識されていましたが、当時のstewは現在の日本の「シチュー」や、現在のイギリスの「stew」とはその概念自体が全く異なります。 かつてのイギリスカレーを理解するためには、かつてのstewがどういうものであったかを理解する事が必要で

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 「ビートン夫人に学ぶシチュー(stew)」(その2)

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 「ビートン夫人に学ぶシチュー(stew)」(その1)

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 19世紀イギリスのカレーはstewの一種として認識されていましたが、当時のstewは現在の日本の「シチュー」や、現在のイギリスの「stew」とはその概念自体が全く異なります。 かつてのイギリスカレーを理解するためには、かつてのstewがどういうものであったかを理解する事が必要で

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 「ビートン夫人に学ぶシチュー(stew)」(その1)

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 “その7 イギリスのカレーと「ルー(roux)」その2

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 『新しいカレーの歴史 上』冒頭部分無料公開 その6です。 その7 イギリスのカレーと「ルー(roux)」(その2) 辛島昇は2009年に著した『インド・カレー紀行』において上記のように主張するが、一般的な19世紀のイギリスカレーはルーを使用しないし、小麦粉を使用しないレシピ、小

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 “その7 イギリスのカレーと「ルー(roux)」その2

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 “その6 イギリスのカレーと「ルー(roux)」

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 『新しいカレーの歴史 上』冒頭部分無料公開 その6です。 その6 イギリスのカレーと「ルー(roux)」(前回「その5」の後に、森枝卓士がイギリスの料理書をほとんど読まずにでっちあげたデタラメなイギリスカレー像と、主要な料理書から浮かび上がる本当のイギリスカレーについての説明が

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 “その6 イギリスのカレーと「ルー(roux)」

          グラナダTV版「シャーロック・ホームズの冒険」の「海軍条約事件」における、奇妙な原作改変について

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 新刊では第五章において、「シャーロック・ホームズに学ぶ19世紀末のカレー」と題し、「海軍条約文書事件」「白銀号事件」のカレーを分析しています。 今回は脇道にそれて、グラナダTV版の原作改変の理由について推理してみます。 グラナダTV版「シャーロック・ホームズの冒険」の「海軍条

          グラナダTV版「シャーロック・ホームズの冒険」の「海軍条約事件」における、奇妙な原作改変について

          新刊一部公開『新しいカレーの歴史 上』 第五章:シャーロック・ホームズに学ぶ19世紀末のカレー(その3)

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 以下に、「第五章:シャーロック・ホームズに学ぶ19世紀末のカレー」の一部を、試し読みとして公開します。 5.ホームズはどうやってカレーを食べたのか?  次の画像は「海軍条約文書事件」における、チキンカレーが並べられた朝食の挿絵である。カレーの盛り付けはビートン夫人のような、真

          新刊一部公開『新しいカレーの歴史 上』 第五章:シャーロック・ホームズに学ぶ19世紀末のカレー(その3)

          新刊一部公開『新しいカレーの歴史 上』 第五章:シャーロック・ホームズに学ぶ19世紀末のカレー(その2)

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 以下に、「第五章:シャーロック・ホームズに学ぶ19世紀末のカレー」の一部を、試し読みとして公開します。 4.「白銀号事件」のマトンカレーはどのようなカレーだったのか?   カレーが登場するもう一つの作品が「白銀号事件」。名馬「白銀号」が失踪し、調教師であるストレイカーが殺害さ

          新刊一部公開『新しいカレーの歴史 上』 第五章:シャーロック・ホームズに学ぶ19世紀末のカレー(その2)

          新刊一部公開『新しいカレーの歴史 上』 第五章:シャーロック・ホームズに学ぶ19世紀末のカレー(その1)

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 以下に、「第五章:シャーロック・ホームズに学ぶ19世紀末のカレー」の一部を、試し読みとして公開します。 1.なぜホームズはハドソン夫人を称賛したのか?  シャーロック・ホームズシリーズにおいては、1892年発表の「白銀号事件」、1893年発表の「海軍条約文書事件」においてカレ

          新刊一部公開『新しいカレーの歴史 上』 第五章:シャーロック・ホームズに学ぶ19世紀末のカレー(その1)

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 19世紀イギリス料理書主要5冊カレーレシピ一覧

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。  イギリスカレー史の研究家には、レシピを読まずにデタラメを書く人がいるので(というかそんなのばかり)、実際にレシピを読んで騙されないようにしましょう。  19世紀を代表するベストセラー(版数をかさねた)料理書を5冊選び、カレーレシピを抽出しまとめました。 19世紀イギリス料理

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 19世紀イギリス料理書主要5冊カレーレシピ一覧

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 “その5 イギリス人にとってカレーは残り肉を処理する料理”なのか

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 『新しいカレーの歴史 上』冒頭部分無料公開 その5です。 その5 “イギリス人にとってカレーは残り肉を処理する料理”なのか(前回の「その4」の後にドライカレーの起源について、カレー粉と同じく重要なアングロインディアンの発明=カレーペーストについての説明が入りますが、この無料公開

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 “その5 イギリス人にとってカレーは残り肉を処理する料理”なのか

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 その4(続き) 他社製品の模倣品、劣化コピーとの評判だったC&Bのカレー粉

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 『新しいカレーの歴史 上』冒頭部分無料公開 その4の続きです。 その4(続き) 他社製品の模倣品、劣化コピーとの評判だったC&Bのカレー粉 このように輸入物か国産物かは不明だが、19世紀半ばまでには、様々な店舗から様々なブランドのカレー粉やカレーペーストが販売されていた(カレー

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 その4(続き) 他社製品の模倣品、劣化コピーとの評判だったC&Bのカレー粉

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 その4 イギリスにおけるインド産カレー粉の普及と国産化

          新刊『新しいカレーの歴史 上』〈日本渡来以前の諸国のカレー〉発売中です。よろしくお願いいたします。 新刊では海外の最新研究動向をふまえ、嘘・間違いだらけの日本のカレー史研究を全面的に刷新します。 『新しいカレーの歴史 上』冒頭部分無料公開 その4です。 4.イギリスにおけるインド産カレー粉の普及と国産化  このようにカレー粉とは、アングロインディアンたちがインドにおいて生み出したものであり、イギリス本土において最初に普及したカレー粉は、インドから輸入されたものだった。

          新刊無料公開『新しいカレーの歴史 上』 その4 イギリスにおけるインド産カレー粉の普及と国産化