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大人はもっと綺麗だと思ってた

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田舎の芋少女が都会のリアルに汚されていくお話。
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2021年10月の記事一覧

大人はもっと綺麗だと思ってた⑷

それから毎週のように私たちは会っていた。

会う度に彼は、
「次はあそこ行きたい」「これ食べ行こう」
と次の話をしてくれた。

ある日いつも通り二人で部屋でくっつきながら、紅葉の特集をしているテレビ番組を見ていた。

「ねぇ私、紅葉が終わる前に見に行きたい」

私なりに勇気を振り絞って誘う。

「ええやん、行こう、どこが綺麗かな?」

嬉しそうにスマホで調べ出す彼に、
すぐにでも気持ちを伝えたくな

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大人はもっと綺麗だと思ってた⑶

翌週、私たちは夜景をリベンジする為、車を走らせていた。

「疲れたら変わるからね?」

お互い免許を持っていたので、車の運転は交代交代で行こうと話していた。

「俺の最近ハマってる曲流してあげる。」

彼がおもむろに曲を選んだ。

歌詞が今の二人をそのまま表しているようで、少し気まずくなった気がした。
私だけだったろうけど。

「ここから山道だね、道細いな…」

山の麓につき、車のライトをハイビー

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大人はもっと綺麗だと思ってた⑵

それは大学二年の秋、部活の試合で他大学へ遠征した時の事。

「部活楽しいですか?」

話しかけてきたのは、相手大学の選手。

試合の裏方で仕事をしている時、
相手も同じ場所で試合の補助をしていた。

手さえ動かしていればいいので、
私達は口の暇つぶしに会話を始めた。

「高校はどこ?」
「この選手はどういう選手?」

最初は部活の話をしていたが、
次第にプライベートの話になっていった。

「彼女は

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大人はもっと綺麗だと思ってた

私は男が嫌いだ。

すぐに嘘をつくし、精神年齢低い人が多い。
適当な所ばかりで馬鹿みたいな言動も多い。

本当に大っ嫌いだ。

なのに私は、その男達にとっての『都合のいい女』を演じ続けている。

.

二年前の秋、私は大学に通うために田舎のちいさな町から都会に出てきた。

恋愛もろくにしたことがなく、恋愛年齢は恐らく中学二年生くらいで止まっている。

素敵な出会いがあればいいなぁと、
呑気に考えな

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