koyahiro

好きなこと  ○映画を観ること  ○本を読むこと  ○コントラバスを弾くこと  ○相方…

koyahiro

好きなこと  ○映画を観ること  ○本を読むこと  ○コントラバスを弾くこと  ○相方と一緒に旅行をすること  その他 ○LGBT🏳️‍🌈

最近の記事

書籍「運は遺伝する」(橘玲&安藤寿康著/NHK出版新書)

科学技術の発達によって遺伝子の研究が進むにつれ、知力、能力、性格、さらには環境や運まで、人間社会のあらゆる面を「遺伝の影」が覆っており、それから誰も逃れられないことが明らかになってきています。 この本は、そういう行動遺伝学に関する最新の科学的事実を対談形式で説明している本です。 これまでは、遺伝子の影響を大きく認めることは、人間を峻別したり、人間の努力を無にするような方向を持つため、「タブー」(言ってはいけないこと)とされてきました。 しかし、上記のような事実が明らかになっ

    • 映画「かづゑ的」(2023年日本/熊谷博子監督)

      ハンセン病(らい病)回復者の宮崎かづゑさんを追った、8年間のドキュメンタリー映画です。 何度も泣いて、そして笑いました。 私は今後、「これまでみた中で一番良かった映画は?」と聞かれたら、この作品を挙げることにしようと思っています。 それくらい、胸にずしんと響く、凄みのある傑作だったんです! それにしても、かづゑさんの聡明さには驚かされます。 何よりも、彼女が発する言葉がどれも秀逸! そんな彼女の言葉や行動を通じて、人間が生きていく上で重要なことをたくさん教えてもらいまし

      • 書籍「ジェンダー史10講」(姫岡とし子著/岩波新書)

        女性史とジェンダー史のこれまでの軌跡を、家族、身体、福祉、労働、戦争、植民地などの観点から総合的に紹介している本です。 次のような点について、興味深く読みました。 〇 我々が一般的に思い描くような家族、すなわち、夫婦や親子が強い愛情で結ばれた、私的で閉鎖的で親密な、そして性別役割分担によって女性がケアを担当する「家族」は、まだ250年あまりの歴史しかない。   これを「近代家族」というが、1980年代から崩壊し始めている。 〇 男性/女性について、力強さ/弱々しさ、大胆

        • 映画「PERFECT DAYS」(2023日独合作/ヴィム・ヴェンダース監督)

          傑作でした! 特に、「ノマドランド」や「ケイコ耳を澄ませて」などの、後からジワジワくる静かな映画を観るのが好きな方にお勧めです。 ★ ★ ★ 主人公(役所広司)は、古いアパートに一人で暮らしています。 仕事は、公衆トイレの清掃員です。 風呂が無いので銭湯に通い、 洗濯機が無いのでコインランドリーで洗濯します。 テレビもインターネットもないのですが、 古本屋で買った本を読み、カセットテープで音楽聴き、たまに行きつけの飲み屋に行くなどして、それなりに楽しそうに暮らしていま

        書籍「運は遺伝する」(橘玲&安藤寿康著/NHK出版新書)

          書籍「街道をゆく40 台湾紀行」(司馬遼太郎著/朝日文庫)

          年末年始に台北と台中を訪れからというもの、 すっかり台湾にお熱になってしまいました。 今回読んだ台湾の本は、 司馬遼太郎が1993年に台湾をぐるっとまわったときの紀行文です。 司馬遼太郎のような知識があると、 同じ場所を旅行してもこんなにも豊かな物の見方ができるのかと、改めて驚かされました。 しかも、司馬遼太郎は、次のような話を、 現地で出会う人々との対話を織り交ぜつつ、しかも読む者を飽きさせることなく、生き生きと描いているので、 その文章技術の高さを改めて思い知らされ

          書籍「街道をゆく40 台湾紀行」(司馬遼太郎著/朝日文庫)

          1+2+3+4=-1/12 ???

          昨年末に見た、NHKの「笑わない数学」という番組が、常識では考えられない奇妙な話をしていました。 そのときからずっと頭を離れなくなるほどの奇妙な話だったので、ここに書き留めておきます。 なんと、  1+2+3+4+・・=-1/12  という常識ではありえない数式が、数学的に成り立つというのです! https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/episode/te/994GL1M8Y8/ 要するに、すべての自然数の総和は「無限大(∞)」ではなく「-1

          1+2+3+4=-1/12 ???

          書籍「箱の中」(木原音瀬著/講談社文庫)

          傑作でした! 痴漢の冤罪で服役することになった30代の公務員が、刑務所で奇妙な男と出会う話です。 そして、出所した2人は、数奇な運命をたどることになります。 ところで、この小説は「BL小説」に分類されるのだそうです。 そもそも著者の木原音瀬(このはらなりせ)は、BL小説界では非常に有名な作家であるとのことですが、これまで全く存じ上げていませんでした。 でも、この小説は、一般に考えられている「BL小説」(読んだことないけど)とは異なり、 全くもって、美しくもないし、うっと

          書籍「箱の中」(木原音瀬著/講談社文庫)

          映画「ディア・ハンター」と「ミッション」

          観たいと思いつつ30年間も観損なってきた映画を、やっとDVDで観ました! きっかけは、NHKの「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」という番組で、時代を象徴する映画として紹介されていたからです。 ■ ディア・ハンター(1978アメリカ/マイケル・チミノ監督)   ベトナム戦争で心身に深い傷を負った男たちの苦悩と、戦争の狂気を描いた作品です。      この時代に特有の「社会への怒りと諦め」的な空気がよく伝わってきて、切なくなります。   故八代亜紀の「舟唄」や、イーグルスの

          映画「ディア・ハンター」と「ミッション」

          書籍「『今どきの若者』のリアル」(山田昌弘編・共著/PHP新書)

          16人の専門家が書いた、若者の思考や実態などを分析した本です。 印象に残った点を2つ記載します。 1 若者の「本離れ」は事実ではないとのことです。【飯田一史氏】   それどころか、データを見ると、不読率(本を読まない人の率)はむしろ下がっています。これは意外でした。   なお、ここでいう不読率は「書籍」に関するものであって、「雑誌」は含まれていません。  「雑誌」は、やはり圧倒的に読まれなくなっていて、かつて「雑誌」が提供していた鮮度の高い情報や暇つぶしはインターネット

          書籍「『今どきの若者』のリアル」(山田昌弘編・共著/PHP新書)

          書籍「青い壺」(有吉佐和子著/文春文庫)

          有吉佐和子文学の傑作と言われており、まさにその評判どおりの本でした。 話は、ある陶芸家が焼き上げた一つのうつくしい青い壺をめぐる13の連作短編集となっています。 青い壺は、売られたり、贈呈されたり、盗まれたり、海外に持ち出されたりして、持ち主を次々と変えていきます。 そしてその度に、壺は、遺産相続争い、病気、嫁姑の関係などのさまざまな人間模様の中に身を置いて、周囲の人たちの人生の「観察者」となっていきます。 ★ ★ ★ ということでこの本は「壺目線」の小説なのですが、

          書籍「青い壺」(有吉佐和子著/文春文庫)

          大谷翔平 AIを使ったデザイン革命(データオタクの時代がやってきた)

          私は、野球には1ミリも興味がなく、 「どうやら、日本の野球にはセとパの2種類があり、アメリカには大リーグというものがあるらしい」という程度の関心しかありません。 しかし、そんな私であっても、 先日放送された「NHKスペシャル メジャーリーガー大谷翔平2023」を興味深く見入ってしまいました。 なぜなら、大谷のトレーニング方法があまりにも「革命的」なものだったからです。 番組は、大谷が3年前から、特別なトレーニング施設(「ドライブライン」と呼ばれている)に通い、デジタル技術

          大谷翔平 AIを使ったデザイン革命(データオタクの時代がやってきた)

          映画「ゴジラー1.0」(邦画/山崎貴監督)

           こ、これは、ゴジラ映画の傑作です!  とにかくまずは、SFX技術のクオリティの高さに驚かされました。  そして、この作品ではじめて、ゴジラに「恐怖」を感じました。  単なる「怪獣映画」に収まりきらない恐怖を感じたんです。  それは、反撃しても反撃しても、すぐに再生して、圧倒的な力をもって意味もなく攻撃してくる得体のしれない不条理に対する恐怖です。  脚本もよくできていて、アメリカでは「人間が描かれている」として高く評価されて大ヒットしているとのことです。  主な舞台は

          映画「ゴジラー1.0」(邦画/山崎貴監督)

          大河ドラマ「どうする家康」が終わりました。

          主要キャストがジャニーズで占められていた大河ドラマが終わりました。 このドラマが始まった年始には、 一体誰が、 「最終回を迎えるまでにジャニーズ事務所が消える」と予想していたでしょうか! 世の中は、たった1年で大きく変わってしまう。 ・・そう考えると、恐ろしさすら感じます。 それにしてもこのドラマ・・。 1 家康は、本当は無欲なウサギのような人だった。 2 家康の周りの人たちもいい人たちばかりで、家康はみんなに愛されていた。 3 家康が天下を取ったのは、決して野心からで

          大河ドラマ「どうする家康」が終わりました。

          LGBTの家探し!

          4月にパートナーが東京に戻ってくるので、二人で「一緒に住む賃貸住宅」を探し回っています。 その際に感じたことや発見したことを記載します。 ① まずは、今の不動産屋は、「LGBTで同居する賃貸住宅を探してます」と言っても特段驚かない、ということに驚きました。 ② でも、結局は「大家さんに理解があるかどうか」にかかっているので、物件は極めて少ないです。 ③ 大家さんに理解がある場合でも、LGBTの場合は、男女の場合とは異なり、契約名義人だけでなく同居人も詳しく審査されます

          LGBTの家探し!

          映画「首」(2023邦画/北野武監督)

          本能寺の変に至る武将たちを描いた作品。 とにかく、どの武将も漏れなく「クズ」なのです! 利己的で、暴力的で、嫉妬深く、非道であり、正義のかけらもありません。 特に興味深かったのは、ルイス・フロイスが次のように記録していた「当時の日本の様子」が、きちんと描かれていたところです。 ■ 「日本人は、切断した人間の首を、まるで羊か犬の首を運搬するように、なんの感情もあらわさずに持ち歩いている」 ■ 「ソマドの罪(男色)が神々によって禁じられ、いかに忌むべき罪であるかを滔々と述べた

          映画「首」(2023邦画/北野武監督)

          映画「シチリア・サマー」(2022年イタリア作品/ジュゼッペ・フィオレッロ監督)

          1982年のイタリア・シチリア島を舞台として、16歳と17歳の少年同士のみずみずしい恋を描いた作品です。実話を基にしているとのことです。 https://eiga.com/movie/100063/ いろんな意味で美しい映画なのですが、 そうであるからこそ、最後に突然訪れる悲劇に心を激しく打たれます。 「どうして許されないの?」 「いったい何が問題なの?」 男社会(ホモソーシャル)は、 ミソジニー(女性蔑視)とホモフォビア(同性愛嫌悪)によって成り立っています。 そして、

          映画「シチリア・サマー」(2022年イタリア作品/ジュゼッペ・フィオレッロ監督)