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書籍「『今どきの若者』のリアル」(山田昌弘編・共著/PHP新書)

16人の専門家が書いた、若者の思考や実態などを分析した本です。

印象に残った点を2つ記載します。

1 若者の「本離れ」は事実ではないとのことです。【飯田一史氏】
  それどころか、データを見ると、不読率(本を読まない人の率)はむしろ下がっています。これは意外でした。

  なお、ここでいう不読率は「書籍」に関するものであって、「雑誌」は含まれていません。
 「雑誌」は、やはり圧倒的に読まれなくなっていて、かつて「雑誌」が提供していた鮮度の高い情報や暇つぶしはインターネットに代替されてしまったそうです。


2 若者が文章を書くのが下手になったというのも事実ではないとのことです。【ひきたよしあき氏】
  それどころか、様々な様式、レポート、論文などの公的な文章は、昔に比べて、稚拙な文章や破綻している内容の数がずっと減っているとのことです。これも意外でした。
  その理由は、圧倒的な情報量と編集力の向上にあるとのこと。

  なお、ChatGptが登場した今、求められる力は、さらに「AIに対する質問力」に変わりつつあります。

  このような大きな変化を受けて、若者たちが書く私的な文章は、短く、詩的で、リズミカルな、これまでとは全く異なったものに変わってきているとのことで、
これは、AIの進化とコミュニケーションの変化の中で「次の時代の言葉」を作り出そうと格闘しているからであると考察しています。

  どうやら今は、ちょうど100年前に二葉亭四迷、福沢諭吉、夏目漱石などが日本語を文語から口語に変え、造語によって様々な価値観を言葉に入れ込もうと格闘していた頃と同じくらいの大きな変化が起こりはじめている(=言葉の大転換点にある)とのことのようなのです。

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