映画「シド・バレット 独りぼっちの狂気」(2023年イギリス/ロディ・ボガワ監督&ストーム・トーガソン監督)
ロックバンド「ピンク・フロイド」の結成時(1965年)からの中心メンバーだったシド・バレットの一生を描いたドキュメンタリー映画です。
シド・バレットは、音楽に関するたぐいまれな才能に恵まれ、しかもかなりのイケメンだったため、彼をセンターに置いた「ピンク・フロイド」はどんどん売れていきました。
しかし、そんな彼は、クスリに手を出して体調不良になり、わずか5年で姿を消してしまいます。
普通、これほどの人気メンバーが消えたバンドはそこで終わってしまうのですが、
「ピンク・フロイド」の場合は、残ったメンバーで活動を続けた結果、1973年には世界で最も売れたアルバムの一つとなった「狂気」というアルバムを発売するなどのさらなる大成功をおさめていきます。
そんな中で、シド・バレットは故郷に戻り、そこで約30年間もの引きこもり生活を続けた末に、2006年に亡くなってしまいます。
イギリス映画のいいところは、アメリカ映画のような安易な「復活劇」がないところです。
また、その死も、約30年の引きこもりを続けた後の糖尿病によるものだったので、「破滅の美学」のような美しさも描かれません。
しかし、彼の周りにいた人たちがこの映画のインタビューで「彼との思い出」について語っているときの生き生きとした表情に、なぜか激しく心を打たれてしまうのです。
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