見出し画像

ひきこもり界隈はNHKクロ現捏造報道にどう反応したか?支援団体代表から問題発言も…

2023年4月のクローズアップ現代「女性のひきこもり」での捏造報道を受けて、同年9月に同番組で謝罪放送がありました。その反応をネット上で見て、ちょっと気になる点があったんですよね。

実はNHKは同年5月にも、重大な捏造報道をやらかしてます(NEWS9のコロナ関連報道)。その批判の熱が冷めやらないうちにクロ現の件が発覚したものだから、ネット上ではNHKを批判する声が多かった。思ったより反応があるな、という印象でした。共同通信で記事になったことから、大手の新聞のウェブ版はもちろん、地方紙のサイトでも取り上げられました。

その一方で、いわゆる「ひきこもり界隈」の反応のなさは、不自然なほどでした。今回の捏造事件でいちばん関わりのあるのはこの界隈なのに。それに、結構なスキャンダルですよね。ひきこもりじゃない人間をひきこもりだと報じたのですから。
なのに、この界隈でクロ現の一件に言及する人はほとんどいませんでした。ヤフコメとか個人ブログとかで、ひきこもりとは関係なさそうな人たちが盛り上がっているのとは、対照的な静けさでした。

そこがずっと引っかかっていたんですが、ようやく公の場で支援団体代表の見解を聞くことができました。

2023年11月に鳥取市で「ひきこもり」についての講演会があったんです。「チームぼそっと」の主宰者として当事者活動をしている、ぼそっと池井多さんと、大手支援団体であるひきこもりUX会議の代表理事、林恭子さんが登壇しました。お二方とも「ひきこもり界隈」では超がつく有名人です。

界隈と関係ない人は、たぶん知らないと思うけど。

異色の組み合わせ。対談のゆくえはいかに?と思ったら、やっぱりちょっとしたバトルが繰り広げられてた。今や堂々たるひきこもり界の姉御である林氏に、アングラ系のぼそっと氏が突っ込んでいくという構図。せっかくだからもっと過激に突っ込んでほしかったけど、林氏のマシンガントークには勝てず。ぼそっと氏はすごくいいこと言うんだけど、惜しむらくは話が回りくどいんですよね。鳥取県精神保健福祉士会のTwitterより。

講演の終了後、ネット配信されたものを視聴しました。
※講演の内容はすべて文字起こししましたが、直接引用するのはNGなので、以下にあらましを書きますね。

第一部はぼそっと氏の講演でした。メディアによる印象操作によって典型的なひきこもり像が作られている、という文脈でクロ現の捏造事件を取り上げていました。それは「既婚女性。主婦。働きたくても働けない」という人物像です。たしかに最近、NHKのテレビ、ラジオの番組や「こもりびと」のサイトで、こういうタイプの「ひきこもり女性」がやけにひんぱんに登場しますよね。

ステレオタイプな「ひきこもり主婦」のイメージ。こういうのをメディアがばらまくから、主婦=ひきこもりという図式ができちゃう。NHKとなりのこもりびとウェブサイトより。

第二部の林恭子さんの講演では、クロ現捏造の話は出なかったです。私の知る限り、「ひきこもり界隈」の有名人や大きな支援団体を主催している人たちは、この件については公けに言及していません。彼らが知らないはずはないので、黙殺してるんでしょう。NHKとのつながりが深いからね。

第三部はお二人のトークセッションでした。
最後に何かありますか?とぼそっと氏に聞かれた林恭子氏が、クローズアップ現代の件について話し始めたんです。てっきりその件はスルーするのかと思いきや、自分からわざわざ持ち出すということは、釘を刺しておきたいんだなと思いましたよ。

それにしても、捏造放送を「ちょっと間違いがあった」と表現されてましたけど、そういうレベルの話ではないんだけどなぁ。林氏のそれ以降の発言も、問題を矮小化しているとしか思えないものでした。

林氏は、すべてのメディア関係者がひきこもり像を恣意的に作っているとか、全てのメディアが良くないとか、そういうわけではないと述べていました。丁寧に番組を作っているところもありますよと。

NHKの某ディレクターが起こした捏造報道という個別の事例が問題なのに、論点をずらして一般論に逃げているのです。

林氏のこういった物言いは、私が受けた被害を軽んじるものです。つまり、私のような事例はごく一部にすぎないから、重要視する必要はないのだということです。ちなみに某ディレクターによる被害者は、私だけではないんですよ。
そういう悪質な担当者が一人でもいたら、たとえ残りのメディア関係者が全てまともであっても、許されることではないはず。

こういう言い方は加害者を擁護し、被害者を追い詰めるもので、配慮に欠けていると言わざるを得ません。「ひきこもり」という社会的弱者を支援する団体の主催者らしからぬ発言ですね。

さらにこんなこともおっしゃってました。
制作側は自分たちが作りたい方向性に寄せていきがちなので、取材を受ける側がよく気を付けましょうと。

ここでも取材する側(=加害者)の責任は問わずに、取材される側(=被害者)に責任を負わせています。これに対してぼそっと氏は、引き受ける時には信頼できそうだなと思ってしまうんです(だけど実際にはそうじゃない)、と反論してますが、本当にその通りなんですよ。表面を取り繕っていかにも信頼できそうなフリをされたら、ただでさえマスコミ対応に不慣れな素人には見抜けません。

それに、加害者の罪を追及することなく、「被害に遭わないように気を付けましょう」とたしなめること自体が、二次被害なのですよ。裏を返せば、「気を付けなかったお前が悪い」となりますからね。加害者の側に立って、被害者を非難しているのです。

ぼそっと氏の反論も虚しく、それから話はなし崩し的に、「人と人との信頼関係が大事」というありきたりなところに着地しました。
そういう問題じゃないんだけどな。記者やディレクターと取材対象者が信頼関係を育めばいいという、個別的で単純なおとぎ話に落ち着いてもらっては困るんです。NHKという組織全体が腐敗していて、機能不全に陥っているんですから。

取材担当者から直属の上司、番組の編集責任者に至るまで、複数のNHK職員とやりとりしましたが、まずもって誠意というものを感じませんでしたし、礼節を著しく欠いていました。取材対象者の扱いはまさしく「素材」という感じで、とっても雑なんです。

詳しくはnoteの記事を見ていただきたいのですが、取材対象者の人権とか尊厳は軽視されています。NHKの職員個人も組織全体としても、放送倫理を守ろうとしない。なにより、ドキュメンタリー番組にも関わらず、事実を正しく伝えようという姿勢がまるでないのです。

今までテレビの取材を受けたことがなく、視聴者の立場しか経験のない一般人が、テレビ局のこのような実態を知る由もありません。ましてや「天下のNHK」、公共放送ですよ? まさかそんなに詐欺的で悪質な行為をはたらくとは、夢にも思わない。気をつけろと言われても無理でしょう。

打ち合わせや取材の時に担当者と十分に話し合い、納得した上で出演OKしたとしても、捏造される危険を回避することはできません。番組VTR編集の過程には、私のような取材対象者は関与できないからです。放送内容を事前にチェックすることができない以上、何らかの意図が加わって事実と異なる内容にされてしまう事態を、未然に防ぐことは不可能です。

林恭子氏の発言にはいたく傷つけられましたし、クロ現の一件を持ち出したぼそっと氏を恨みそうになったけど、ものは考えようですからね。ひきこもり界隈の欺瞞が公けの場であらわになったのですから、私にとっては批判するための格好のネタですよ!

あれが大手支援団体の公式見解だとしたら冗談じゃないな、とは思いますけどね。


★ぼそっと氏登板のイベントで、界隈の衝撃事情が明かされていました!以下は姉妹サイトのnote記事です。


★支援団体とメディアの闇について、大っぴらには言えないことを記事にしています。鋭意執筆中で無料公開中。騙されたり搾取されたりして後悔する前に、ぜひ読んでください。


★他にも社会的孤立の問題を扱った記事がありますので、こちらもどうぞ。「界隈」とマスコミについてのディーブなお話もあり。



©hamuta 2023 All Rights Reserved




よろしければサポートをお願いいたします。いただいたサポートは書籍購入や情報収集など、よりよい記事を書くための活動費に使わせていただきます!😊