見出し画像

Frohse アーケードとは

こんにちは。理学療法士のこうやうです。

今回は

Frohseアーケード

について書いていこうと思います。

上肢疾患を見たことある人はもしかしたら

聞いたことがあるかもしれませんが

割と臨床で使うので

情報整理するために書かせていただきます。

よろしくお願いいたします。

それでは始めます。



概要


Frohseアーケードの模式図

Frohseアーケードとは

回外筋浅層の近位辺縁部に形成される線維性のアーチ1)

であり

橈骨神経の運動肢(深肢)すなわち後骨間神経

が通っていることから

後骨間神経の絞扼性神経障害を引き起こす

因子であると言われています。

この構造には個人間による差があまり見られず2)

絞扼因子の再現性は非常に高いと言えます。

ではこの後骨間神経麻痺とはなんなのでしょうか?


後骨間神経麻痺

下垂指を模倣した俺の手

後骨間神経麻痺では、

下垂指(drop finger)になりますが、

皮膚の感覚障害がないと言われています。

手関節の背屈は可能ですが、

MP関節の伸展ができなくなり、

指のみが下がった状態になります。

これは運動性の深肢で支配されている

伸筋群と長母指外転筋の選択的麻痺が生じるためです3)。

後骨間神経麻痺は下垂指と感覚の障害のないことで鑑別できます。


後骨間神経麻痺の原因は、

ガングリオンなどの腫瘤、腫瘍、Monteggia骨折(尺骨の骨折と橈骨頭の脱臼)などの外傷、

神経炎、運動のしすぎ(前腕の回内外)3)などとされていますが

解剖学的構造の観点では

Frohseアーケードという回外筋入口部の狭い

トンネル部で障害を受けやすいとされ

注目されているわけであります。


臨床で遭遇した一例

では脱力感の訴えのある方だけに効果のあるものか

というとそうではないと思います。

私が経験した例では

テニス肘の診断があった方でした。

鑑別するためのテストで

橈骨神経伸張テスト(肩甲体下制、肩関節内旋・外転、肘関節伸展、前腕回内、手関節掌屈)

が陽性の方がいました。

ただ神経モビライゼーションを行っても

効果がイマイチだったので

Frohseアーケードの一部である回外筋

に徒手的なアプローチをしたところ

NRS8からほぼ疼痛のない状態まで

いきました。

後骨間神経麻痺の症状が出ていなくても

実は疼痛(橈骨神経の問題)の要因の1つになっている可能性

があるということですね。

正直介入はそんなに難しくなくて

回外筋を触診できればだいたいは

そこをほぐすだけのアプローチで効果は出ました。



まとめ

今回はFrohseアーケードについてまとめました。

機能解剖学的な考察は臨床でも効果が出やすいので

機能解剖学や三次元的な見方というのは

重要にしていきたいところですね。

ですが

あくまでこの機能解剖学的な効果というのも

一つの要因に過ぎず

痛みは包括的にアプローチすることがいいということは

念頭に置いていただければと思います。


本日はこれで以上です。

ここまで読んで頂きありがとうございました。





参考・引用文献

1) 木全 健太郎 他 : 後骨間神経の絞扼因子に関する解剖学的研究 
2) Michal Benes et al. : The arcade of Frohse: a systematic review and meta-analysis Surg Radiol Anat. 2021 May.
3) Spinner, R. J., Spinner, M. : Nerve entrapment syn-drome. In The Elbow and Its Disorders, pp. 839-862.
Edited by Morrey B. F., Philadelphia, WB Saunders Co., 2000.
4)監訳 坂井 建雄 他 : プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版 株式会社 医学書院 p395

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?