多裂筋とは
こんにちは。理学療法士のこうやうです。
今回は
多裂筋
に関して書いていきたいと思います。
腰痛のいえばこの筋と
ほとんどのセラピストが考えるくらいに
メジャーな筋ですが
私なりにまとめていきたいと思いますので
よろしくお願いします。
それでは始めます。
多裂筋の解剖・機能
解剖
多裂筋は
腰部脊柱起立筋群のなかで最も内側に位置し
各高位に存在する筋束の集合から構成されている。
個々の多裂筋は
腰椎横突起もしくは仙骨に起始を持ち
2~4分節上位の棘突起に停止する。
機能①
両側性に収縮すると腰椎を伸展させ
一側性に収縮すると同側への側屈、反対側への回旋が生じる。
多裂筋は筋束が分節的に配置されていることから
背部ローカル筋のなかでも分節的安定性制御に
重要な筋と考えられている1)。
また多裂筋の収縮が腰椎の挙動を抑制し、
neutral zoneにおける腰椎の剛性を増加させることが
報告されている2)。
機能②
多裂筋は腸腰筋とペアで活動し、対側性運動リズムを
作り出す作用がある。
腸腰筋は腰椎のアライメントによって
作用が逆転する(大腰筋パラドックス)。
腰椎が屈曲位になると
筋の作用線が回転軸の前方を通過するため
腰椎を屈曲させる作用を持つ。
したがって
腸腰筋が骨盤を前傾させる作用を持つには
多裂筋が腰椎伸展位を保っている必要がある。
この関係性から
対側運動リズムを作るのに非常に重要な筋といえる。
またこの二つの筋の起始は腰椎を前後方で取り囲んでいることから
腰椎アライメントの安定性にも関与しているといえる。
機能➂
多裂筋は筋の作用だけでなく、ボリュームによっても
腰部の安定性に関与している。
上図のように多裂筋のボリュームがあることによって
胸腰筋膜に緊張を与えて、腰部の安定性を実現している。
このようなメカニズムを
水力学的増幅メカニズムという。
運動療法
ここでは1つ紹介する。
前方リーチ運動
1.椅子などに座り、背もたれから背中を離した状態を作る。
2.両上肢を90°屈曲させる。
3.上肢を床と平行に保持しながら前方に体幹前傾
ポイント!! 腰椎前弯位を常に維持しながら行う
四つ這いで行う方法があり、実際に効果的ではあるが
高齢者において四つ這いをとることが困難である場合が多いため
この種目を紹介した。
今回はこれで以上です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
参考・引用文献
1)成田崇矢:脊柱理学療法マネジメント 病態に基づき機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く 株式会社メジカルビュー社 2020
2)Wilke HJ, et al : Stability increase of the lumber spine with different muscle groups. A biomechanical in vitro study. Spine(Phila Pa 1976), 20(2) : 192-198 , 1995.
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