理学療法士特有の考え方の限界
こんにちは。理学療法士のこうやうです。
今回は
理学療法士の考え方について触れていきたいと思います。
まずタイトルの特有の考え方とは
ROM・筋力・運動制御をそれぞれ評価し、
それぞれを鍛えてADL向上を図る
というものです。
これはかなり主流な考え方だと思います。
この一つ一つの要素から考えるアプローチを
要素還元的アプローチといいます。
セミナーを受けてる人ならわかるかもしれませんが
どんな有名な先生も
こういう考え方が主流ですよね。
しかしもうこの考え方も限界です。
なぜそう思うのか
その理由とこれからするべき考え方を
私なりに説明していこうと思いますので
よろしくお願いします。
それでは始めます。
要素還元的アプローチの限界
このアプローチの仕方を例に出すと
立ち上がりの動作分析を行う
↓
離殿動作が円滑にいかない
↓
大殿筋の筋力低下と推察
↓
大殿筋のMMTを実施し、MMT3
↓
大殿筋の筋力強化を実施し、立ち上がり動作の改善を行う
といった流れです。
多くのセラピストがこのような流れでプログラムを進めます。
しかしこのアプローチには限界があります。
それは何かというと
大殿筋の筋力強化をしても
パフォーマンスまたはADL向上に繋がらない場合が多いということです。
それはなぜかといわれれば
選択的に筋を鍛えるには必ずOKCになってしまうためです。
OKCとCKCでは同じ筋であれど
全く機能が違います。
大腿四頭筋を例に挙げると
OKC・・・・膝伸展
CKC・・・・外的膝屈曲モーメントに対する制御
となります。
このように同じ筋でもここまで機能が違ってくるわけです。
つまり弱化した筋を鍛えたところでどうにもならないわけです。
ですから私が提案したい考え方は
弱化している筋があるからその筋を鍛えるのではなく
動きを修正してその筋が働かざるを得ない状況にしたほうがいい
というものです。
時代は統合的アプローチ
私は筋力や関節可動域のような
要素を改善するアプローチではなく
動きという集大成から修正を行う
統合的アプローチを推します。
理由は明白です。
要素を足しても動きという統合的なものには直接つながらないためです。
桂良太郎先生の表現をお借りすると
”パフォーマンスアップには1(要素)+1+1=3(統合)ではなく
1+1+1=3より大きいものを目指さなければならない”
(表現を一部改変)
ということです。
ROMや筋力を改善しても動きに繋がらなければ意味がありません。
これは良くセラピストが勘違いすることですが
大腿四頭筋が弱い患者に対して
①大腿四頭筋のOKC 10回×2セット+立ちあがり10回 1セット
②立ち上がり 10回×3セット
どちらが立ち上がりがうまくなるかというと
圧倒的に②です。
理由は簡単です。
立ち上がりをより多く行っているからです。
特異性の原則ですね。
つまり立ち上がりという動作を修正したいのであれば
立ち上がり(動き)から介入するほかありません。
私たちは動きの専門家(私の理学療法士の概念)
ということを意識して
理学療法を進めなければですね。
痛みの改善は最優先事項
しかしここで重要なのは
痛みがある場合はその改善をしてから行うべきということです。
なぜかといえば
痛みはすべてを変えてしまうからです。
痛みがある状態の動作分析を行っても
痛みを回避するための動きをとっている可能性があるため
メカニカルストレスを与えている動作を分析できません。
痛みを取り除くのは対症療法とはいえど
必要な技術であると私は考えます。
しかし残念ながら
世にはびこっているのは
痛みを取り除いて満足しているセラピストというのは
なんとも皮肉な話ですが・・・
統合的アプローチのデメリット
このアプローチにもデメリットはあります。
それは急性期の患者さんに対して適応するのが難しいためです。
手術により組織を侵襲している状態であり
痛みがあるどころか、歩くことすらままならない状況であることがほとんどです。
ですからこの時期はどうしても動作が難しいことになります。
仮に歩けても本当の動作が見えてこないことがほとんどです。
動作を修正するよりも
動作を獲得することが最優先ですね。
まとめ
①要素(筋力やROMなど)を改善しても動きに繋がらない場合がほとんど
②痛みは動作のすべてを変えてしまう
➂統合的アプローチは急性期には不適かもしれない
今回はこれで以上です。
ここで偉そうに語っていますが
この統合的アプローチを実践した感想は
結構難しいです。
なので私は絶賛お悩み中です。
しかし悩みが尽きないのが臨床だと思うので
日々悩んでいこうと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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