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【連載】第4次本州紀行~苫小牧→仙台→上野→大洗→苫小牧~ 第2話「優雅」(洋上編) ※ホテル禁止

2.洋上編~「きそ」にて~「優雅」

汽笛が鳴り、出航。南からやってきた船が東港方面へ向かっていく。おそらく、敦賀を出港した船であろう。西港と東港は人工的に区切られており、乗り入れ路線も雰囲気も全く違う。不思議なものだ。
街を出ると濃霧が発生し、何も見えない漆黒の闇をただひたすら進んでいく。風も強く、寒い。
本来、夜とはこうあるべきなのかもしれない。灯りがなかった時代、夜とは何も見えない闇の世界で、人々はそれに畏敬の念を抱いていたはずだ。何もできず、どこへも行けないから、おとなしく眠っていたのではないか。
それが今はどうだ。電灯の発明で、夜も昼のように明るい。まるで夜など存在しないかのように。
エネルギーを浪費し、地球を破壊する。人類もどんどん堕落し、優しさは失われている。オイルショックの時には多少反省したようだが、今やどこ吹く風か、の知らんぷり。挙句の果てには山を崩して観光道路を建設する始末。それでは本末転倒ではないか。自然は畏敬の念をもって接するべきものであり、人類の楽しみのために存在しているのではない。分をわきまえない強欲な人類は必ず大自然の怒りに触れ、手痛いしっぺ返しを喰らうであろう。
誠に情けない話だが、引き返す道はないものか。

まあいい。暗い話は一旦やめだ。
夜風に当たり、静かに瞑想に入る。何もしない、という贅沢な時間。現代では失われた貴重な時間だ。
もっとも、眠気には勝てず、寝室へと戻る。
今回泊まるのは2等和室という雑魚寝部屋だが、ほかに客がいなかったので、雑魚寝貸し切りとなった。謎の贅沢感を味わいながら眠りにつく。
(続く)

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