「いかに買わせるか」より「いかに(心を)合わせるか」
このところ、8時間の企業研修を依頼され、マーケティングの基礎知識を社員の皆様にお伝えする授業を、立て続けに行っていました。
マーケティングというと「どうやれば商品は売れるか?」を考えるイメージが強いようです。ただ、私の考えるマーケティングには「欲しくない人にはあえて売らない」ことや「買ってもらえば終わりではなく、ご満足いただけているかを確かめること」も含まれます。
研修でも話したことがありますが、私は自分から
「ライター、コピーライターになりたい!」
「セミナーを開きたい」
「コンサルタントになりたい」
と積極的に手を上げて売り込んで仕事を始めたことは、ほとんどありません。
まずは友人や知人から
「こういうことで、困っているんですが、手伝ってもらえますか?」
という相談がまずあり、自分にできることが、できないことかを考えて対応してきました。
ライター、コピーライターを名乗るようになったのは、初めに依頼されたことが「執筆」だったからです。いったんライターと名乗ることを決めたら、すぐに辞めるわけにはいかないので、ライターとしての営業を始めました。
その後、Webサイトの改善や広報活動の展開方法など、幅広いご相談を受けるようになり、コンサルタントやセミナー講師などの仕事も取り組むようになりました。
とはいえ、田舎に住む得体のしれないライターに、まったく知らない人から「ぜひこれをやってください!」という依頼が、唐突に舞い込むことはありません。知名度が低い私の存在を知らない人がそもそも多いし、多くの人にとって何を依頼すればいいのか、分からないからです。
そんな私が、さまざまなご依頼をいただけた理由は次のようなことです。このことは、ライター、コピーライターだけでなく、様々なお仕事に就く人に役立つと考え、ご紹介します。
「人の役に立つこと」をする
現在、仕事に就いている人は、まずその仕事で信頼や自信を得られるよう取り組みましょう。仕事で誰かの役に立ち、「この人の仕事は信頼できる」と周囲に思われる人こそが、独立や開業をする場合も成功します。
仕事に限らず、家事でもボランティアでもいいので、困っている人の悩みを解決するための行動をします。私が解決できそうなら積極的に関わり、私では無理なときは解決できそうな人を紹介するなど、できることを見つけて行動したことが、何度かありました。
ただし「何かいいことがあるかも」という打算が相手に伝わると、いいことは起こりません。あくまで「困っている人を助けたい」という思いのもとに動きます。
「好きなこと」は思い切り楽しむ
自分が本当に好きなこと、楽しめることをする時間は、全力で楽しみました。
楽しんでいるうちに「そんなに好きでいてくれるなら、ニュースレターを書くのを手伝ってほしい」「こういう困っていることがあって」と相談してもらえる機会が増えていきました。
今、私にとって集客の柱となっているSNSやnote、Webサイトなどの運営も、もともと好きで運営していたものです。
こちらも「あわよくば、仕事をもらおう」という考えがあるときには、うまくいきません。本当に「好きだから、楽しいから、やる」という姿勢のときに、仕事につながりました。
「自分にできること」を明確にしておく
ご相談いただけるのはありがたいことですが、もし自分にできないことを依頼されたり、キャパシティーを超えるご相談があった場合には、自分でなんとかしようとせず、他の手段を考える必要があります。
そのため「自分にできること」「できないこと」を明確にしておきます。数か月ごとに「自分に何ができるか」を確かめると、仕事にも良い影響があります。
「周囲の人は誰もが先生」だと思い学ぶ
ライター、コピーライターが書いた文章を読むのは、さまざまな立場や社会的背景を持つ人です。人の心に響く文章を書くには、読み手の顔を想像しながら書くことが大事です。
「このような立場の人は、どんな悩みを持っているか?」
「このような社会的背景を持つ人に、わかりやすい言葉で書けているか?」
を知るためには、多くの人と接し、その人たちの感性を知っておくことが大切なのです。
どんな人からでも学べることが多々あります。人と会うときは「どんな人からも教わることがある」「誰もが先生なんだ」という気持ちでいましょう。
人の心に「合わせる」能力がビジネスの発展につながる
「この商品・サービスを買ってほしい」と考え、計画を立てること、実行することは大事です。ただし「欲しくない人」の心を無理やり変えようとするのは、大変な労力がかかり、相手の嫌悪感も大きくなります。
「欲しいと思っている人」には商品・サービスを提供する。
「欲しくない」と思っている人には、関係性を維持し、信頼してもらえるようになり、やがて「欲しい」と思われるタイミングまで待つ。
いかに「買わせるか」が大事なのではなく、「いかに心を合わせるか」を考えることで、仕事や売上がついてくるのだと改めて思います。
河野陽炎のコンサルティング
オンラインコンサルティングが増えています。このところ、続けて新規のご縁をいただき、ありがたく思っています。
名刺の作り方、集客戦略全体の考え方など、お困りの内容に応じて、お見積りをいたします。
いただいたサポートは、ライター志望、フリーランス志望、地方在住で起業を考える皆さんに向けたセミナー運営費用などに使わせていただきます。