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随筆集

83
(*ノω・*)テヘ
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#鉄道

外川駅

外川駅

 司馬遼太郎は生前、日本の街並みを、「座敷にゴミ箱の中身をぶちまけたような景観」と評した。
 その言葉には100パーセント同意するし、また実際その通りなのだが、その中でも目を凝らせば、心を落ち着かせてくれる景色や場所も、あることはある。

 銚子電鉄の終点駅である外川駅は、そんな数少ない場所のうちの一つだろう。
 木造平屋建ての駅舎は、何度も改装しながら、開業当時の面影を留めている。留めようと懸命

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銚子電鉄の新型車両3000形

銚子電鉄の新型車両3000形

 新しいレンズのテストを兼ねて、銚子電鉄の新型車両を撮ってきた。

 3000形は、銚子の海をイメージした鮮やかなカラーリングだ。
 この新型車両の導入にともない、1000形は引退してしまったが、2000形はまだまだ元気に頑張っている。

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流鉄流山線

流鉄流山線

 レトロな車両が、陽光の中を走り抜けると、あたりの景観はとたんに鮮やかに彩られ、地域住民の生活に濃密に密着した単線鉄道は、心地よい走行音を街にひびかせる。
 線路沿いの梅の花の下では、小さな女の子が列車に手を振り、運転手は気軽に手を振りかえしながら、ワンマンカーは進んでいく。

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鉄道手帳

鉄道手帳

#買ってよかった2015
 線路を歩くのが、好きだった。
 小学生のころ、学校への行き帰りは、線路上を歩いて通っていた。
 背中のランドセルをのぞけば、まるで、映画「スタンド・バイ・ミー」のように、枕木を一歩一歩踏みしめながら、歩いていた。田舎なので、電車は一時間に一本。そのおかげで、俺にとっては素晴らしく快適な通学路だった。
 今から想えば、そんな体験が俺を鉄道好きにしたのかもしれない。

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胸元のハンカチーフの意味

胸元のハンカチーフの意味

 真夏の、うだるような暑さの中、シャツの上にジャケットを羽織っている男性を見かけても、不思議に思ってはいけない。
 紳士用ジャケットとは、女性にとってのバッグのような物なのでもある。
 ジャケットの裏地側は、内ポケットがたくさんついている。そこには、財布や携帯電話、手帳にペン、文庫本と、いろいろな小物を入れておける作りになっている。ちょっとした外出時なら、ジャケットを羽織って、そこに小物を入れれば

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電飾に彩られて

電飾に彩られて

 数々の苦難を乗り越えて、いまも懸命に営業を続けている銚子電鉄が、路線にある各駅の命名権を売りだしたのは記憶に新しい。

髪毛黒生駅|kouichikougo|note(ノート)https://note.mu/kouichikougo/n/n9116475da99a
 
 そんな僕らの銚子電鉄が、またやってくれた。
 今回は、イルミネーション車両である。
 ただ、なんというか、このイルミネーション

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若桜鉄道

若桜鉄道

 小雨が、ぽつぽつと降り出してきた。
 その中を列車は、ワイパーをときおり動かしながら、一面の梨畑を進んでいく。

 若桜と書いて「わかさ」と読む。若桜鉄道の路線は、営業距離が19.2kmであり、郡家駅でJR因美線と接続していて、そこから、終点の若桜駅までの9駅を、列車が2時間に1本程度運行する。

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髪毛黒生駅

髪毛黒生駅

 千葉県銚子市にある銚子電鉄は、関東地方の最東端、銚子駅と外川駅を結ぶ、歴史あるローカル線だ。
 しかし、地方鉄道の宿命(?)である、毎年の赤字に苦しんでいた。
 そんな中、銚子電鉄が運行を維持するためにとった一手が、各駅の命名権を販売すること。契約期間は一年で、これによって今年度は、830万円の増収を見込んでいる。

 ヘアケア商品を製造、販売する株式会社メソケアプラスが契約した駅は、笠上黒生駅

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小さな小さなローカル線

小さな小さなローカル線

 芝山鉄道は、日本一路線が短く、全長は2.2kmでしかない。
 PASMOやSuicaを利用することができないので、乗車するには切符を買う必要がある。

 関東鉄道竜ケ崎線は、全長4.5kmで、佐貫駅、入地駅、竜ケ崎駅と、全部で駅が三つだけの路線だ。
 ちなみに、竜ケ崎線は、日本で初めてワンマンカーが走った路線でもある。

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