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過去のトラウマに向合いアップデートする



1. 📘 はじめに

皆さん、こんにちは。蓮城院副住職のコウブンです。本日もお悩み相談会、職場の人間関係シリーズ第4弾をお送りします。このシリーズでは、ハスノハというお坊さんが答えるお悩み相談のウェブサイトに寄せられたお悩みに、私がお答えしています。

人間関係の悩みは尽きませんが、特に職場での関係は私たちの人生に大きな影響を与えます。今回のお悩みは、過去のトラウマと現在の自分との向き合い方について、深く考えさせられる内容です。


2. 💼 お悩み相談:いじめられた職場(ファミレス)

今回は、20代の女性からの相談です。題名は「いじめられた職場(ファミレス)」。内容を詳しくお伝えしますと:

  • 10年前、有名なファミレスでアルバイトをしていた際に5、6人からいじめを受けた

  • そこまでひどくはなかったが、悔しさとつらさで自己肯定感が大きく低下した

  • 10年経った今でも完全に忘れることはできず、時々思い出してしまう

  • しかし、そのファミレスの料理が美味しく、楽しい思い出もあるため、普通のお客として再訪したいと思うようになった

  • 不安と恐れを感じながらも、勇気を出して訪れてみた

  • 結果的に、知らない店員さんばかりで気持ちよく接客してくれ、母と楽しく食事ができた

  • この経験を通じて、思い出を塗り替えることができたと感じている

相談者の方は、この経験を踏まえて以下の質問をされています:

  1. 昔、嫌なことがあったとしても普通に気にせずサービスを楽しんでもいいのでしょうか?

  2. もう誰もいじめてきませんか?

  3. 嫌な記憶は何度でも塗り替えられるのでしょうか?

これらの質問には、過去のトラウマと現在の自分との葛藤が垣間見えます。一つずつ丁寧に考えていきましょう。

3. 🎨 過去の塗り替えとは

結論から申し上げますと、過去の事実そのものは変えられませんが、嫌な記憶を現在の自分の力となる糧にできれば、それは塗り替えたと言えるでしょう。

人間は日々、様々な経験をします。その中には失敗や挫折、時には悲しい出来事も含まれます。しかし、私たちには素晴らしい能力があります。それは、これらの経験を学びに変え、成長の糧にする力です。

いじめの経験は、単なる失敗とは質が異なります。他者からの意図的な攻撃は、私たちの心に深い傷を残すことがあります。しかし、だからこそ、その経験を乗り越えることで得られる学びも大きいのです。

ファミレスに再訪問して何事もなかったことは、確かに勇気ある行動でした。しかし、これだけでは本質的な意味での過去の塗り替えとは言えません。なぜなら、環境が変わっただけで、あなた自身の内面での変化が必ずしも伴っていないからです。

真の塗り替えとは、同様のシチュエーションで以前よりうまく対処できるようになること。例えば、職場で少し嫌な言い方をされたときに、過去の経験を活かしてうまく対応できれば、それが本当の意味での「塗り替え」となるのです。

4. 🕉️ トラウマと向き合う仏教的アプローチ

仏教の教えの中に、「諸行無常」という言葉があります。これは、すべての物事は常に変化し、固定的なものは何もないという意味です。この考え方は、過去のトラウマと向き合う際にも大きな示唆を与えてくれます。

過去の嫌な出来事も、それに対する自分の感情も、実は常に変化しています。10年前の出来事に対する今のあなたの感じ方は、当時とは違うはずです。そして、これからも少しずつ変化していくでしょう。

大切なのは、その変化を意識的に肯定的な方向へ導いていくこと。過去の出来事そのものは変えられませんが、それに対する自分の理解や感じ方は変えられるのです。

また、「縁起」の考え方も重要です。すべての物事は関連し合って生じているという考え方です。過去のいじめ経験も、あなたを今の姿に導いた多くの要因の一つに過ぎません。その経験があったからこそ、今のあなたがあるのです。

5. 💪 未来に向けての準備

これからの人生で似たような場面に遭遇したとき、過去の経験を活かしてどう対応するかを事前に考えておくことが大切です。具体的には:

  1. 過去の経験を客観的に振り返る

    • どのような状況で問題が起きたのか

    • 自分はどのように反応したのか

    • 周りの人々はどのように行動したのか

  2. 「あのとき、こうすれば良かった」と具体的な対策を考える

    • 自分の権利を主張する適切な方法

    • 周囲に助けを求める効果的な方法

    • ストレスを軽減するためのセルフケア方法

  3. 新しい状況に備えて心の準備をする

    • 呼吸法や瞑想などのリラックス技法を学ぶ

    • 自己肯定感を高めるための日々の実践

    • 信頼できる人々とのサポートネットワークを構築する

これらの準備は、必ずしも完璧な成功を保証するものではありません。しかし、少なくとも前に進む力を与えてくれるはずです。

6. 🌟 自己肯定感を高める実践法

いじめの経験は、しばしば自己肯定感を大きく低下させます。しかし、自己肯定感は育て直すことができます。以下のような実践を日々の生活に取り入れてみてください:

  1. 自己観察日記をつける

    • 毎日、自分の良かった点や成長を感じた点を書き留める

    • 小さな成功体験も見逃さず記録する

  2. 感謝の実践

    • 毎日3つ、感謝できることを挙げる

    • 他者への感謝を言葉や行動で表現する

  3. マインドフルネス瞑想

    • 1日5分から始める

    • 呼吸に集中し、今この瞬間に意識を向ける

  4. 肯定的な自己対話

    • 内なる批判的な声に気づき、それを励ましの言葉に置き換える

    • 「私はできる」「私は価値がある」などの肯定文を毎日唱える

  5. 自己成長の機会を積極的に求める

    • 新しい趣味や学びにチャレンジする

    • 小さな目標を立て、達成感を味わう

これらの実践を続けることで、徐々に自己肯定感が高まっていくはずです。

7. 🌈 まとめ

嫌な思い出の場所に再び行けるようになったことは、大きな一歩です。勇気を出して行動したあなたを、心から称賛したいと思います。

過去にとらわれすぎず、かといって無理に忘れようとせず、ただ今この瞬間を大切に生きていく。そんな心の在り方を意識してみてはいかがでしょうか。

人生は常に更新可能です。過去の経験を糧に、より豊かな未来を築いていってください。あなたの中にある強さと可能性を、どうか信じてください。

最後に、仏教の言葉を一つ。
「精進」
より良い未来を心に誓い、一日一日を確実に歩む。あなたの幸せへの思いが、必ずや道を開いていくことでしょう。

皆さまからのご感想、ご意見、質問をお待ちしています。コメント欄またはハスノハのサイトにてお寄せください。

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