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【慣れてない文章はすぐにわかる!】最初に陥るダメな文章6パターン(2016年11月号特集)


  エッセイを書くときに知っておきたいコツ、慣れない人がよく陥ってしまう6つのパターンとその解決策を挙げましょう。

1.話題を詰め込みすぎる

 自分について3枚のエッセイに書く場合、「私の人生」すべてを書いたら、とても3枚では収まりません。無理に詰め込めば、出来事を羅列しただけで終わってしまいます。
 かつて公募ガイドでも連載していた都筑道夫先生は言っています。
「大木があります。その全体を書くのが長編小説です。木を切ります。切り口を見せるのが、短編小説です」
 このコツはエッセイも同じ。題材はピンポイントで焦点を合わせましょう。

2.主義主張が強い

 「私はこう思う」「そうすべきではないか」という主義主張、テーマ性が強いと、読み手は引いてしまいます。押しつけがましい印象も残ります。
 著者の主張は後ろに引っ込め、どう思うかは読んだ人に任せるというぐらいがちょうどよく、むしろ、そのほうが読み手の思考が深まります。

3.ミスリードさせる

 読む人は、話がどこに向かっていくのか、読む前にはわかりません。予備知識ゼロで読み始めます。
 ですので、序盤で余計なことを書いてしまうと、読み手はそれが主題かと勘違いしてしまいます。結末に向かっていない余計な文章は削りましょう。余計かどうかは、その部分がなくても話が成立するかどうかで判断できます。

4.読後感が悪い

 エッセイは、読後感が大切です。悲しい話にも救いがあり、批判には愛情が、つらい話には笑いがあるなど、あと味をよくする工夫を。
 書き手は書きたいことを書けばすっきりしますが、そればかり考えていると読後感まで気がまわりません。読んだ人はどう思うかを考えて!

5.具体性がない

 抽象的な話に終始すると面白くなりません。見た目も硬くなり、とっつきにくいエッセイになります。
 たとえば、「家族は大切だ」という理屈だけ書いても伝わりにくい。
 頭でわかるように書くのではなく、心で感じられるように書く。それには具体的な出来事が必要で、それを通して読み手自身が「家族は大切だ」と思えるように書くことです。

6.予定調和

 「こんな結末なんだろうな」と思わせて、「はい、そのとおりでした」では、感動的な話でも感動できません。
 やはり、そこには多少の作為が必要で、「なんだかお気楽な話かと思ったらなんと!」という落差に人はやられたりするわけです。
 エッセイでは事実を書くわけですが、いい意味で読み手をだましましょう。

まとめ

エッセイを書くときには、自分の中に、とても厳しい目で批評してくるもう一人の自分を持つといいです。
「ちょっと話題を詰め込みすぎ!」
「一方的すぎる!」
「これだとあと味が悪いよ!」
エッセイを書くテクニックは、そういうツッコミとイコールです。
「これだと意外性がないよ」
「このタイトル、ネタ割れでは?」
そうしたツッコミを受けて、文章を修正していきます。
しかし、テクニックにばかり頼ると、肝心の気持ちを忘れたりします。「仏像作って魂入れず」はだめ。気持ちとテクニックはエッセイの両輪ですから、どちらか一方ではうまくいきません。

上手なエッセイに必要な5つの要素を解説!
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※本記事は「公募ガイド2016年11月号」の記事を再掲載したものです。

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