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挫折は汚点じゃない、大きな財産だ。【夢と希望の始まり編】

【将来の夢を決めた時】

私の祖母は美容師だった。幼い頃から一番身近な仕事として見てきた美容師という仕事、私が同じ道を選んだのはごく自然なことだった。そうは言っても美容師を目指そうと決めたきっかけは実は漫画だ。小学生の時までは、おばあちゃんみたいにパーマ屋さんになりたい!と内心思ってはいたものの、人に言うのがなんだか恥ずかしかった。欲しいものを欲しいと言えず、好きなものを好きと言えないのと同じように。中学生になり、私はある漫画と出会う。主人公と美容師との恋愛・そして主人公も美容師を目指す話(本当はもっとドキドキで、モギャーー!で、泣けて、キャッ!好き!な話だがここでは割愛)そんな漫画にどハマりし、そして美容師になると本気で決意した。誰かに言ったわけでもなく、ただ決めただけだが、なんだかドキドキした。自分の中にメラメラとした情熱が湧いてきた。自分自身で将来を決めたことで、少し強くなれた気がした。

母への決意表明

美容師になる。と伝えた日のことは今でも覚えている。皆既月食だかなんだか、すごく珍しい夜だった。母と二人、家の近所でその珍しい現象を見ようと出た時、今しかないと思った。なぜか緊張して手に汗をかいていた。特に改まって言うことでもないと思われるかもしれないが、私が美容師を目指すことを母がどう思うかが不安だったのだ。というのも父方の祖母が美容師で、母と祖母が仲がいいかは子供ながらに思うところがあったからだ。なかなか切り出せない中、ついに思い切って伝えた。

あんな、将来な、美容師になりたいねん。

緊張と気恥ずかしさで目を見ては言えなかった。夜空を見上げ、ただまっすぐに月を見ながら告げた。なぜか泣きそうで、声が少し震えた。顔が赤くなっているのがわかる。夜で良かったと思った。母は「そっかぁ。大変やで?がんばりや。」と言った。そして「おばあちゃん喜ぶやろなぁ」と。母がどう思っていたかは定かではないが、とにかく応援してくれたので安心した。それと同時に、言ったからには絶対に頑張らなければならないとも思った。

【勇気を出したからこそ掴んだチャンス】

高校生になり、私は人生で最初の大きな転機を迎えることとなる。中学の卒業間際、両親が離婚した。それに伴い高校に入ってすぐ、母の実家に引っ越すこととなった。新しい住み家からの通学途中にひと際目を引く美容室があり、スタッフ募集という文字が見えた。毎日通るたびにアルバイトできないかな、と思いながらお店を凝視していた。ある日、毎朝チェックしている星占いで魚座が1位になった。おはよう朝日とめざましテレビの両方の星占いをチェックしていたのだが、両方1位でしかも全てうまくいくとあったので《今日しかない!帰ったら電話しよう!》と思ったのだった。我ながらものすごく単純である。そんな星占いに後押しされて、夕方お目当の美容室に電話をした。心臓がもの凄い速さで打っていた。

「お電話ありがとうございます、〇〇美容室です。」「あ、あの、スタッフ募集の張り紙を見たのですが、高校生じゃダメですか?」

この後の会話は緊張しすぎて何を話したのか覚えていない。が、なんとその日の夜に面接をしてもらえることになった。自分でもまさかと思った。普通に考えてありえないことだった。当時は法律が変わったばかりで、専門学校は2年制でインターン制度がなくなり、通信課程は3年、無免許では人に触れられない。そんな中できることは限られるし、正直なところ高校生のアルバイトなんて信用もなかっただろう。洗い物やレセプション、雑用でもなんでもいいから、とにかく早く美容の世界に進みたかった。ダメ元で連絡したもののオーナーがなかなかにファンキーな方で、そんな私の思いを汲んでアルバイトとして採用してもらえることになったのだ。

高校の3年間この美容室でアルバイトを続け、弟子入りのように学び続ける日々を過ごした。電話の出方から接客からシャンプー・カラー・パーマ・ストレートアイロンまでたくさんの技術を教えてくださり、毎晩レッスンできる環境を与えて頂いた。私にとって全ての原点だと言える。あの日勇気を出して行動しなければ、このチャンスは得られなかったと思うと、あの日の自分を全力で褒めてあげたい。この経験を経て、私はチャンスを自分で掴みにいくための行動力と自信を得たのだった。この美容室でお世話になった皆様には、きっと一生感謝の気持ちは消えないと思う。あの日から15年経った今でも、尊敬する人たちと出会えた大好きなお店である気持ちに変わりはない。私は本当に運が良い。


長くなるので続きはまた次回。。。


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