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溶け込む現実
本を読んで言葉を知り、
世間を生き、歳を重ねて人を知っていくと、頭の中にもう一つ世界ができる。
その世界は現実よりももっともっと広いという。
さらに、一つではなくてその世界は並行して、その人次第で何層にも分かれる。
現実では一通りしかないものを、何通りも。
時間が流れないから、何通りも。
彼女の現実は、彼女の世界に溶け込むときがある。
現実よりもっともっと広い世界に、彼女の現実があるとき重なる。
現実なのか、彼女の世界の出来事なのか、それとも、どちらの感覚も、考えたこともはじめからなかったことなのかもしれないと感じるような。
たくさんの人が行き交う駅で、道で、交差点で、
目の前を歩く人に、すれ違う人の多さに、速さに圧倒される。
さっきまで彼女は彼女の部屋で一人で、いまは人に囲まれている。
その存在感に圧倒される。けれど、彼女は一人で、それは間違いのないことだった。
彼女の世界には、そんなに多くの人は存在しなかったから。
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