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孔子と大谷翔平選手に共通する2つのこと(『論語』述而篇)

今回取り上げるのは『論語』述而篇からの言葉。

我生まれながらにしてこれを知る者に非ず、古を好み、敏にしてこれを求むる者なり
(読み:ワレウまれながらにしてこれをシるモノにアラず、イニシエをコノみ、ビンにしてこれをモトむるモノなり)

『論語』述而篇

私は生まれながらにして何でも知っていたわけではない、古代を愛し、努力を重ねて探究してきた者なのだ、という意味。

孔子が自身の在り方について語った言葉ですね。

おそらく、弟子から「孔子先生は天才だからな〜」などと言われたのでしょう。

そのため、自分は天才ではなく、努力の人なのだと、改めて語ったのだと思います。


孔子は現代にまで影響を残すほどの偉大な人物なので、

「生まれながらの天才」
「一般人とは違う別世界の人」

のように感じてしまうかもしれません。

しかし、実際は我々とそれほど変わらない普通の人物でした。

少年時代はとても貧しく、苦労しながら読み書きを覚えます。

大人になってからもなかなか職につくことができず、各地を放浪。

途中で「ここでは自分の理想は体現できそうにないから、筏でも作って東の海に出ていこうかな…」と、ちょっと弱気になってしまうこともありました。

故郷を想って感傷的な気持ちになることもあれば、「歳をとってから、夢に憧れの人が出てこなくて寂しい」と呟いたりもしています。

趣味としては音楽が大好きで、他国の楽団の演奏に感動した際には、思わずお肉の味も分からなくなるほど感動しています。

孔子はスーパーマンではありません。

色々な苦労をしているので、ときには弱気になることもあります。

悲しい時には泣きますし、他人に嫌がらせをされた際には激しく怒ったりもします。

ロマンチストな面もあれば、音楽を心から愛する一面もありました。

現代の私たちと何ら変わりません。

彼も普通の人間なのです。

最終的には数多くの弟子を抱え、後世に多大な影響を与えるほどの偉人になりますが、

孔子自身も語っているように、彼も元から知識や教養に溢れていたわけではありません。

ただ、彼には古代を愛し、自分の理想に向けて懸命に努力し続ける芯の強さがありました。

自分の好きなこととやりたいことが一致していたからこそ、彼はどんな苦境でも諦めることなく、前に進み続けることができたのでしょう。

孔子は楽しむことが一番大事だ、と言っています。

孔子は心から古代を愛し、それを人に教えることも苦にしませんでした。

学びて厭わず、人を誨えて倦まず
(読み:マナびてイトわず、ヒトをオシえてウまず)

『論語』述而篇

学んで飽きず、人に教えて嫌にならない、という言葉です。

今から2500年ほど前というと、もちろん今のようにネットや書籍がいつでも利用できるわけではありません。

学ぶこと自体にもものすごく労力がかかります。

そんな時代に古代を学び、その教えを弟子たちに伝えるというのは一見大変なことのようにも思えますが、孔子にとっては何でもないことだったのでしょう。

学ぶことも、人に教えることも、どちらも自分の好きなことだったからです。

好きなことだから、辛く苦しいことがあっても楽しむことができる。

楽しむことができるからこそ、努力し続けることができる。

その努力が花開いた結果が、現在に伝わる偉人・孔子なのです。


話は現代に飛ぶのですが、

今年のメジャーリーグでは、大谷翔平選手が日本人選手初のホームラン王を獲得しました。

おめでとうございます!

最終盤は故障のために離脱しましたが、それでも投打共に驚異的な成績を残したシーズンでした。

私も野球は好きなので、彼の活躍をニュースで見るたびに「日本人でもこんなことができるんだ!」と夢や希望をいただいています。

世間的にはそのずば抜けたセンスや才能ばかりに注目が集まりがちですが、私はそんな大谷翔平選手に、孔子の生き方に近いものを感じています。

大谷翔平選手が野球を愛して直向きに努力を続ける姿が、孔子が古代を愛して探究を続けていた姿に重なるからです。

大谷翔平選手は高校生一年生のときにマンダラチャートを作成しています。

マンダラチャートとは9×9の81マスで構成される目標管理手法の一つです。

中心に自分の成し遂げたい目標を記入し、その周囲のマスにそれを達成するために必要な具体的な要素を記入していきます。

実際に大谷翔平選手が作成したマンダラチャートは以下のような感じです。

大谷翔平選手も実践!目標達成するためのマンダラチャートの効果と書き方を紹介」より引用

すごく細かく具体的に目標を管理していますよね。

高校一年生のときから、一流の野球選手になるために努力を積み重ねてきたことがわかります。

きっと私では想像もつかないような苦しい場面もあったのだと思います。

ですが、野球を愛して心から楽しんでいるからこそ、それらの苦難を乗り越え、今の大リーガー・大谷翔平という偉大な選手になったのではないでしょうか。

孔子と大谷翔平選手の姿からは、自分の好きに正直になり、そこに向かって全力投球することの大切さを学ぶことができます。

私も自分の好きなもの、愛せるものを大事にし、これからもコツコツと努力を続けていきたいです。

我生まれながらにしてこれを知る者に非ず、古を好み、敏にしてこれを求むる者なり
(読み:ワレウまれながらにしてこれをシるモノにアラず、イニシエをコノみ、ビンにしてこれをモトむるモノなり)

『論語』述而篇

私は生まれながらにして何でも知っていたわけではない、古代を愛し、努力を重ねて探究してきた者なのだ、という言葉をご紹介しました。

孔子の偉大さの源は、古代への愛と努力であり、
大谷翔平選手の偉大さの源は、野球への愛と努力だと思います。

好きこそ物の上手なれ、とも言いますが、まさしくそのとおりだなと感じました。

私も古典や歴史が好きなので、この好きな気持ちを大事にして、これからも記事をお届けしていこうと思います。


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