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ダイバーシティ(多様性)とは見た目の話なのかについて考えた

私はこれまで人生の6割をイタリア、3割を日本、1割をアメリカで過ごしてきました。
母親が日本人のため、母娘で話すときは日本語を使用していましたが、父親がイタリア人のため、家庭における「共用語」はイタリア語でした。

そんな異文化が混じる環境で育ってきた私ですが、私の外見はパッと見はアジア人に見られます。名前も、日本人の中でも古風な方なので、イタリア人要素はあまりないように思われます。

今日は、ダイバーシティ(多様性)と見た目(外見)について書いていきたいと思います。

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ヴェネツィアで道を聞かれた話

育った街・ヴェネツィアは、初心者には手厳しい街です。移動手段は基本的には徒歩のみで、疲れたらタクシー、というわけにもいきません。水上バスもありますが、通常のバスよりかは乗り方から何から何まで違うので、初めての人にはハードルが高い。挙げ句の果てには、数年前まではGoogle mapですらもヴェネツィアの複雑さは手に負えなかったのか、表示されている道が微妙に実際とは異なっていたり、とにかくヴェネツィア街歩きは大変なのです。そのため、よく道に迷った観光客がいます。

そんな観光客に声をかけられ、道を聞かれることがよくありました。
もちろん何の問題もなく対応するのですが、なぜ同じく観光客かもしれない見た目の私に道を聞くんだろう?と思っていたりもしました。もちろん直接問うてみたことはないのでw 正確な答えはわかりません。仮説としては、

① 何も考えていない
→ 見た目がイタリア人ぽいとかアジア人ぽいとか、関係ない。そこに人がいたから聞いた。
② 現地の人っぽい雰囲気が出ていた
→ スマホ・地図・カメラ片手に歩かない、スタコラ早歩きなど。

このどちらもあり得るし、両方の合わせ技かなと思います。

この現象を日本で当てはめてみると、どうでしょうか?
見た目が(例えば)欧米系だったら、仮に在日30年+のベテランだったとしても、その情報は外からはわかりません。多くの日本人は、そうした人には道を聞かず、無難にその辺の日本人(だと思われる人)に道を聞くのではないでしょうか。

これは、一概に「日本人の多様性に対する意識が低い!」と言いたいわけではありません。
そもそも、今回例に出したイタリアと日本では、異文化の混じり具合が全く異なります。イタリアでは、もともとのルーツがイタリアではないが、れっきとしたイタリア人として生きている人はたくさんいるし、それは最近始まったことでは決してありません。人々の中にそういう意識が染み付いているのです。
一方で、日本は島国で、日本以外にルーツを持つ人が日本に住んでいるケースの絶対数は少なく、人々が慣れていません。つまり、外国人の見た目だと「日本を知らない人」だと決めつけてしまうのも、仕方ないことかもしれません。

ちなみに、イタリア人にもダイバーシティを理解していない人はいる

ちなみに、もちろん、イタリア人が完璧にダイバーシティを理解しているわけではありません。こういう海外経験ある系の日本人の発信は、海外礼賛・日本ディスりが多い気がしますが、私は長年イタリアに住んだからこそ、イタリアの本当に良いところ、そしてもちろん悪いところもたくさんみてきたつもりです。
もちろんイタリアにも、いくら完璧なイタリア語を話しても、見た目だけで判断して私のことを軽く見てきた人もいましたよ。ちょっと道端で考え事をして立ち止まっていたら、道に迷っている観光客だろうと勝手に考え、私に道を教えようとするジジイもいたなあ。

とはいえ、やっぱり見た目の話ではない

とはいえ、これからはどんどん外国人を雇用する企業も増えるでしょうし、それに伴い移住・定住する外国人も増えるはずです。すなわち、見た目で「あの人は外国人、だから日本人じゃない」と断定できることは、今よりも難しくなるのではないでしょうか。

何年住んでも、どれだけ馴染む努力をしても、顔が外国人ならいつまで経っても外国人扱い、という落胆・不満をこぼす外国人は、少なからず今でも存在します。また、その反対も然りです。私のような、見た目が日本人で話す言葉にも訛りがなければ、日本人としか扱われない。

ダイバーシティ(多様性)とは、見た目だけの話ではありません。もっというと、「外国人」に限る話でも、もちろんありません。例えば、新卒から同じ会社で働いている人もいれば、違う経験を持った中途採用者もいる、など、たとえ全員が日本出身であったとしても、それはdiverseな組織だと思います。つまり、各人が持っている考えや経験や多様な知識がdiverseだからこそ、組織が活性化するのではないでしょうか。

ダイバーシティを上部だけの目標数値として捉えるのではなく、本質をもっと考えて実践していきたいですね。

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