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刀剣神と雷神 天照大御神さまの言よさし⑧ 神様も“失敗”して成長した 百三三

勇壮な親子神


こんにちは。今日は半年ぶりの実家から「ことの葉綴り。」に向かいます。
神さまも“失敗”して成長したという日本の神話。
地上の豊葦原の水穂國に、「我が御子が治めるべき国」と、神を遣わせた天照大御神さま。けれど三度ともうまくいきませんでした。

どうすればいいのかしら? 
思案される天照大御神さまに、思金神と八百万の神さまは
天の安の河の河上の、天の石屋にいる
伊都之尾羽張神(いつのおはばりかみ)を推薦
しました。
もし、この神がダメな場合は、息子の建御雷之男神(たけみかづちのかみ)がいいでしょうと付け加えました。

この伊都之尾羽張神さまは、伊邪那岐命さまの
十拳剣(とつかのつるぎ)から生まれた刀剣の神さまです。
息子の建御雷之男神さまは、刀剣の神でもあり、雷神としても知られていました。

ここにきて、思金神さまは、勇ましい武力を持つ神さまを
”登板”させようと考えたのですね。

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ただ、一つ難点がありました。

この伊都之尾羽張神(いつのおはばりかみ)は、
その河上に行く道も塞ぐほどの、“ひねくれもの”。
そこで、険しい岩山も駆けることのできる
迦久神(かくのかみ)を使者にたてたのです。
鹿の神さまである迦久神は、
他の八百万の神さまでは、近づくことのできない道なき道を
河の上流と目指して駆け抜けていきました。

そして山奥の誰も訪れたことのない岩山の奥まで到達したのです。

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さすがの“ひねくれもの”の伊都之尾羽張神も、
険しい道なき道を歩み訪ねてくれた、迦久神を
「よく、ここまで来てくれましたな」と招き入れてくれまし
た。

迦久神は、天照大御神さまの言向けを伝えます。

これまで、豊葦原の中つ国へと、二柱の神さまを遣わせたけれど
どうしてもうまくいっていないことと、苦しい現状を伝えた上で、

伊都之尾羽張神(いつのおはばりかみ)さま、
天照大御神さまは、ぜひ、あなた様に
葦原中つ国への使者をお願いしたいとのことです。
どうか、ご承諾いただけないでしょうか。

と、お願いしたのです。

さて、“ひねくれもの”と呼ばれる神様。
この使いを受けてくださるでしょうか?

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刀剣の神と鹿の神のご縁は今も!

意外にも、実際お会いすると、伊都之尾羽張神(いつのおはばりかみ)さまは、しっかりと迦久神さまの話を聞いてくれました。
そのうえで、うむ、うむを頷くと、こう申されたのです。
その場には、息子の建御雷之男神(たけみかづちのかみ)さまも
いらっしゃって、お話を聞かれていました。

迦久神との
天照大御神さまの言向け
恐れおおいことです。
お仕えいたしましょう。

ただ、この仕事であれば、わたしよりも
ここにおります、我が子、建御雷之男神(たけみかづちのかみ)の方が、向いていると思われます。
この息子を、地上へと遣わせましょう!

“ひねくれもの”と聞かされていた使者の迦久神さまも
派遣を受けてもらえたことで、胸をなでおろしました。

やはり、刀剣の神さまと、鞴(ふいご)の材料となる鹿神には
特別なつながり
もあったのでしょうね。
この鹿神さまの持ってきたお話だから聞いてみようと思われたのかもしれません。

人間だって、相性もありますからね

こうして、高天原から、葦原中つ国へと
四度目に派遣される神さまが決定しました。

この刀剣と雷神さまのお供として、
天鳥船神(あめのとりふねのかみ)さまもご一緒されることも決定しました。

神代の時代、雷は船に乗って天空と地上を往来すると、
信じられていたそうですよ!

ちなみに、この建御雷之男神さまは、
武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)とも書きます。
常陸の国、現在の千葉県の香取神宮のご祭神で、日本建国・武道の神様として知られています。


奈良県の春日大社さんも、武甕槌大神様がお祀りされています。
ここは鹿さんも有名です。
奈良時代、常陸国から武甕槌大神様は、白鹿にお乗りになられて
大和までこられたことから、今も、神鹿として、神さまのお供、
神さまのお使いと大切にされています

刀剣の神さまと鹿の神さまのご縁
神代から、今も続いているのですね

神話は今も生きている!

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―次回へ。

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