悲劇の連鎖をとめた忠誠心 安康天皇十三 神話は今も生きている ことの葉綴り七六二
おはようございます。弥生三月も最後ですね。
桜は今が見ごろ! 皆さんお花見されましたか?
さて三月三十一日(木)の暦は、六曜は、「赤口」で、お昼前後が吉。十二直は「定」で、物事の善悪が定まる日。種まき、引っ越し、建築、開店開業などに吉。そして二十八宿は「井」で、神社やお寺参りによし! 種まき、建築もよしです。さて、早速、神話の物語に入ります。
<神話の物語マガジン>
最新マガジンは、「仁徳天皇さまの物語」です。宜しくお願いします。
<ふりかえり>
第二十代安康天皇さまは、養い子で七歳の目弱王に暗殺され、弟の大長谷谷王は、兄の仇を取るために、目弱王をかくまう年老いた家臣都夫良意富美の屋敷を攻め込みます。
やがて、都夫良意富美は負傷し、兵士たちには射る矢が一本もなくなり、これ以上戦うことができなくなりました。
都夫良意富美は「目弱王…もう戦えませぬ…………どういたしましょうか?」と、幼い王子に優しく問いかけます。
目弱王と都夫良意富美の最期
目弱王は、しっかりと都夫良意富美の目を見つめます。
ありがとう、意富美《おほみ》……
都夫良意富美の幼い我が身への忠誠心には、感謝しかありませんでした。
そして、大きくうなずくとこう答えたのです。
その目から、涙がこぼれおちていきます。けれど、しっかりと背筋を伸ばして……。
「意富美《おほみ》。それならば、もうなすすべもない。
意富美《おほみ》よ、そなたの手で、今、われを殺してくれ」
……都夫良意富美の目にも涙が溢れています。
愛しい王子よ……。
優しい慈しみあふれる眼で、目弱王を見つめ、何度も頷きながら抱きしめました。
そして、心とは裏腹の言葉「お覚悟を」と、まるで王子にも自分にも言い聞かせるようにいうと、都夫良意富美は、迷うことなく太刀で目弱王を一刺しで刺し殺しました。
王子よ。一人では生かせませぬ。爺もご一緒に……
都夫良意富美は、己の頸をかき切り、自らも命果てたのです。
悲劇の連鎖をとめた忠誠心
家臣の「嘘」に逆上した安康天皇さまに殺された目弱王の父、大日下王。
その敵討ちとして、目弱王に切り殺された第二十代、安康天皇。
兄の安康天皇を殺され復讐心に燃えた末弟の大長谷谷王の手で殺された二人の兄皇子の白日子王と黑日子王。
そして、大長谷谷王の軍勢との戦に敗れ、命を落とした目弱王。
最後まで、幼い王子を守りとおした、都夫良意富美の深い忠誠心。
五つの悲劇を重ねて、悲しみの連鎖の物語は終わります。
家臣の「欲」と「嘘」により狂いだした運命の歯車。
最後にその悲しみの歯車を止めたのは、年老いた家臣都夫良意富美の深い愛情と忠誠心だったのかもしれませんね。
―次回へ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?