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約束は今もなお 大国主神様の国譲り 神様も“失敗”して成長した 百四二

大国主神さまの約束


こんにちは。「ことの葉綴り。」今日は、神さまも“失敗”して成長した、神話の物語、大国主神さまの国譲り、いよいよ大詰めです!

壮大な宮殿をつくって祀ってくださるならば、
私は、く遠い黄泉の国に身を隠しましょう。
天照大御神さまに誰も背くものはありません……。

大国主神さまのために、
出雲の国の多芸志(たぎし)の小浜(おばま)に、
立派な荘厳な神殿が建てられました。

これが島根県の「出雲大社」です。

神話では、さらにこう続いていきます。

河口を司る水戸(みなと)の神の
孫の櫛八玉神(くしやたまのかみ)を料理人として、
神聖なご神饌を奉るときには、
祝詞を奏上して、この櫛八玉神(くしやたまのかみ)は、
鵜の姿になり、海の底に潜っていき
海底の粘土である赤土をくわえてきて、
その粘土で、神聖な平らな土器のお皿をつくり、
さらに、ワカメやアラメなど海藻類の茎から
火を熾す杵を創りだして、神聖な火を熾して
仰った言葉は、こちらです……。


この私が熾り(きり)出した神聖な火は、
高天原の神産巣日御祖(かむむすひのみおや)の命の
立派な新しい宮殿の煤が、長々と垂れ下がるまで焚き上げて、
大地の下は、地底深く岩盤に届くまで焚き固まらせて、
かじの木の繊維で作った白い縄を海中に長く伸ばして、
口が大きく、鰭(ひれ)も大きなとても立派な鱸(すずき)を、
釣り人の海人(あま)が、ざわざわと賑やかに引き寄せてあげてきて、この鱸を載せた竹の台がたわむほどに、たくさん盛り上げて
神聖なお魚の料理を、献上いたします。

大国主神さまは、そう、宣言されたのです。

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この大国主神さまのお言葉と決心を聞かれた
建御雷神(たけみかづちのかみ)さまは、
大仕事を終えられて、安心して
高天原へと戻られました

そして天照大御神さまはじめ、天つ神さまたちの
もとへ参上して、これまでの経緯を説明し、
無事に、争うことなく武力を使うことなく、
地上の葦原中つ国を平定されたことを、ご報告
されました。

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国譲り、その後……「約束」は今も!

ここからの続きは、『日本書紀』の一書にあるのですが……。

出雲の国造りをされて、そして国譲りをされて、
立派な荘厳なご神殿にお住まいになられた大国主神さま
高天原の高御産巣日神(たかみむすひのかみ)はこう仰いました

あなたの祭祀を司るのは、天穂日命(あめのほひのみこと)が致します。

この、天穂日命(あめのほひ)は、天菩比神とも書きます。
最初の使者として、出雲に降りてきて、三年間
大国主神様に媚びてなんの音沙汰もなかった神さま!


この天菩比神さま。3年何も連絡がなかったのは、
偉大なる使命のために、大国主神さまの懐に入り
心を和めていらしたから
ともいわれています。

そして国譲り後、高天原から、この天菩比神さまが、
出雲大社の宮司として遣わされて、
大国主神さまをお祀りしご奉仕された
のです。

国を譲られた天上界の天照大御神さま。
そのご子孫は、皇室であり歴代の天皇陛下です。
国を譲られた側は、国を譲った大国主神さまとの約束を
果たすべく、大国主神様を祀る奉仕者を遣わせた
のです。

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天菩比神さまと、そのご子孫は、ずっとずっとご奉仕をされています

国を譲った大国主神様を祭る出雲大社
その祭祀をとりおこなう天菩比神さま。
その末裔は、出雲国造(いずもこくそう)で、
今も出雲大社の宮司としてお祭りを続ける千家家です。

大国主神様のお約束のお言葉通り
今もなお、国造が亡くなられると、後継者は、
代々伝えられてきて、火きり臼と火きり杵で、
神聖で清らかな火を熾りだして、
その火でご神饌を調理して、
神さまと共に共食する儀式をされるのです。

「火継式」のご神事をとりおこなわれることで
神代からの天菩比神(天穂日命)の御霊を継承されていく
のです。

神代から続く縁(えにし)!
戦わず、武力を使わず
平和のままに
それぞれを尊重し祈る

この「国譲り」……どれほど尊いことでしょう……。

神話は今も生きている!

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―次回へ。

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