不具合その2 痛み
今日は腰が痛い。いわゆる腰のちょっと右側が嫌な感じに痛い。最近は、というか還暦の烙印を押されてからはずっと、ほぼ毎日、体のどこかが痛い。一日一痛だ(私が作ったので読み方は各自ご自由に)。腰だの膝だの肩だの、まんべんなくいろいろな個所を周っているようだ。
最初のうちはやはり心配で整形外科に行っていた。近所のまあまあ口コミのいいおじさん(おじいさん?)先生の診察を受けた。レントゲン写真をコピーして、それを見せながらいろいろと説明し走り書きを入れる。なかなかちゃんとしているなと思っていたのだが、結局は「歩き方」や「姿勢」の話になり、滔々と持論をぶちかましてくる。
「こうやって歩くとね、きれいな老人になるのよ。」
え? はあ。
そして自分のイケおじぶりを嬉しそうに話して診療は終了。確かに年の割にはしゅっとしていて元気なおじいさんだけど。3回ほどお世話になったが一度も湿布すら処方されていない。
とはいうものの、なんとなくしゅっとして歩くようにしたことが理由なのかはわからないけれど、痛みはいつの間にか解決するのだった。しかし痛みは前述のように体のあちこちで再発し私を悩まし続けている。痛みが腰や膝などの関節系だと、最近は湿布とストレッチで過ぎ去るのを待つようになった。
しかし先日、夜中に胸の痛みを感じて目が覚めた。
これはヤバい?
さすがに怖くなった。
つばを飲み込むとギュッと締まるような痛みを、胸か胃辺りに感じたのだ。その夜は痛み止めを飲んで寝たのだけれど、翌日不安は広がるばかり。数日前にコロナワクチン接種をしていたので、それも含めてググった。すると症状が「心筋炎」に近いような気がして恐怖が走った。
「接種後4日目くらいから?」
ピッタリ4日目だ。
「嚥下の際に痛みも?」
嚥下? ヤバい!
若い人に多いとか男性がほとんどとか書いてあったが、そっちの情報は完全に無視して心筋炎パニックになる私。医者に行かなくちゃ。
あ、今日は日曜だ。近くの救急に駆け込もう。大病院だし、あそこなら心配ない。もうすでに症状がなくてピンピンしているのに、救急受付でちょっと具合悪そうなふりをして入れてもらった。
「時間外診療費は8,000円ですが大丈夫ですか?」
うそ!高っ!
しかし私の頭の中には心筋炎がぐるぐるしていて、その心配は8,000円をも凌駕した。しばらく待たされている間、私は心筋炎と8,000円+診療費を天秤にかけながら自分を励ましていた。
結果から言おう。血液検査も全く問題なく、レントゲンも問題なく、無罪放免だった。
「食道の炎症が少しあるのかもしれませんね。」
若い担当医がそう言った。何かしらの理由を探そうとしてくれたのだろう。そして私は、13,000円という代償を払って安心を手にしたのであった。(もう一つ明るい要素を挙げるとすれば、当直の担当医とレントゲン技師が二人とも超イケメンだった。)
「老化」すると結構お金がかかる、というお話である。
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