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和歌・あなたに抱かれたまま消えてしまいたい

「かく恋ひむものと知りせば
夕(ゆうへ)置きて
旦(あした)は消(け)ぬる
露ならましを 」
万葉集巻12・3038

(こんな風に恋をすると知っていたなら
夕方におりて
朝には消える露になりたかった)

夜のうちに通ってきて
契りを結び
翌朝には帰ってゆくあなた

あなたへ恋するあまり苦しくて、
あなたが帰ってゆくのが耐えられない
会えない時間が耐えられない

こんな思いをするくらいなら
あなたが来る頃におりて
あなたが帰ってゆく頃に消える
露になりたい

一晩だけの命

あなたに抱かれて
わたしは消えてしまいたいのです

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