和歌・あなたは戻ってこない
「冬枯れの野辺と我が身を思ひせば燃えても春を待たましものを」
古今和歌集・伊勢
あなたはわたしを捨てた。
あなたを失ったわたしの心は、
冬が来て命がみんな眠った
荒涼とした野辺のよう。
ぱさぱさに乾いて、
ひびわれているの。
もう何も感じない。
もしあなたが
わたしのもとへ戻ってくるのなら、
わたしは恋の炎に燃え尽くされてもいい。
苦しみ悶えても、
愛の芽をふたたび出すことでしょう。
それはまるで
この冬枯れの土地に
春がやって来て、
野焼きの火を燃やして
命をめぶかせるように。
春になって
もしあなたが戻ってきたら…
なんて、
叶わない夢を抱くわたし。
現実は、
もう二度と
恋は燃えることはなく
二人のあいだに愛がめばえることはない。
そんなのわかりきっているのに…。
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