くて

思ったことを素直に書いていきたいです 小さな延命措置と備忘録のようなもの

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  • 創作詩です 口ずさんだ、ではなくてこの場合 打ちずさんだ、なんでしょうか

  • 小説

    創作の小説たちです どうぞよしなに

最近の記事

詩 夜を抱いて

夜、夜、夜 何かを生み出したくて 創り出したくて 深い闇色のカーテンみたいな空とか そこに散りばめられたビーズみたいな星とか 冬を攫ってきた風とか 全てを飲み込む純白の雪とか 急き立てるように、ずんずんと進んで それでいてなかなか進まずに永遠にも思える そんな時を等しく刻む時計とか 昨日と今日と明日の境目とか 焦燥と欲望と期待の差異とか 誰かを想って痛めた心とか 自分が知らないところで傷付いた傷跡とか なにかになりそうなものたち 形を成して 思いを乗せて どこか

    • 詩 眠りの花園

      目を閉じて体の力を抜く 眠気のしずくがぽとりと落ちて 硬く閉ざした蕾に跳ねれば しゅるりほどける真っ赤な花弁 眠りの花が頭の中で ひとつふたつと花開く 甘く優しく芳醇な 眠気を誘う花の香り するりするりとツタが伸びて 身体の上で交差をして だんだん身体が重くなっていく 今の私はまるで死体 敷き詰められた花に埋もれて 棺桶の中で死人のように 静かにひっそり眠りにつく 朝日が私をキスで起こすまで それまで今は眠らせて 花に埋もれて眠らせて

      • 詩 怠惰な日曜、晴れ、昼下がり

        リビングの1番大きな窓のカーテンを少し開けて 窓辺の床に寝転んだ レースのカーテン越しに陽射しが降り注ぐ 柔らかくて暖かくて そこだけ世界中で最も祝福されているような そんな眩しさだった 手を伸ばして机の上のクッキーでサンドされたアイスを手に取る 水分を含んでしっとりとしたクッキーが好きだと思う 食むとほろりと崩れる香ばしさとミルクの甘さ 冷たい幸せはじんわりと口に広がる 昔テレビでよく流れていた 何かの映画の主題歌を小さな声で口ずさむ ところどころ調

        • 詩 「秋の部:恋の詩」

          題名:お日様に恋した少女の詩 風が冷たいと感じると 決まってあなたを思い出す 柔らかく、優しく私を照らす あなたは私の暖かい光 鮮やかに、秋に色づく黄色い想い あなたを想ってこぼれ落ちるのは 跳ねるこころを模したかたち 揺れて、散って、舞って、積もる あの子のように、体を揺らして 「すき」と素直に言えないし その子のように、強い想いを 綺麗に紅く燃やせない あなたの寿命と比べたら 私なんて小さな灯火 それでも私は切に願うの あなたがこの先長い時を どうか幸せに過ごせま

        詩 夜を抱いて

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        • 12本
        • 小説
          5本

        記事

          小説 その雨を越えるには

          荷物も服装もそのままで、帰ってきてすぐにソファーに倒れこんだ。 疲労は限界まで溜まっていて、体は鉛のように重い。 (駄目だ、一回寝ころんだら絶対に起きれなくなる) そう予想していた通りに、一度重力に身を預けてしまうと、簡単には起き上がれそうになかった。髪型やシャツのシワを気にする余裕、そんなものなんて無い。 ザーーザーーー ポツ……ポツ、ポツ 雨がアスファルトに打ち付けられる音と、雨粒が時折り窓をたたく音たちが辺りに満ちている。遠くで車が水飛沫をあげる音。排水溝を流れ

          小説 その雨を越えるには

          顔上げよ! 乙女ゴコロとは 秋空よ 移れど迷わず 澄み、気高くあれ

          顔上げよ! 乙女ゴコロとは 秋空よ 移れど迷わず 澄み、気高くあれ

          詩 秋ということ

           このあいだ浮かんでいた  真っ白な入道雲は  手を伸ばせば簡単に  つかめそうだったのに  今日見上げた  赤く染まったいわし雲は  どれだけ背伸びしてみても  届きそうにはなかった  いつからだろう  遠くで堂々と誇り高く響いていた  蝉たちの声が  耳元でひっそりとささやくような  秋の虫の声に  変わったのは  秋と心を重ねるとき  なぜだかとても悲しくなる  これを愁いと言うのだろうか  空の顔色  風の態度  太陽の背たけ  それらの小さな変化に気付くたびに

          詩 秋ということ

          詩 月を捕まえる

          「あ、月」 高い建物が、周りからなくなって 一気に視界がひらけた どこまでも続くだだっ広い夜空に 三日月がぽつんと浮かんでいる 薄い藍色の和紙をひとひら重ねたくらいの 夜とも言えないあわいの時間 ときおり横を自動車が通る以外 ここにいるのはふたりだけ 歩く僕と 高い月 追いかけても跳んでみても 届きはしない どうにか月に触れてみたいと うなりながら立ち止まる横断歩道 ふと見上げれば 電線で切り取られた小さな空の中に なんと月が! 思わず右手を 月に伸ばす でも 小さな

          詩 月を捕まえる

          まるで、オレンジジュースに浮かべたソフトクリームのような、橙色を映した入道雲。 朝の元気の良さは消え去り、哀愁をにじませた蝉の鳴き声。 ブレーキをかけずに、一気に駆け下りる坂道。 暑さの和らいだ空に吹く、夕方の風。 何の飾り気もない、夏の帰路。

          まるで、オレンジジュースに浮かべたソフトクリームのような、橙色を映した入道雲。 朝の元気の良さは消え去り、哀愁をにじませた蝉の鳴き声。 ブレーキをかけずに、一気に駆け下りる坂道。 暑さの和らいだ空に吹く、夕方の風。 何の飾り気もない、夏の帰路。

          小説 「あ、今年初の蝉の声」

          今年もまた蝉が鳴きはじめた。空は青く、水たまりに反射した日差しが眩しい。それらを背景にして、夏を告げる蝉の声だ。 * 昔、蝉の鳴き声を聞いて泣いたことがある。 大好きだった先輩が部活を引退した春。それを通り過ぎてやってきた夏のことだった。 先輩がいない初めての夏の部活。そこで、その夏初めての蝉の声を聞いた。その瞬間に、去年の夏のことが一気に思い出されたのだ。 耐えきれないくらいの暑さの中で、汗だくになりながら一緒に練習をしてたときのこととか。暑さで顔を真っ赤にしながら

          小説 「あ、今年初の蝉の声」

          詩 海に行きたい

          海に行きたい たくさんの人や車で溺れる前に 蝉の声がわんわん響く街から泳いで 髪を撫でる潮風を振り払い 白くて暖かい砂に足をうずめたい 唇についた飛沫を舐めて 海と涙が同じ味だと確かめたい 何億もの人が流した涙でできたみずうみ 私もそれらの一部となりたい

          詩 海に行きたい

          雨上がり セミの合唱 はじめました

          雨上がり セミの合唱 はじめました

          詩 うつるもの、うつらぬもの

          知らぬまに きみの口ぐせ 伝染れども 移らぬ心と 押し花の色 好きな人の口ぐせとか 癖って無意識の内にうつるらしい と昔どこかで聞きました。 君のくれた花は まだ 机の奥のノートの間に挟んであります。

          詩 うつるもの、うつらぬもの

          詩 恋と砂糖と苦いもの

          ーーー恋が始まるときっていつだと思う? 君のことがすきで、 もっと知りたいと思う。 ずっと笑ったままで、 幸せでいてほしい。 砂糖よりも甘い あい で君を埋もれさせたい。 なのに、一雫の黒くて苦いものが、 ぽたりと落ちて、 じわじわと広がって、 真っ白なあいは少しずつ染まっていく。 一度目は、あのひとが、 あのひとの同級生と楽しそうに話していたときでした。 二度目は、あいつと、 新学期になってクラスが別れてしまうかもしれないと気付いたときでした。 そして三度目は、君が、

          詩 恋と砂糖と苦いもの

          詩 恋の気配

          桜の花が咲いていた 薄紅色のその姿を 揺れる水面に映していた ゆらりゆらり 波打つ輪郭 君の笑顔に惹かれていた けれども私はこの気持ちに 名前をつけていいものかと ふらりふらふら 臆病な心 はっきり見えぬ桜の木 友情、恋情、気の迷い  溢れ出しそうな池の水 隠せぬ想いは桜色 その時ざあっと風が吹いて ひらりと落ちた花弁ひとひら ぽこんと君からラインの通知 ああ やっぱり君が好きなんだと 鮮やかに染まるは春の気配

          詩 恋の気配

          詩 おふろ

           今日は  辛いことや疲れたことが  たくさんあって  強く口を結びながら  お風呂のドアを開ける  手早く頭と身体を洗って  さっとシャワーで泡を流し  いつもより熱めに設定した湯船に  ゆっくりとつかった  口元までお湯に沈みながら  目をつぶると  身体がじんわりと  温まってきた  ろうそくみたいだ、と思う  熱い温度に包まれた身体は  じわじわと  少しずつ少しずつ  溶けていく  硬くこわばった  奥の方のしんまで  ゆるゆると  ほどけていく  まぶた

          詩 おふろ