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クラシック音楽が同じ場所を繰り返し演奏する理由

こんにちは。
音楽家育成塾のこうたろうです。

本日は音楽コラム。
音楽ファンのみなさん、クラシック音楽は実は何度も同じ場所を繰り返しているのをご存知でしょうか。

そして、音楽家を目指す方、音楽家のみなさんはクラシック音楽がなぜ同じ場所を何度もリピートするのか考えたことがありますか?

筆者の音楽作品ブランドCuranz Soundsでリリースした432hzで聴く強力睡眠用BGMクラシック名曲選をBGMにお楽しみいただければと思います。

かなり強力な睡眠効果が発生する音響ですので、居眠りしてしまわないようにご注意ください。

Apple Music でご視聴の方

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リピート・・・

かなりベテランのジャズピアニストの先輩が昔こんなことを言っていました。

「クラシックって何回も同じところ演奏させられるやろう・・・あれいややねん、意味ないやん、何がおもろいねんあれ」

みなさんはどう思いますか?

確かに面白くないのかもしれませんが、意味はあると思います。

クラシック音楽がリピートする意味について考えてみましょう。

時代背景

音楽家育成塾ではざっくり音楽史の流れを理解するための記事を公開しています。

ここで言うところのバロック、古典、ロマン派あたりが今日本でも西洋古典音楽として広く知られているかと思います。

1、レコードはない

ここから時代背景を見ていきますが、まず最初にテクノロジー部門。
レコードなどの音楽を記録、再生するテクノロジーはまだありません。

最初のオルゴールは1796年スイスの時計職人アントワーヌ・ファーブルが懐中時計に仕込んだものが最古のものと言われています。
オルゴールの歴史、意外と浅いですよね。

オルゴールに関しては育成塾でかなり専門的に解説していますので、こちらの記事もご覧ください。

ちなみにレコードの発明は1877年12月6日あの有名な発明家エジソンが開発しました。
ブラームスの自作自演が残っていたり、ラフマニノフなんかは自作自演が当たり前ですよね。

2、大衆音楽としてのクラシック

クラシック音楽ってなんだか高貴な感じがしませんか?

ちょっとお金持ちのお嬢様が習っているイメージがあったり、コンサート会場は正装の人が多いしなんだか敷居が高い。。。

確かにそういう側面もあるかもしれません。
音楽家というのはそもそも貴族に仕えていた職業の一つですから。

しかしロマン派以降、特に顕著になってくるのはショパンやパガニーニなどが活躍した時代。

例えばパガニーニやリストなんかは現代で言うとジャニーズみたいな感覚で、アイドル的な要素が強かったわけです。

パガニーニについてはこちらの映画で当時のニュアンスを把握してください。

演奏はクレーメルのもので間違いは起こりません。

レコードはやはりパガニーニの死後発明されているわけですから当然こんなアイドルの演奏は聞けません。
(1782年10月27日〜1840年5月27日)

みんなコンサートの日を今か今かと待ち望み、チケットは転売もされていたことでしょう。

3、移動の制限

音楽の歴史を学ぶ上、知る上でもっとも重要な要素となるのがその地域性です。

旅をしない音楽家は不幸だと言ったモーツァルトはとにかく旅をするアーティストでした。
子供の頃からいろんな地域を旅しています。

たくさんの地域を旅して、たくさんの地域の文化や音楽を吸収するアーティストの方が表現の幅が広がるのは当然のこと。

現代でもミュージシャンは基本的にツアーを行い、自分たちの音楽を広める活動をしています。

おかわり機能

このような時代背景を考慮するとリピートする理由が見えてくるかと思います。

つまり、おかわり機能なのです。

自分の作った音楽をバズらせる必要があるのはベートーベンやパガニーニ、リストやショパンも現代人も変わりありません。

一回の演奏会で、「いい曲だな〜」と思ってもらう、そしてそれを覚えて帰ってもらう必要があるのです。

「こないだショパンのコンサートいってきたんだぜ!ノクターンって曲いい曲だったわ!」
「えーどんな曲なの?歌って?」

そうです、現代の日本人とは違い、西洋の人たちはいつも歌っていますし、いつも音楽にノリノリ。
会話をするように歌を歌います。

で、メロディーを歌ってあげてバズらせる。
酒屋でみんなで歌う歌に新曲が混じっていたら自分だけ入れないのは悲しい、だから必死で覚える。

音楽家は聴衆に自分のメロディーを覚えてもらうために何度もリピートをし、テーマとなるメロディーを繰り返すわけです。

あわよくば旅先でも覚えてもらって旅先でバズってくれたら最高に嬉しいわけです。

ハイドンだって繰り返す

ハイドンなどの貴族に就職するタイプの音楽家の音楽も繰り返します。

貴族だって好きなメロディーを何度も聴きたいもの。

レコードがないわけですから、音楽会で聴くしかありません。
一曲の中で何度も繰り返すことで、貴族の要求に応えていたと言えるでしょう。

ショパンの即興演奏

ショパンの音楽って実はジャズ音楽に通ずるところがあり、サロンでのコンサートでもテーマのあとに即興で展開していくことが多かったそうです。

弟子が近くに座り、ショパンの即興演奏をメモしていたといわれており、いくつかのフレーズが残っているという話を聞いたことがあります。

ジャズミュージシャンは憧れのアーティストの演奏するフレーズをテープがすり減るほど何度も聞きコピーするのが修行方法として一般的。

テープがない時代に音楽を伝える、残すということがどれほど大変なことだったのか、想像していくと、リピートする理由も見えてきますね。

ではでは本日はこの辺で。

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