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幸村 柊
2019年12月24日 19:00
あの子、お前の好きなもの聞いてきたよ。にやにやしながら国家機密よりも価値のある情報を教えてくれた友人は「おれにも早めにプレゼントくれたよ、お世話になってるからって言ってたけどお前のためのジャブだよなぁ」と少し拗ねていた。お前がクリスマス付近はパーティとかプレゼント交換とかでバレンタイン並に忙しくて近寄れないからじゃないか、と茶化すと、今年は論文でそれどころじゃないさ、と遠い目で外を見ながら
2019年12月18日 19:00
良かれと思って声をかけたが、後輩にこっぴどく拒絶されてしまった。ありがた迷惑、検討外れ、自己満足、浅慮、愚か。後悔したところで何にもならない。夜中に大学の研究室を抜けてきて、非常階段下の喫煙スペースで頭を抱えて煙草を灰に変える。「先輩、おれは誰かを愛してやれないのでしょうか」「どうしてそう思うの」壁に背を預けしゃがみこんでいるので頭上から声が降ってくる。事情を知らない先輩の