見出し画像

日々旅にして、旅を栖(すみか)とす

最近「”旅”は僕の仕事や人生そのものだなー」と感じたので、旅について書こうと思います。

僕の放浪遍歴

これまでの人生を振り返ると、僕は常に好奇心のままにフラフラしながら、新たな刺激を得て、その場その場で楽しいと思うことをやってきました。つまり放浪癖があるんだなーと、改めて思います。

最初の大きな旅は大学3年生だった2008年、休学してバックパックで世界一周放浪の旅に出ました。1年で36か国を旅する中で、世界のこと、自分自身のことをたくさん学びました。帰国後、別ルートで世界一周した親友と共に個展も開催しました。

世界一周放浪のルート

2011年に社会人になってからは「フリーランスっぽい社内コンサル」として社内の様々な部門の組織の課題解決をファシリテーターとして支援しています。会社内と言えど、多岐にわたる事業領域と30ほどの国・地域に広がるため、放浪し甲斐があります。

2017年からは本業だけでなくパラレルキャリアという形で、様々な複業先を放浪しています。複業は副収入だけでなく、個人の自己実現や、組織にとってのイノベーションにも有効だという気づきから「複業をテコにして本業を変革する人材 = パラレルプレナー」の普及・育成にも取り組んでいます。

プライベートの放浪については、2019年に子供ができたことをきっかけに、東京と愛媛の2拠点生活を始めました。地域を行ったり来たりしながら暮らすことで、それぞれの魅力にも改めて気づきます。せっかく住むなら地域の役に立ちたいと思い、愛媛県八幡浜市で市民協働コミュニティを立ち上げ、運営に携わりました。

2020年、コロナをはじめ世の中の変化がますます早く複雑になる中、社会の変化が起きつつある未知の領域(社会的フロンティア)に行って活動したいという想いで、一般社団法人Social Frontier Lab.を立ち上げ、代表理事になりました。


僕が旅する3つの理由

このように僕は私生活も仕事も、様々な形で放浪してきました。なぜそんなに放浪したくなっちゃうのか?内省してみると、3つの理由がありました。それぞれに関連したお気に入りの小説も含めて紹介します。

一つ目の理由は「移動すること自体が好きだから」です。電車、車、飛行機、サイクリング、散歩、水泳…自分が移動している時に感じる「自由さ」のようなものを感じます。また、いつでも移動できる状態でいるために、身の回りを必要最低限の物事だけに整理すること(ミニマリズム)も好きです。
リチャード・バックの小説「かもめのジョナサン」では、他のカモメが餌のために飛ぶのに対し、ジョナサンは飛ぶこと自体が目的なので、より高くより速く、ひたすら飛び続けます。

二つ目の理由は「未知の環境には、新たな出会いと気づき,学びがあるから」です。まだ自分が知らない国、街、職場、業界…未知の環境には新たな出会いがあり、その出会いから、世界や自分自身に関する気づきや学びがあります。
サン・テグジュペリの小説「星の王子さま」では、王子さまが旅した様々な星の人達との出会いから、世の中への洞察を深めながら、自分にとって本当に大切なもの(一輪の薔薇)に気づいていきます。

三つ目の理由は「旅で得た気づきや学びから、新たな創作への意欲が湧くから」です。創るものは、写真や作品、ソリューション、コミュニティ、組織など様々ですが、どれも旅から得たインスピレーションから生まれています。
パウロ・コエーリョの小説「アルケミスト」では、主人公が旅の過程で様々な試練に遭遇する度にインスピレーションを得て、錬金術を進化させていきます。


旅はキャリアや経営にどう効くか?

人材・組織分野で研究する自分としては「旅がキャリアや組織経営に与える影響」についても考えてみたいと思います。

人材・組織の観点で旅を捉えると、まず思い浮かぶのは「越境学習」というキーワードです。越境学習は、普段の場(ホーム)と普段とは異なる場(アウェイ)の間を行ったり来たりする経験から学ぶことであり、放浪のイメージにピッタリです。
越境学習はここ数年、人材開発領域で注目されていますが、当該分野の研究の第一人者である法政大学・石山教授らが「越境学習入門」を最近出版されました。この本では越境を「冒険」と捉えており、そのコンセプトに大変共感します。

実は僕自身も、越境学習を研究し論文を書いており、2019年にSIBRという国際学会でベストペーパーを受賞しました。今思えばその頃から、越境学習と旅を重ねて見ていたのかも知れません。

旅が越境学習だとしたら、個人のキャリアに対してどんな意味があるのでしょうか?この点についても過去に「旅とキャリア」をテーマに考察しています。この記事の要点は、複雑化する現代において、キャリアの理論と放浪の旅に類似点が増えてきており、「キャリアのコンパス」を持つために越境学習が有効だ、というものです。

また、旅が越境学習だとしたら、組織経営に対してどんな意味があるのでしょうか?この点には「両利き経営」というキーワードが関連します。両利き経営とは、一つの組織が、既存の知の深化と、新たな知の探索を同時に追求する経営のあり方です。両利き経営に関する私の仮説をこちらの記事にまとめていますが、簡単に言えば、組織メンバー全員がホーム(深化)とアウェイ(探索)を越境することが、両利き経営を実現するアプローチの一つとなります。


リアルに、旅を栖(すみか)にしちゃおう

以上の通り、僕の仕事や私生活は常に放浪でした。移動自体が好きで、未知の環境での出会いや学びから新たな創作をしてきました。旅は越境学習という形で、僕の実践と研究に深く関わり続けています。
僕は松尾芭蕉の「奥の細道」の「日々旅にして、旅を栖(すみか)とす」という一文が好きで、そんな生き方に憧れていました。なのでいっそのこと、もっとリアルに、旅を栖にしちゃおう!と思い立って、この春からキャンピングカーに乗り始めました。

我が家のキャンピングカー。風天の亀ちゃん号

これから「旅しながら暮らし、働く」というライフスタイルを少しずつ創っていきたいと思います。このキャンピングカーが、僕をどんな風景に連れて行ってくれるのか?どんな未知と遭遇し、出会いと学びをもたらすのか?そこでどんな創作をしたくなるのか?それがキャリアや組織経営にどんなインパクトを生むのか?とても楽しみです。

〈2022/3/9追記〉
走るサテライトオフィス亀ちゃん号に乗り、今日は鎌倉・七里ヶ浜で海見ながらお仕事です。

この記事が参加している募集

新生活をたのしく

嬉しくて鼻血出ます \(^,,^)/