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男はつらいよ お帰り 寅さん【ネタバレ】

この映画は20代にもお勧めですが、特に30代後半~40代にお勧めです。

世代的には、私は40歳を軽く過ぎてますがそれでも、寅さん映画がど真ん中の世代ではありません。
実は1作品も、最後まで「男はつらいよ」の映画を見たことがありませんでした。

私が小さな頃、正月になるといつもどこかのTVチャンネルで必ず「男はつらいよ」が流れており、テンポ悪く、だらだらとやっている退屈な昭和映画のイメージでした。

内容についても、テキヤを生業にした寅さんという人がいて、全国をふらふらと旅してて、実家は柴又で、その甥役にDr.コトーの吉岡秀隆氏がいて、、というアウトラインしか知らない程度でした。

でも、「男はつらいよ お帰り 寅さん」は、心の中で、号泣したくなるほどよかたったです。

もっと多感な頃にリアルタイムに見ていれば、私の人生を変えていたかもしれないと、少し後悔しました。

物語の舞台は「現代」で、吉岡秀隆氏が扮する小説家になった「満男」を軸に描かれていて、回想シーンなどで「寅さん」が登場しますが、

決して帰って来てないし、生きてるか、死んでるかもさえも一切あきらかにしていません。そもそも、そこがストーリーの主題ではありません。

寅さん映画の雰囲気、理屈じゃなくて、表情と雰囲気で人の心の機微に接してくる何か、それが主題。

一種のファンタジーと切り捨てればそれまでなのですが、これが大ヒットしてた時代に日本が高度成長してたのがよくわかります。

この映画の世界観が、高度成長期に急激に無くなっていき、その無くなっていくものを皆が求めていたんでしょうね。

今や、この世界観が無くなりすぎて、ファンタジーになってしまっているのですが、、。

ギリギリ今のタイミングでは、バカにできない良質なファンタジーになっています。

映画の中で、吉岡秀隆氏が演じる「満男」は、初恋相手の後藤久美子が演じる「泉」を何故か不意に思い出すことが多くなり、それと共に寅さんを思い出すことも多くなります。

過去の振り返り「ヴァーァァーー」とウジウジする男は、どの時代でもあるのではないでしょうか。

そして、初恋は誰でも大抵失敗するものではないでしょうか。そういう典型的なモデルを50年蓄積した寅さんシリーズで語るので、イヤミもワザとらしさもなく、説得力があり、、

ただただ、泣けます。

追記

唯一、オイオイと思うのは、池脇千鶴が演じる出版社の編集者。
「それでそのあとどうなさったの?」
「どうされたの?」といった、
品のある言い回しとフレンドリーさを混ぜ合わせた昭和感ある言葉をいまどきの30代女子は使いません。
「どうなさったんですか?」「どうしたんですか?」「どうしたの?」なら使うかもしれませんが、、
こういった言葉をセリフにいれるのが、逆にいいところなのかもしれませんね。

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