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Brooks Brothers: 「足し算」と「引き算」の哲学とその魅力

こんにちは。スラット是永です。
普段は高円寺の古着屋スラットで商品の仕入れをしております。


今回はアメリカ・メンズウェアの代表的なブランド、Brooks Brothers の魅力について書いてみたいと思います。


イントロダクション

仏教に「諸行無常」という言葉があります。これは、世界は絶えず変化しているという意味です。古代ギリシャの哲学、ヘラクレイトスも「万物は流転する」という有名な言葉があります。世の中は常に変化していて、ずっと「同じ」である物など無い。
 その中で不変の価値を維持することの難しさを考えると、アメリカのメンズウェアブランド、Brooks Brothersの存在は特に印象的です。このブランドは、「足し算形式」と「引き算形式」の商品開発の哲学を象徴していると言えます。

足し算形式と引き算形式の商品開発

一般的に、多くのブランドは新しいものを生み出し、価値を高める「足し算形式」の商品開発を進める様に思います。例えば同じく アメリカのメンズウェアブランドを代表する、ラルフローレンは時代に合わせて新しい商品をたくさん開発・提案をしてきました。

一方で、Brooks Brothersはその反対に、伝統と一貫性を守る「引き算形式」の商品開発に力を入れています。これは、昔ながらの品質とブランドイメージを変えずに、高い価値を維持する方法と言えるのではないでしょうか?

変わらないことの難しさ

全ての物が時間の経過とともに変わっていく中で、変わることと同じか、それ以上に変わらないことは難しいと言えます。特に、経営状況や市場の変動がある中で、一貫性と品質を保ち続けることは大変な挑戦です。また、洋服の素材は天然素材のものも多いです。気候変動やその他の環境変化によって品質が変わってしまうことも想像できます。

具体的にどんな難しさがあるのか?

変化の早い時代に伝統と一貫性を維持する難しさはどこにあるのでしょうか?いくつかポイントを書いてみます。

1. 革新性の欠如:
「引き算形式」の商品開発に重点を置くことで、ブランドが新しいトレンドやテクノロジーに遅れを取る可能性があります。

2. 市場の限定 :
伝統と一貫性を極端に重んじると、新しい市場や異なる顧客層に適応する能力が低くなる可能性があります。

3. 価格と周囲の認知:
高品質な原材料や職人技を維持することはコストがかかるため、製品が高価になりがちです。これが、一部の消費者からは「エリート主義」や「排他性」の観点から批判されるかもしれません。

4. 過度な保守主義 :
一貫性と伝統を重視するあまり、社会的な変化や多様性に対する適応が遅れる可能性も考慮されます。

5. 経営リスク :
破産や買収後にも伝統を保ち続けるというスタンスは、短期的な利益を犠牲にする可能性があるとも言え、経営戦略として批判される場合もあります。

ちなみにこれは、古着屋の経営に関しても同じことが言えるのではないでしょうか
どこまでを変わらないものとして、 どこからを変えていくのか?このバランスをいかにうまくやるかと言うことが、 時代の変化とともに生き残っていく術だと感じます。

2020年の破産保護申請…

近年、実際にBrooks Brothersは経営上の困難に直面しました。2020年には破産保護を申請しました。新しいオーナーとしてSPARC GroupとAuthentic Brands Groupが登場し、ブランドのリストラと再生に取り組む方針を明らかにしています。

近年のBrooks Brotehrsの新しいオーナーとクリエイティブディレクターについて:
https://www.gqjapan.jp/fashion/article/20220505-brooks-brothers-renewal


経営とデザインの変化

新しい経営体制下で、社内のデザイナーや経営の方向性にも変更が加わる可能性があります。しかし、その核となる伝統、価値とスタイルは、おそらく大きくは変わらないでしょう。この点が、Brooks Brothersが長い歴史を有するだけでなく、未来にもその価値を維持し続ける理由かもしれません。

Brooks Brothersの偉大さと魅力

Brooks Brothersがこのような哲学に基づいて長い歴史を築いてきたことは、ブランドの偉大さと魅力を感じさせます。伝統と一貫性を大切にしながらも、市場や消費者のニーズに柔軟に対応するバランスが取れている点が、特に評価されるべきだと、個人的には思います。

まとめ

「諸行無常」と「万物は流転する」という古代の教えが示すように、変化する世の中で一貫性と伝統を維持するBrooks Brothersの取り組みは、非常に価値のあるものであると言えるのでは無いでしょうか?それは、「足し算」と「引き算」の哲学をうまく組み合わせることで、真のブランド価値を築き上げている、アメリカの象徴的なアパレルブランドと言えるでしょう。



以上になります!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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