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プリンセス・クルセイド

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王子の結婚相手を決めるため、少女たちは剣を取る。剣と魔術で闘うファンタジーです。
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#3

プリンセス・クルセイド 第2部「ザ・ナイト・オブ・ヴァンパイア」 #3 【目覚める脅威】 5

プリンセス・クルセイド 第2部「ザ・ナイト・オブ・ヴァンパイア」 #3 【目覚める脅威】 5

「くっ……させるかあっ!」

 メノウはおよそ彼女らしからぬ叫びを上げながら鋭く剣を振り、斬撃波を放った。刃の先から細く長い光の筋が飛んでいく。

「グルアアッッ!!」

 だが大地を揺るがすようなマンティコアの叫びが、これを空中でかき消した。直後に繰り出される鋭利な爪での斬撃を、メノウは辛うじて前転で回避する。

「やはりダメか……ならば!」

 前転を終えると同時に、メノウは剣を謹聴させた。胸

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プリンセス・クルセイド 第2部「ザ・ナイト・オブ・ヴァンパイア」 #2 【ヴァンパイアハンター】 6

プリンセス・クルセイド 第2部「ザ・ナイト・オブ・ヴァンパイア」 #2 【ヴァンパイアハンター】 6

「……来る!」

 チャーミング・フィールドでの闘いを見届けたアンバーは、水晶から目を離して聖剣を鞘走らせながら部屋の一角に向き直った。そこへ一瞬閃光が瞬き、ジェダイトとカーネリアが虚空から弾け出た。

「クソッタレが!」

 ジェダイトは床に回転着地すると、悪態を吐きながら聖剣を構えた。

「でえりゃあ!」

 その直後、およそプリンセスらしからぬ叫び声とともに、イキシアが風の魔術を発した。聖剣

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プリンセス・クルセイド #3 【心の剣】 12

 穏やかな春の太陽が、青く澄み渡る空高くに輝いている。時刻はまだ正午前だろうか。そろそろ昼食のメニューを考えなければ。アンバーはそう考えて隣に座るミーシャを見た。彼女は何も言わずに俯いている。厩舎の地面の上に直接へたり込んでいる格好だが、アンバーはそれを咎めず、自らもその場にしゃがみ込んだ。ミーシャの腕の中には刃を折られた聖剣が抱かれている。アンバーが先程チャーミング・フィールドで斬撃波で葬ったも

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プリンセス・クルセイド #2 【太陽のプリンセス】 5

「さて、ここで決着をつけましょうか。多少、行儀は悪いかもしれませんが!」

「ひゃっ!」

 イキシア王女が横薙ぎに振り回した薙刀を、アンバーはかがみ込んで躱した。頭の上で風が鳴る。

「まだまだっ!」

 アンバーが顔を上げると、イキシア王女が流れていく薙刀を強引に振りかぶり、今度は縦に振り下ろそうとするのが見えた。アンバーは屈んだ姿勢のまま、真横に飛び退いて回避を試みる。間一髪で直撃は免れたが

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