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2018年9月の記事一覧
プリンセス・クルセイド 第2部「ザ・ナイト・オブ・ヴァンパイア」 #3 【目覚める脅威】 2
『どれほど日向の道を歩む者でも、時には陰に身を屈め、息を潜めなければならないことがある。それが生きるという選択だ』
父の愛読書である『剣聖――言葉の剣――』76ページの言葉が脳裏によみがえった時、アンバーは再びヴァンパイアの屋敷のリビングにある一脚の椅子に腰掛け、二人の友人が空き巣じみて家探しをするさまを眺めているところだった。
「二人とも、もう少し遠慮したほうがいいんじゃない? ここ、ホン
プリンセス・クルセイド 第2部「ザ・ナイト・オブ・ヴァンパイア」 #3 【目覚める脅威】 1
「ここは……?」
目を覚ましたそのとき、カーネリアは自分の居場所を認識できなかった。柔らかな温もりに包まれる体の感触から、どうやら快適なベッドの上に横たわっていることと、はっきりとしない視界に映る天井から、丈夫な屋根の下で仰向けに寝ているらしきことは分かる。だが、この状況に至るまでの過程は、彼女の記憶から丸ごと抜け落ちていた。
「……お目覚めですか?」
「……!」
急に聞こえてきた声に