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読書感想文〜愛情セミナー〜

勝手にロックダウン9日目
異常なし
以上。

世間的にはマイノリティ過ぎる情報ですが
実は地味に
キリスト教徒的には
1年で1番大切にしている時期となっております。
こんなご時世なんで
もちろん先月から教会は閉鎖
日曜日のミサもずっとありません。
そう、復活祭の時期なのです。
夢の国による広報功績のおかげで
イースターと言った方が
皆さまにピンとくるかもしれません。

昨日から聖木曜日といわれ
今日は聖金曜日。
明日は徹夜祭で日曜日に復活祭です。

宗教的行事は置いておいて
信仰というのは
孤独である事を緩和してくれるように感じます。

復活祭の週に
こんな本はいかがでしょう。
キリストの信仰に生きた
遠藤周作による愛情たっぷりのエッセイ集

遠藤周作 『愛情セミナー』 集英社文庫

遠藤氏はこのエッセイの中で
哲学的で根本的な愛の形を
明確な言葉をもち
アプローチをして回答している

それは全く抽象的でない
これが言葉を使う人のカッコいいところだ!

答えを導き出す
アプローチの仕方としては
小説家らしく
良本の紹介がある。

スタンダールの『恋愛論』や
ラディゲの『ドルジェル伯の舞踏会』など
フランス文学の名作を用いて
遠藤氏の軽快でコミカルな語り口に
エッジの効いたユーモアを交え語られている。
**
マルセル・プルーストという
フランスの大作家の言葉で
『不安は情熱を燃えあがらせ、安定は情熱を殺す』**
という情熱の定義がある。

この言葉に対し
遠藤氏は読者にわかりやすい
例え話をした後に
こうまとめた

これは至言である。と同時に
情熱はそれ故に愛とは関係がない。
愛は情熱が尽きたところから始まる
別の行為だからである。

「情熱は愛ではない。」

この2つを多くの恋愛論は
混同して書いてある。
遠藤氏ははっきりと何度も繰り返す。

「情熱は愛ではない。」

<人はなぜ愛するのか>
<嫉妬とはなにか>
<愛などなぜ必要か>
<愛における誠実とは何か>
<愛する事・信じる事>

これは全てこの作品の章題である。
日々、人類が頭を悩ます問いだろう。
その答えが全て書いてあるのだ。

遠藤周作のこの「恋愛論」は
時代を変えても色褪せない。
主にうら若き青年層に向けて書かれてあるが
これから恋愛するであろう人
たくさんの恋愛をしてきた人
結婚してる人
結婚してない人

結局どの世代が読んでも響く
遠藤氏の言葉の熱量に感動する。

・人生の意味が初めからわかっていては
我々は生き甲斐もない
・人生の意味がなかなかわからぬから
我々は生きる甲斐もあるのだ

若い時に読みたかったと思うけど
この本に出会う時節は
きっと今だったのだな。

最後に遠藤氏から
若い人たちに向けてのメッセージを。

【易しい事は青春にとって悪である。諸君は青春の倫理として、難しい行為を選ばねばならぬ。それでは現代において難しい行為とは何か。
それはこの地上でたった一人の女を選び、
その女を愛するように努力することである。
一人の女を選んだならば、それを生涯、棄てぬことである。
これは易しい事ではない。
易しい事ではないから
青春にいる諸君はやってみるべきではないか】


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