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珈琲が美味しくて、人生の価値観が少し変わった

『エチオピア イルガチェフェ』
という響きにピンとくる人はいるだろうか?
珈琲の種類だが、私は昨日まで聞いたことが無かった。
珈琲が飲めない私は、アメリカン珈琲が一体何なのかすら、
イマイチ理解していない程界隈に疎い。

珈琲は私にとって、とことん縁のない飲み物だった。
だけど人との出会いが多い程、知らない世界は切り開かれる。



どうやら私は転職先を失敗したようである。
前の会社を辞めたことに関してはタイミングとしても良い時期だったが、
今の会社が辛くて仕方が無い。
教育担当者がかなり冷たく、私なりに態度を気を付けているがやっぱり変わらず、
私の存在そのものが嫌いに違いないとまで思いこむようになった。
人間関係というのは本当に重要で、
そう思うとその人に対しても会社に対しても不信感が募ってしまい、
私の精神状態は平日食べ物を受け付けなくなる程どん底に陥ってしまった。

幸い周りの人たちは満場一致で「辛いなら辞めた方が貴女のため」と言ってくれるので、その言葉を心のお守りにギリギリまでやっているが、
負の感情は加速するばかりで、退社後何をする気力も湧かず、今日までエッセイのネタにする元気すら無かったのが事実だ。

だから昨日、大阪に行く予定も蹴ってしまおうか、本当は少し悩んだ。
故郷でもある大阪に帰ってしまうと、私の自立心が全て吸収されて戻れなくなってしまう不安があったからだ。

大阪に行ったのは丁度作品を出した展覧会が開催していたからで、折角なので遊びに行きたいと思ったからである。
普段とても良くしてくれているフォロワーさんに会う機会も恵まれたので、
結局行くことを選んだ。

今思えば、行って正解だった。
人の温かみに触れることがどれ程大切か、身に染みて実感したのは久々だった。

フォロワーのたろりずむさん(短歌をめちゃくちゃ詠める人)は、短歌界隈でも有名な『葉ね文庫』を紹介してくださった。
葉ね文庫の店員さんはとても気さくで優しくて、その上他のフォロワーさんに会えたり、新しく知り合った人もいた。
居合わせた人たちはみんな優しかった。

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(短歌読むといつも「無意識に誰かのパクってしまってないかな??」と不安になるのですが私だけのあるある??)

葉ね文庫では短歌を飾って貰い、私の好きな猫を題材にした短歌一筆箋が売っていたので、記念に買って帰った。


展覧会には元々友達が居るのが分かっていたので安心して向かうことが出来たが、それでも作品を出している以上『在廊』する側である。
どんな顔して行けば良いのか分からないドキドキ感はあった。

在廊というのは作品の側で待ち構えて、見に来てくれるお客さんをおもてなしするイメージだったが、結局私は主催側の方々におもてなしして頂くという甘い時間を過ごすことになった。
初めて会う方が多い空間で、みんな優しかった。
わざわざ私が展覧会に参加すると聞きつけ、遊びに来てくれた人も居た。
「小説は読むのに時間も掛かるし、その場で読んでくれる人は少ないかな?」と思っていたが、腰を据えて読んでくれる人もいて、
その上販売している作品集を買ってくれる人もいた。
今思い出しても気持ちが込み上げてくるほど嬉しかった。
優しさの渋滞とはこのことである。

そんな優しさに包まれた空間の中で、私は冒頭に記した珈琲に出会った。
展覧会イベントの一環で軽食と珈琲を頂くことが出来たので、最初私はホットサンドだけ頼もうかと思っていた。
珈琲を、生まれて一度も美味しいと思ったことが無かったのだ。
一緒に居た友人(めちゃくちゃ絵が上手い)も珈琲は苦手だったが、彼女もまた優しさと人情に包まれたエンジェルガールだったので、「折角やっているのだから頼もうぜ!」と珈琲を注文していた。
私は彼女の人情を本当に見習わなければいけない。
珈琲頼まなくてごめん、と思っていると、珈琲を淹れてくれたお兄さん(通称マスター)が、ご好意で二人分に分けてくれた。
この一連の優しさが無ければ、私は『エチオピア イルガチェフェ』に出会うことが無かった。

珈琲は「不味くない」でも「飲める」でもなく、「美味しかった」のだ。
私は大変に感動した。
紅茶にも近い味で独特の苦味も少なく、たまに聞く「フルーティな珈琲」を初めて理解した。
こんなに心が動いた瞬間が余り無いのでその場で上手く伝えられなかったが、
この単語を脳に刻まなければいけないと思い、慌ててメニュー表を撮った程だった。
優しい人たちありがとう。
忘れないように毎朝復唱することにします。
珈琲の美味しさで上機嫌になった私は、酒でも呑んだんかというくらい初対面の方々に仕事の愚痴を撒いて、それでもみんな優しく聞いてくれた。

大阪に向かう道中までのどよよんとした憂鬱は随分なくなっていて、
大阪に来て良かったと思った。
世の中こんなに優しい人がいっぱいいて、
会社にいる冷たい人たちの方が一握りなのだ。
会社にいる冷たい人たちを私の人間関係リストに加えなくても良いし、
私がその空間から脱出するのもひとつの手だし。
とりあえず、あと1週間だけ頑張ってみよう。

最後にたろりずむさんが私の作品を元に書いてくださった短歌と、
12月にも引き続き開催される展覧会の宣伝まで。


週一回会える友だち七人で作る白無地ジグソーパズル
twitter:@tarrorism

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