木芽月(すりみ)

詩などを書きます。

木芽月(すりみ)

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最近の記事

【詩】あら

あらら魚のあら汁飲んで 粗の目立つ味に荒ぶって 洗い物まで新たに増えて コアラはいいなと言うアラサー

    • 【詩】涙があったかいのは

      涙があったかいのは 泣くほど辛い私に 体が優しさを くれたのかもしれない 涙があったかいのは 泣くほどの嬉しさで 熱くなった胸に つられたのかもしれない

      • 【詩】冷たい言葉

        思い浮かんだ一言 私から出たはずなのに なんて冷たさだろうと 思わず息を止める こんなこと思っていない そこまでのことじゃない 私はもっと優しく 心は広いはずだ この言葉が万が一 口から飛び出したら 相手よりも私が 動揺すると思う 酷いことを思った 私を許してください 心では思っていない どうか信じてほしい 私が私に言う なんて恐ろしい子 ニコニコする裏で そんなことを思うの? 思いついただけで ちゃんと言わなかった だからごめんなさい 許してよ私

        • 【創作】救われたいのは

          「ただ死ぬんじゃ迷惑なだけだし、誰かを庇うとかさ、ヒーローになって死にたいんだよね。」 そういった彼女の視線は、どこか遠くを見ながら揺れていた。 それが私には、まるで自分がヒーローになるのにお誂え向きの悲劇を探しているように見えた。 周りの言うことは当てにならないと、渡した愛を全て踏みつけ、知らない人からの罵声を真実だと手放さない。 あなたに傷つけられている私のことを先に救ってくれないかな、なんて思ったことは顔に出さなかった。 誰かを救って自分は死ぬなんて望んでない

          【詩】チョコをちょこっと

          甘くておいしいチョコを ちょこっと食べた僕は 持ち主の姉に こちょこちょ攻撃をくらった ちょこんと座る僕の 可愛さに負けたのか 姉のこちょこちょに ちょーこまった顔をしたからか ちょこっとで解放された僕は もっと食べたくて言った 「そのチョコちょー粉っぽいよ!」 「だから食べてあげるよ姉さん」 「あんたにあげようと作ったチョコよ」 「ちょこざいな真似してすみません!」

          【詩】チョコをちょこっと

          【詩】道

          道と呼ぶには荒れ果て かといって自然でもない ここをわたしは今でも 道であると思う これを道と呼ぶのは ここを通った先に あなたが輝くような 場所があるはずだから 道はあちらまで続く そこは未来 或いは希望 道の上で動けぬ今 ここは点 死神の寝床 好きな花を踏みしめて 歩く力がもうない 遺された記憶と私 木漏れ日が照らしだす ここで眠りたい ずっと眠りたい 背中を丸め自分を抱き 一つの石になりたい あちらへ行く誰かに 拾われ手に収まり あちらへと行きたい

          【詩】息

          息をしていた 息をしていた 空気を吸って その後吐いて また吸って また吐いた これだけのことが こんなにもしんどい 生命を維持することを 何かが拒んでいる 息を止めてみた 我慢して我慢して 全身から汗が流れる 耳から川の音がする 目の前に星が飛ぶ 体が小刻みに震える プハアッ! ハア、ハア、ハア ついに我慢できず 息を吸ってしまった 相変わらずしんどい 心がこんなにも重い ただ生命の維持を 拒む力は少し減った どうしようもなく 生きようとする体 ど

          【創作】もしも私が死んだなら

          「もしも私が死んだなら、3日は泣いてほしいなあ。2週間はことあるごとに思い出して、1ヶ月経つまでは新しい恋人は作らないでくれたら嬉しい。でもそうだな、そのあとは私のこと忘れて幸せになってよ。」 あなたはすぐに私のことを忘れちゃいそうだから、せめてこれくらいはね、と彼女が笑っていたのは一昨日の夜だった。 今日、僕は彼女の通夜に参列している。 事故だった。飲酒運転の車に轢かれて即死だったと聞いた。地域のニュースで一度読まれただけ。犯人はすぐに捕まった。 まだ現実感がない僕

          【創作】もしも私が死んだなら

          【詩】暗闇

          ある日目を覚ますと 私は暗闇にいた 何も見えなかった 私しか分からなかった 声を出しても聴こえず つねっても痛くない なんの匂いもなく 誰の温もりもない まだ手はついているのか まだ足はついているのか 私はいるのか 私ってなんだ 考えることをやめたら 私が消える気がして 怖くなって泣いた 涙は感じない いっそこの暗闇に 溶けてしまえたら 私はひとりから 解放されるのに 暗闇は私の影だけを奪う 本当の1人ぼっちにする ある日私は突然 沢山の視線に気づいた

          【詩】梅酒

          昔々あるところに あなたとわたしがおりました 今となっては昔のこと あなたとわたしがおりました ある日あなたはこう言いました 「君とは今日で最後だ」と わたしはあなたに言いました 「それなら梅を取りに行きたい」 雲一つない空の下 二人で梅をもぎました 朝になると言われた通り あなたは隣にいませんでした わたしは顔を洗い終わると 大きな壺を取り出しました 昨日の梅をただひたすらに 壺に詰めては泣きました あなたと過ごした日々と梅 氷砂糖とお酒を

          【詩】 鬱

          何故だか背中が気持ち悪い 喉の奥がつっかえる 瞼が腫れて目を閉じられず 叫びたくても声が出ない 何を言えばいいんだろう 何も言わないほうがいい 迫り上がってくる何かを 形にしてあげる元気がない 目を閉じれば浮かぶ悪いもの 目を開けることで目を逸らす 逸らしたい 逸らせない 今日もまた 目を閉じられず夜を明かす

          【詩】 冬眠から覚める時

          冬は暗い 冬は寒い 冬はひもじい 冬は静かだ 嫌なことばかりある それならば寝てしまおう 何も感じないように 何も考えないように 僕の吸う音 僕の吐く音 僕の鼓動 僕の体温 丸まった僕は赤ちゃん ここはお腹の中 心配はいらない 心配はいらない 色んな夢を見た ここは心地いいのに どうして夢の中では 外にばかりいるの? ふと目が覚めると 外は明るかった 雪解け水の流れる音 若葉の匂い 僕はここから出たくはなかった それでも外は明

          【詩】 冬眠から覚める時

          【詩】 逆夢のまま

          昨日見た夢で 君は事故にあった 目の前ではねられた君の 薬指が頬にあたった 目を覚ますと横で 君が寝ていた 寝息を立てながら動いた 薬指には指輪 あまりに僕が見つめるから 起きた君に夢を話した それはきっと逆夢だね、と 笑う君を抱きしめた 逆夢のままであれ 正夢に変わるなと そう願う僕の頬に 君の指輪が当たった

          【詩】 逆夢のまま

          【詩】 優しい世界

          花が咲き乱れてさ 小鳥は囀ってさ バラの棘はふわふわでさ 綺麗な言葉と歌が溢れる そんな優しい世界があったら 君はそこで生きていて 僕はそこへはいけないけれど 優しい世界に僕はいらない 花は枯れ果ててさ 鳥は冬を越せなくてさ バラの棘は尖った針でさ 汚い暴言と不協和音 そんな苦しい世界があったら 僕はそこで生きていく 君はここへはきたらダメだよ 苦しい世界は君に似合わない 手を振るつもりで上げた手を 君は思いきり引っ張った こんな力があった

          【詩】 優しい世界

          【詩】 満月

          月が満ちた時 僕たちは思う とても綺麗だと 完璧な月だと 月の裏側も すべて輝いている そんなわけないのに そんなふうに思う 月が満ちた時 特別な名をつける 生きる喜びと 感謝を込めた名を 月の裏側を 裏と言ったのは誰 完璧な満月 僕たちには見えた 狼の遠吠 香りたつ花 誇り高き角 白銀の世界 闇が一番小さい夜 月の光が家路を照らす