【創作】もしも私が死んだなら

「もしも私が死んだなら、3日は泣いてほしいなあ。2週間はことあるごとに思い出して、1ヶ月経つまでは新しい恋人は作らないでくれたら嬉しい。でもそうだな、そのあとは私のこと忘れて幸せになってよ。」

あなたはすぐに私のことを忘れちゃいそうだから、せめてこれくらいはね、と彼女が笑っていたのは一昨日の夜だった。

今日、僕は彼女の通夜に参列している。

事故だった。飲酒運転の車に轢かれて即死だったと聞いた。地域のニュースで一度読まれただけ。犯人はすぐに捕まった。

まだ現実感がない僕だが、彼女の家族が泣き崩れるのを見て涙が溢れた。

3日は泣く約束だから、涙が出て少し安堵した。

なんで君はあの時あんなことを言ったのだろう。直感が鋭い人だったから、予感があったのだろうか。それならば家から出ないで欲しかった。僕が閉じ込めてしまえば良かった。

流し聞いたはずの言葉をまだ覚えている、それくらいすぐに君は逝ってしまった。

これから君の希望通りにしていこう、と思ったはずだった。



あれから半年経っても、1年経っても、10年経っても、君を思い出す。
ずっとずっと、君が好きだ。君が隣にいないことは辛い。でも君を思い生きることは、不幸ではないよ。

いつか会った時のネタ話を貯めるために僕は今日も生きている。面白いことが大好きな君と一生分笑うために。

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