28-5 梅すだれ 雑賀 お滝の恋
マサの姿が見えなくなるとお滝は笠を拾ったが、被ることはなかった。マサの大きな手に揉まれた胸には痛みが残っている。その胸を隠すように笠を抱いた。今さっきマサにされたことを思い出すと腹の底に火がついたように体の奥が熱くなる。なめられたうなじの感触が火を燃え上がらせて体全体を焦がしそうで恐怖さえも感じる。炎を吹き消すように足早に家へ戻った。
ここから先は
929字
¥ 100
この記事が参加している募集
小説「梅すだれ」を連載中です!皆様の支えで毎日の投稿を続けられています。感謝の気持ちをパワーにして書いております!