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クンダリニーについて

ヨガや精神世界に関心がある人は「クンダリニー(クンダリーニ)」について耳にしたことがあるかもしれません。
面白いことに臨死体験系の情報にもたまに登場します。

私はこれに関しては、まともな思索がほぼ不可能です。
それは私は未だ自分自身の定義におけるクンダリニー体験がないからです。

今回は考察の方向性を示したものであり、かつこのnoteでも「クンダリニー」という言葉が登場しているので、そのリンク用記事でもあります。

歓喜仏(ヤブユム)のイメージ

唐突ですが、ヤブユムのイメージについてです。この瞑想する人noteでもしばしば登場します。
私はこのイメージを気に入っています。

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「男女尊交合歓喜仏」です。まぁ、単刀直入にいうと「性的ヨーガ」のイメージそのまんまです。
智慧と方便、男性原理と女性原理の合一を意味するなどといった思想的解釈もあります。

上のはチベット仏教(密教)のグヒヤサマージャ(秘密集会)なのかもしれませんが、私には判別する知識がなくて正確なことは分かりません。

Pixabayで見つけました。(WikiImages氏によるPixabayからの画像)


たしかに誤解を招きやすいものではありますが、このヤブユムのイメージは以下の点から密教的な生命エネルギーの体験にピッタリなものだと感じ、私は気に入っています。

・実際に、生命エネルギーの体験においては意識とエネルギー(力)の合一と感じられるような体験がある。
ヨーガではシヴァとシャクティ(シャクティ女神)の合一などと表現されることがある。

歓喜がともなう。その歓喜は特に初期的な段階では「性」を連想させることがある。
しばしばこの歓喜とともに「一体性」のようなものが感じられることがある。

・この瞑想する人noteにおいては、生命エネルギーの人体における重要な起源の一つは、性・生殖に関係する神経生理システムであるとしている。

・意識(顕在意識)と無意識(潜在意識)との関係においても興味深いイメージかもしれない。

クンダリニーの関わるようなマニアックなヨーガなどの実践で、しばしばこの歓喜の体験があるとされます。

ちなみにこの歓喜の体験については、内丹(仙道)系の情報ではあまり強調されていないようですが、小周天よりも進んだ段階とされることが多いです。

「エナジーオーガズム」というものと何か関係があるのではと考察する人もいるようです。

念を押しておきますが、私は左密(性的ヨーガ)自体は外道外法であるとして批判的に考えています。

クンダリニー

クンダリニーというのは人体のチャクラ、ムーラダーラ・チャクラなどに眠った状態で存在していて、瞑想、呼吸法などの特殊な方法で目覚めるといろいろと凄いことが起こる、などとヨガや精神世界系の人達が言っています。
関連note:チャクラについて ↓ ↓

クンダリニー(クンダリーニ)の体験は、小周天よりもずっと激しい体験とされることが多いですが、その定義に関しては、いろんな人がいろんなことを言っています。
優れた本物の実践者の中でも見解が分かれているようです。

内丹(仙道)では真気発動、丹道周天、大周天、真通、頭頂開などといったものがあるとされ、それらがクンダリニー体験に該当するという見解もありますが、流派、指導者によって言っていることが全然違っていたりします。

たとえば大周天がクンダリニー体験のことであるという人もいれば、大周天はクンダリニーよりもさらに進んだ段階とか、逆にクンダリニー以前の段階で、小周天よりももっと「気の活動」が高まった段階だという人もいます。

チベット密教のナーローの六法(6ヨーガ)にあるツンモチャンダーリーの火(チャンダリーの火)がクンダリニーだという人もいます。

ちなみにヨーガではクンダリニー覚醒のためにヴィム・ホフ・メソッドにあるような呼吸法が用いられることもあるようです。

クンダリニー体験の関連note:ゴーピ・クリシュナの体験 ↓ ↓

密教について① 起源(直接体験、神秘体験)と問題点  > 密教の起源

楽天ROOM:瞑想・ヨガ・気功・呼吸法・密教・思想など


現時点での見解

内丹(仙道)の陽気や小周天、チベット密教のツンモ(チャンダーリーの火)、ヨーガにいう「アパーナ気とプラーナ気の結合によって生じる熱」はクンダリニーやそれに関する体験なのでしょうか?

それはそれぞれの人の定義、表現次第だと考えています。これらをクンダリニーに関するものとすることもできると思います。
これらを生じさせるのがクンダリニーのシャクティだと言うこともできると思います。

基本的にはクンダリニーはもっと進んだ段階のものとされます。
その場合でも、これらは以降の実践次第ではクンダリニーの体験に連なっていくようなものだと思われます。


私自身は、まだクンダリニーの体験がないので明確なことは言えず、以下は現時点での考察の方向性です。

まずクンダリニーとは何なのかではなくて、何をもってクンダリニーの体験とするかということで分類、定義しようと考えています。

また「ムーラダーラやスワディシュターナといったチャクラが “実在” し、クンダリニーはそれら脊椎基底部付近のチャクラに眠った状態で “実在” している」とは考えていないです。

「意識-脳・神経生理システムにおける活動や現象、体験として存在する」と考えています。
識閾下のもの(内丹・仙道に言う先天、不識神、元神など)も強く関わると思われます。

人間の意識と神経生理において、ある条件が満たされた場合に、人体においてもクンダリニー体験と呼ぶような明確な活動、現象が生じると考えています。


クンダリニーの体験を身体的な体験だけではなくて、明確な「意識の体験」「内なる意識の体験」がともなうものだろうと考えています。

現時点では私は「内なる意識への没入、内なる意識の顕現」の強めの堅固な体験(身体だけでなく意識状態にも及ぶ体験)をもってクンダリニーの体験であるだろうとしています。

クンダリニーの体験の身体的な体験・活動というものは、内なる意識への没入やその顕現に対応する人体(神経生理)の変化、反応だろうと考えています。

「脊髄付近をエネルギーのようなものが上昇した」とか、それによって「至福感に包まれた」といった程度の体験は、クンダリニーの体験には含めない考えです。
それらはヨーガにいう「アパーナ気の上昇、プラーナの上昇、気道(スシュムナー、ナーディー)の浄化・活性」の段階に含まれると考えるの適切だと考えています。

このような定義、分類ではもちろん内丹の小周天はクンダリニーの体験には含まれません。

関連note:ヨガのスシュムナー(中央気道)について。バルド、空性大楽


密教の体系 ―― 三次第(3ヨーガ)

現時点で私は密教の体系に関して、少しくらいは「ナーローの六法(6ヨーガ)」を意識しているのですが、大ざっぱに三次第(3ヨーガ)を仮定しています。

「熱のヨーガ」「歓喜のヨーガ」「光明のヨーガ」です。
もしくは小ヨーガ(熱のヨーガ、歓喜のヨーガ)と大ヨーガ(光明のヨーガ)という体系でも。

熱のヨーガは内丹の陽気の発生や小周天を含むような段階です。
歓喜のヨーガは、そのまま歓喜の体験といったものがともなう段階です。
光明のヨーガは「光明」つまり意識それ自体、内なる意識に密接に関わる段階だろうと考えています。

クンダリニーの体験は特に光明のヨーガに関わるものと考えています。
光明のヨーガの入り口にあたるのがクンダリニーの体験だろうと考えています。

クンダリニーは危険?潜在能力が開花?

スピ系、精神世界系などでは「クンダリニーには危険なところもあるが、良い指導者のもとで安全に覚醒・上昇させることができる!クンダリニーによって多くの潜在能力が開発できる!超能力が開発できる!超人になれる!解脱できる!アセンションできる!」などという人もいます。

こういったことに関して私は「クンダリニーは安全」などといった主張は、あり得ないと考えています。
そもそ巷のスピ系に見られる(潜在能力を開発するために)クンダリニーは安全に覚醒できるか、できないか」という考察自体がまともではないように考えています。

そのような関心、議論の次元のものではないと考えています。


クンダリニー未体験者の私には説得力のある説明は無理なので、「過去の例」を喚起するので考察してみて下さい。

クンダリニーの体験者、理解者と自称する人達の間では諸見解はあると思うのですが、この瞑想する人noteでしばしば言及しているかの大事件を引き起こした教団では、クンダリニーに関する実践が間違いなくあったと私は考えています。

ではその教団の信者はクンダリニーによって解脱し、潜在能力を開発し、多くの人を幸せにするような菩薩行ができたでしょうか?
未来予知の超能力を得て、自分達や社会の行く末を感得できたでしょうか?
「ツインレイ」なんかと出会ったり、「宇宙の導き」やら「引き寄せの法則」やらを使いこなせて幸せな人生になったのでしょうか?

いいえ。
教祖及び重大犯罪に関わったとされる信者――彼らは皆がクンダリニーの体験があったであろうと私は考えていますが――は死刑になりました。


「クンダリニー症候群」といった心身の不調混乱のリスクが言われていますが、このようなリスクを上手く回避できれば安全だというものでもないと思います。
「クンダリニーは安全」とか「安全な覚醒法」といった主張には、そもそも馴染まないものであると考えています。

クンダリニーというのは、この社会を無難に過ごしていきたいと考える人は、特に関心を持つ必要があるものでもないと思います。

瞑想は現在では健康、アンチエイジング、ストレスマネジメントなどを目的として行われていますが、クンダリニーなどマニアックな実践はそういったものから外れるものだと考えています。


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