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第2チャクラ(セイクラルチャクラ、スワディスターナ)【ヨガのチャクラ】

主に第2チャクラ(スワディスターナ、セイクラルチャクラ)についての思索。

第2チャクラ(スワディスターナ)

タマスに覆われ  ラジャスに弄され
無意識の中で 動物としての情動に絡まり  暗く不気味にうごめき
感官の快楽や肉欲、激情や安逸、エゴや世俗的な獲得を貪ろうと  消耗される生命エネルギーが

精神的・霊的な目覚めを得る最も初期の段階


地の地なるものとして下方に流れ漏れ落ちるものが  せき止められ  逆流しヨーガの火(ツンモ、陽火)は燃え上がる

彼は 内なる霊性(スピリチュアリティ)を求めること、菩提心、信仰心、バクティ(親愛・帰依)の内的な理解を得て
その道筋を堅固なものとするだろう

関連note:瞑想する人のチャクラ論

生命エネルギー上昇の開始点 ―― ムーラダーラorへそのチャクラ

ヨガやチベット密教、内丹(仙道)では、生命エネルギーの覚醒・上昇という体験に言及されています。
最も有名なのがクンダリーニ(クンダリニー)の体験だと思われす。

この生命エネルギーの上昇の開始点となるチャクラについて諸説あるようです。
どのチャクラで生命エネルギーが眠り、覚醒し、上昇するかです。

ムーラダーラだという見解もあれば、へそのチャクラ(スワディスターナ、マニプーラ)だという見解もあります。


これは伝統、修行法での違いや、実際の体験者の主観的な感覚や説明の違いによるものでしょう。
このような見解の違いをことさら強調するのは、意義がないことだと思われます。

ムーラダーラは人体の神経生理系において、生命エネルギーの活動が生じるための「駆動力」の開始・発生点だと考えています。
へそのチャクラ(スワディスターナ、マニプーラ)は転換点、反応点、拡大点として明確な地点だと考えています。

どちらの見解が正しいor間違っているというものではないと思われます。


関連note:クンダリーニ系ハタ・ヨーガ。瞑想やムドラーを重視する密教のヨーガ


精神的態度

低次のチャクラ(ムーラダーラ、スワディスターナ、マニプーラ)については、物質とか肉体、欲望、貪・瞋・痴に深く関わるというのが一般的です。

ここで注目しておきたいのは、低次のチャクラは生物的・肉体的・物質的な次元での「貪り(むさぼり)」に関わるだろうということです。
(快楽、安逸、エゴの欲求、物質的・肉体的な獲得のために)「私は欲する」というものです。

これは生物として この地上で、そして人間として この社会で生存し、よりよく生きようとする欲求・本能にも根ざすものだとは思います。

第2チャクラ(スワディスターナ)は、特に性欲と深く関わるされます。


この低次のチャクラの段階を超えて、生命エネルギーを上向きにするために役立つ精神的態度があると思われます。
それは「私は欲する」というのを適切に制御して(エゴ無く、非利己的な)「与える」というものだと思われます。

この「与える」という精神性は、低次のチャクラだけではなくて、どのチャクラにも関係するとは思われますが。


この段階では「与える」という態度を通して、物質的・肉体的な次元から精神性や霊性へと向かう段階、社会的な価値へと向かう段階と言えるかもしれません。

あとはポジティブな態度、ポジティブシンキングなども役立つとされます。

関連note:顕教について

・生命エネルギーと節制(禁欲)

ヨーガの火(チベット密教ではツンモ、チャンダーリーの火。内丹・仙道では陽火)といった密教的な特殊な実践では、性の節制(禁欲)が説かれます。
これはスワディスターナなど低次のチャクラや下降しがちなアパーナ気を制御し、生命エネルギーの上昇の流れを生じさせるためなどと説明されます。


この節制の必要性や効果については、精力や年齢、素質・体質などの個人差があるとは思われます。

「肉欲の貪り、耽溺」というほどのものは、生命エネルギーを上昇させるという観点では適切ではないと言えます。

しかし完全な禁欲が説かれるべきかについては、疑問も感じています。

恋愛関係であれ、パートナー同士の関係で、肉欲といった性質が抑えられ、精神性が重視されるようなものの場合には、必ずしも生命エネルギーの実践でマイナスになるものばかりではないのでは?と思われます。


ただチベット密教のツンモであれ、仙道の陽火や小周天であれ、そういった現象を人体で実際に生じさせるためには、少なくともそれに応じる程度には、節制は必要だと思われます。

これは生命エネルギーの現象を生じさせるために、人体の神経生理の条件を整えるということに関係しています。


俗説紹介

チャクラや生命エネルギーの実践に関する俗説、珍説?を紹介します

・精子が焼かれて昇華する?

チベット密教やヨーガの一部では「下丹田のヨーガの火によって精子が焼かれて昇華して、生命エネルギーになり中央気道を上昇する」という意見があるようです。(これに対応して、女性の場合はどういう俗説があるのか分かりません)

下丹田に熱感が発生して、精子は熱に弱いので焼かれてしまい、それに含まれる純粋なエネルギーが上昇するみたいな説です。

これはトンデモ珍説なんじゃないでしょうか?
人体にはそういうビックリなメカニズムは無いと思われます。


下丹田のヨーガの火というのは、これは部分的には、通常なら性のための神経生理のメカニズムが、違ったふうに活動することによって生じる可能性があります。

これは神秘的現象というよりかは、神経科学などの研究対象になり得る人体の生理的現象だと思われます。
神秘がまったくないと断言はしませんが、基礎としてあるのは人体のまだよく分かっていない生理的メカニズムだと思われます。

科学の対象になりづらいのは、生命エネルギーの実践によって生じる意識体験のほうです。


例えるなら、アヤワスカなどサイケデリクスによって生じる脳・神経生理の変化は、神経科学などの研究対象になり得ます。
しかしそれによる意識体験には、科学的・客観的な方法では なかなか追究しづらいものがある ということです。

・第2チャクラの活性化や小周天でモテる?

第2チャクラ(スワディスターナ)は性や愛欲をつかさどるため、これが活性化すると「モテるようになる」「性的な魅力が増す」という俗説があります。

仙道の小周天でも、そういうことを言う人がいるようです。

他にも生命エネルギーの活性化が人体の代謝に影響して、体臭が「バラ」「白檀(サンダルウッド)」「ベチバー」「乳香(フランキンセンス、オリバナム)」などのような香りに変化してモテるようになるみたいな俗説を聞いたことがあります。

こういった俗説については、私はよく分かりません。
これも珍説のたぐいかもしれません。


しかし生命エネルギーの活動が人体の神経生理や人間性に影響して、さらに、それによる印象がなんらかの方法で他者に伝わるという可能性自体は、完全否定するつもりもありません。