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【ヨガの分類②】クンダリーニ系ハタ・ヨーガ。瞑想やムドラーを重視する密教のヨーガ

この瞑想する人noteでのヨガの分類。

健康法としてのヨガ

・クンダリーニ系ハタ・ヨーガ(生命エネルギー、密教のヨーガ)

今回は「クンダリーニ系ハタ・ヨーガ」について。

関連note
用語解説:密教、生命エネルギーなど

クンダリーニ系ハタ・ヨーガ

この瞑想する人noteで主に関心を持っているのが、クンダリーニ系ハタ・ヨーガです。
これは密教のヨーガ、生命エネルギーのヨーガとでも言えるものです。

「気」とか「プラーナ」とか、そういった生命エネルギーの体験がともないます。まぁ要は神秘体験です。

段階が進んだ場合や集中的な実践では、臨死体験やサイケデリクスによるもののような強烈な意識体験、神秘体験を経験することがあるとも言われています。

クンダリーニ(クンダリニー)」というのは、根源的な生命エネルギーとか、体験の中ではもっとも激しいものなどと言われることがあります。


基本的には宗教的、精神的なものを求めて実践されるものです。
このヨーガは、瞑想を重視するラージャ・ヨーガの前段階であるともされます。


クンダリニー、プラーナ、シャクティなど生命エネルギーにアプローチすると謳うものには、色んなものがあって色んな指導者が色んなことを言っているので混乱も見られます。

私としては、このヨーガでは瞑想ムドラーのような特殊なプラーナヤーマ(呼吸法)が重視されると考えます。

関連note:【ヨガの呼吸法】>>ムドラー

ヴィム・ホフ・メソッドの呼吸法のようなものが用いられることもあります。

クンダリニーなど生命エネルギーの体験には、独特な意識ー脳・神経生理の状態が関わっていて、そのために瞑想とムドラーが重視されます。
体験を生じやすくするために、リトリートでの集中的な実践なども採用されることがあります。

関連note:いつかリトリートで瞑想してみたい。イエス・キリストの『荒野の誘惑』はリトリート?


 ちなみにですが数々の凄惨な事件をおこしたオウムは、このクンダリーニ系ハタ・ヨーガ(、チベット密教・後期密教・無上ヨーガタントラ)を実践していました。

日本はおろか先進諸国の中で、もっとも大規模に、そして「強め」にこのヨーガ、生命エネルギーの技法を実践したのがこの教団だと思われます。
オウムというのは理解の難しい異様な現象だったと思われます。

他には関連するものとして高藤聡一郎氏の仙道が目立ちます。


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・体操(アーサナ)は重視されない

一方でこのクンダリーニ系ハタ・ヨーガでは、体操としてのアーサナはそれほど重視されないと考えます。

これについては指導者の間でも意見が分かれるのかもしれません。
古典である『ハタ・ヨーガ・プラディーピカ』には体操としてのアーサナがおさめられているため、重視する人もいるようです。

私はアーサナをただの準備体操以上の価値があるとするのは、意味がなくて時間の無駄だと考えています。

「アーサナ(体操)によってプラーナを操作する」みたいな意見もありますが、私は大した効果はないと考えています。

瞑想(やムドラー)のために時間を確保した方が良いと思います。


ただ瞑想やムドラーをメインとする実践でも、「ヴィパリータ カラニー(逆転のポーズ)」は重視されることがあるようです。
『ハタ・ヨーガ・プラディーピカ』でも言及されています。

これはヨガの体操(アーサナ)による怪我や事故に関して、もっとも悪名高い「頭立ちのポーズ(シルシアーサナ、ヘッドスタンド)」をもっとマイルドにしたようなものです。

このヴィパリータカラニーは、ムドラーであるという意見もあるようです。
この場合には2、3時間など長時間ポーズを維持して、その後に同じ時間シャバアーサナをするというやり方があるようです。

このやり方だと、シャバアーサナの最中に変性意識状態を経験することもあるのではないでしょうか。

しかしそれでも私はまったくやる気がしませんが。
やはり瞑想(やムドラー)のための時間の確保を優先した方が良いと思います。


生命エネルギー体験の段階

クンダリーニ系ハタ・ヨーガは生命エネルギーの実践です。
このヨーガは「内的状態」の体験のためにあります。

チベット密教(後期密教、無上ヨーガタントラ)の特に「究竟次第(ゾクリム)」の修行に含まれる「ツァ(脈管)、ルン(風)、ティクレ(心滴)」の実践もこのヨーガに該当します。

内丹(仙道)も該当します。

おそらくチベット密教のグヒヤサマージャ(秘密集会)。Pixabayで見つけました


背景、伝統が様々なところで実践されてきたために、その情報がかなり錯綜として混乱しているようです。
内丹(仙道)の情報とヨーガやチベット密教の情報を比べても、かなりの違いがあります。

文献の記述や伝承は隠語に満たされ、神秘や迷信に覆われてもいます。

体系的に上手くまとまっているという評判があるのは、チベット密教の「ナーローの六法(ナーローの6ヨーガ)」です。

まぁ、この6ヨーガの説明も謎めいたところが多くて理解が難しいわけですが。


実践者による実際の体験的理解を大雑把に整理して言うと、この生命エネルギーの段階は以下の2つになります。

・ツンモ(ヨーガの火、下丹田の火、霊的な火)の段階

・生命エネルギーがスシュムナーに流入する段階

・ツンモ(ヨーガの火)

基礎になるのはツンモ(ヨーガの火、霊的な火、内なる火)です。内丹(仙道)では「陽火、陽気」などと言われています。

この基礎的な段階はヨーガでの「アパーナ気の逆流」「アパーナ気とプラーナ気の合一」と言うものと関係しています。
内丹では小周天周辺の段階です。

関連note:アパーナ気など生命エネルギーについて


ヨーガの火(ツンモ、陽火)に関しても、色んな人たちによって色んなことが言われています。
私なりの表現だと、このヨーガの火は「内的状態を活性化させる火」「鈍重粗雑な肉体意識・感覚の軛を焼き切る火」とでも言えそうです。

さらに宗教的な表現では「菩提心の火」「エゴ、貪・瞋・痴を焼却する火」とも言えるかもしれません。

この段階で生じるのは「微細(サトル)」なものとも言えそうです。

・生命エネルギーがスシュムナーに流入する段階

このヨーガの一つの目立つ目標は、「生命エネルギーをスシュムナー(中央気道)に流入させること」だと考えています。
これによって「内的状態」を実に体験しやすくなるからです。

これは「ヨーガの火」よりも進んだ段階です。

この段階で生じるのは「霊的(霊性的)」なものとも言えそうです。

この段階は特に「クンダリニー」「内的歓喜」「アムリタ(甘露)」「大楽」といった体験と関係があるとされます。
さらに「(生命エネルギーによる)サマディ(三昧、サマーディ)」の体験があるとされます。


関連note:ヨガのスシュムナー(中央気道)とは。クンダリーニ、バルド、空性大楽