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久しぶりに風を感じたような気がした

すっかり梅雨明けして暑く晴れた日だった。

ほぼ半年ぶりくらいにスタジオに行き、アンプに挿してエレキギターを鳴らした。コロナ禍で暇だったのでついメルカリで買ってしまった新しいエフェクター(strymon El Capistan Tape EchoとBOSS PS-6)を繋いで。やっぱりデカイ音でエレキギターを弾くのは最高だなと思った。

スタジオ後、車の助手席に乗りながらNHK第2のラジオを聞いていた。『社会福祉セミナー 認知症の人の生活を支える「地域で暮らし続けるための支援」』という番組だった。「認知症になったとしても、希望を持って生きることが大事だ」と言っていたのが印象に残った。「希望」という言葉、少し久しぶりに聞いた気がした。そうか希望か、となんだか妙に腑に落ちたような、いま人々の生活のなかで欠けている言葉が言い当てられたような、そんな気がした。

近くのパン屋でアイスコーヒーとクロワッサンとドイツソーセージのランチ。外を見ているとオレンジ色の同じTシャツを着た数人の若者が道路を行ったり来たりしていた。近くの大学の学生だろうか。皆、髪を派手な色に染めたりして風変わりな格好をしており、それぞれ話したりはせずに一定の距離を開けながらぽつりぽつりとゆっくり歩いていた。

少し日が落ちてから荒川に向かい、竿を出した。家に篭って部屋の掃除をしている際に見つけたベイトリールで数年ぶりにキャストをした。最初は久しぶりのベイトリールに慣れずラインが絡まったが、少しすると慣れてキャスティングが楽しめるようになった。川の中域に向かって何度もルアーを投げた。

釣れなかったが、ルアーを投げることは楽しかった。川で人がいないからマスクは外した。夕まずめの川辺に吹く少し涼しくなった風が気持ちよかった。久しぶりに風を感じたような、そんな気がした。

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