人生のパートナーを見極めるための三条件
帰宅してからずっと喉が痛い。思い当たる節はある。友人たちとお酒を飲みながら3時間以上も恋バナをしていたのだ。人を好きになる決め手は何か、だとか、今までの恋愛で一番の「事件」について、だとか、それはもう延々と。人それぞれ一家言あるのがおもしろい。
そうして帰って湯船に浸かりながら、私は大学時代、ある人に教えてもらった「人生のパートナーを見つけるための三条件」を思い出した。当時20歳そこそこだった私は、大学の図書館で、知り合いのイラン人の留学生とばったり出くわした。彼は妻子とともに来日していて、その頃おそらく三十代半ばを過ぎていたと思う。どうしてその話題が出たのかはわからないが、彼は私にこう切り出した。
「キセ、人生のパートナーを見極めるためには3つのことが必要なんだよ」
それまで私は彼とそれほど会話したこともなかったし、ましてや彼が私の恋愛事情や恋愛観を知っていたとも思えなかったのだが、人生の先輩としてなんとなく誰かにそれを伝えたかったのかもしれない。
「1つ目は、一緒に食事すること」
「食事?どうして?」
「人生のパートナーは、君が残りの人生で食事を共にする機会が一番多い相手だ。一緒に食事をしていて何か違和感を感じるような相手とは続かないよ。」
「なるほどね…。2つ目は?」
「2つ目は、一緒に旅行をすること。旅先では、思いがけないことが起きることも多い。そういう時、相手の素が見えるんだ。意外な一面というか。だから旅行は相手を見極めるのに有効なんだよ」
「旅行かぁ。確かにね。で、3つ目は?」
「3つ目は、一緒に仕事すること」
「仕事?」
「ああ、必ずしも一緒にお金を稼ぐってことじゃあない。一緒に何か作業するってことだよ。例えば何かイベントを一緒に企画するとか。家庭を築くっていうのは、ある種の共同作業だからね。一緒に何かをやっていけるかは大事なことなのさ」
彼とその家族が今どこで何をしているかは知らない。大学卒業後、お互い自然と疎遠になってしまった。ただ、私は彼の教えてくれた三条件を今でも覚えているし、生まれ育った国は違えど、この三条件は共通の真理かも、と思うのだ。
ありがとうございます。いつかの帰り道に花束かポストカードでも買って帰りたいと思います。