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「教えること」について

先日とあるカフェで食事をしていると、店の奥から店長と思わしき女性のキーンとした声が聞こえてきました。
「毎回毎回私に聞かなきゃ分かんない?!」
どうやら若いバイトさんに怒っている様子。

店長さんは教育熱心な方なのだろうと思いますが、お腹を空かせて入ったお店でなんだか胃が縮むような気分になってしまいました。

誰かに何かを教えるってすごく難しいこと。
私も仕事中、先輩に教えていただくことばかりで、大変な思いをさせてしまっているなぁといつも申し訳なく感じているところです。

一方で私は保育の現場で働いているので、子どもたちに色々なことを教える立場の人間でもあります。

今日は「教える」について、
私が普段子どもたちを前に意識していることをお話します。

しつけにはエネルギーがいる


トイトレ、食事のマナーから歯ブラシの仕方、お着替えの手順など、大人が子どもに教えることは山ほどあります。
私たち大人が普段当たり前にやっていることを、子どもにもわかるように説明するってすごく大変なことで、相当のエネルギーを使います。
保育現場で働いていると、色々なことを教えた後は身体がぐったりすることが多いです。

最近しつけができない親が多いと言われていますが、もしかすると体力のない親御さんが増えているのかも?と想像しています。
私は普段、なるべく歩いたり運動したりすることで
・体力をつけること
・1日の疲れはなるべく翌日に持ち越さないこと
を心掛けています。

失敗は失敗じゃない


子どもがうっかりコップの水をこぼしちゃった!
というのはよくある場面。
忙しいときや余裕のないときにこれが起こると「あーもう!」とつい言ってしまいそうになります。

モンテッソーリ・メソッドという保育理論においては、上記のような子どもの「うっかり」も、教育のチャンスと捉えています。

水をこぼしたときに、どうすればいいかを教える大きなチャンスということです。

冷静な口調で、
「こぼれたんだね。
じゃあ一緒にふきんを取りに行こう。
こうやって拭けば大丈夫だよ。
使い終わったふきんは、このカゴに入れてね」
とやって見せながら説明します。

面倒臭いと思われるかもしれませんが、こうすることで同じことが再び起こった際、子どもは自ら考え、行動できるようになります。

褒めるなら心の底から!



何かを教えた結果、子どもができたとき
例えばひらがなや漢字を覚えて書けたときなど、「褒めて伸ばす」の精神から大人は
「すごい!」「上手!」と褒めてしまいがち。

私は普段、心の底から「すごい」と思ったとき以外は、むやみに褒めないようにしています。

理由は4つ。
・子どもが褒められ慣れるから
・褒められないとやらない子になるから
・子どもは大人の嘘に敏感だから
・褒められたやり方しかしなくなるから

褒めるって実は子どもを評価してしまうことになりやすくて、自由な発想や行動を制限してしまうこともあるのです。

そして
すごい、かっこいい、きれい、上手
に慣れまくってる子どもは、大人に対してなんか冷めた目をしています。
本心じゃないくせに、の目です。
子どもの心は本当に敏感です。

褒めない代わりに、私はお話を聞くようにしています。
「どうしてできるようになったの?」
「やってみてどうだった?」
「なるほど、そういうやり方もあるんだね」
などなど。

褒められることより、行動や表現に興味を持ってくれることや、たくさん話せる方が子どもにとっては嬉しいことのようです。
結果ではなく、過程を話すことで記憶が定着しやすく、良い行動はどんどん強化されていきます。


叱るときは端的に


冒頭で書いたカフェの店長さんの叱り方で気になったのは、相手に言葉を浴びせ続けることでした。

怒っている雰囲気は伝わりますが、
一体何が問題で怒ってるのか、全く分からずバイトさんは混乱しているようでした。

これは子どもも同じです。
私もやりがちなのですが、言葉が多すぎたり長すぎたりすると子どもは混乱します。
よく分からんまま「分かった」と言っちゃう子もいます。

叱るときは端的にバシッと目を見て、
「それはしないで」

子どもが理解しているようなら
「よし、じゃあ遊びに行こう」
と大人があっさり引いて切り替える。

私はまだまだこれができないこともあるのですが、意識するだけで全然子どもの態度が変わります。
同じ行動をする確率がグンと下がります。
下手に関係を壊さなくて済むのが大きなメリットです。

子どもが教えてくれる


色々書きましたが、私が現場にいて思うのは

子どもたちから教わることのほうが多い

ということです。
私にない柔軟な発想で世界と向き合っているなぁと思います。
そんなやり方あったんだ?!とびっくりさせられることもしばしば。

純粋に「今」を楽しめる能力を兼ね備えた子どもたちだからこそ、大人が「教育せねば!」と変に介入しすぎず、温かく見守っていきたいものです。

また時々、こんな感じのお話をさせてもらえたら嬉しいです。

月に1回程度、お話し会にも参加しているので保育のお話にご興味がある方は遊びに来てくださいね。

お申し込みは不要ですよ〜


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


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