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大家さんの話と、きっかけ。

いま住んでいるマンションは大家さんも住んでいて、私たち家族はよく大家さんに遭遇する。
私は出勤する朝の1回と、娘をお迎えに行った帰りにもう1回。
たいてい1日に2回は大家さんに会っている。
夫も朝、娘と家を出て、軽く大家さんと雑談をしてから保育園に預けに行く。
夫は1回で、娘は朝夕の2回会っている。

頻繁に会うおじさん=大家さん。
このごろ娘は保育園からの帰り、大家さんを探すようになった。
夕方の大家さんは、マンションの周りを掃除していたり、散歩をしていたりする。
「おじさん、いるねー」とか「おじさん、おらんねー」とか、今日の大家さんは何してるかなって探す。
大家さんは「よく歩いてえらい!」「お喋りが上手になって」「おかえり!」と声をかけてくれるから、娘も手を振ったり、挨拶をしたり、大家さんに会えると嬉しそうで、わたしも大家さんに会うと嬉しい。


大家さんは家庭菜園が趣味みたいで、定期的に取れたての野菜や果物を、エントランスに積んでくださる。

ゆずがたくさん出来ました。無農薬です。
朝採れのきゅうりです。お好きな方どうぞ。
手書きのメッセージ付きで。

ゆずはジャムにさせてもらい、この前はちょうどお昼に冷やし中華を食べようと思っていたから、朝採れきゅうりを1本いただいた。

わが家はそんな大家さんのマンションに住まわせてもらっている。


娘が1歳半ばくらい、私がキッチンで料理をしていたときのこと。

ここは対面キッチンで、キッチンの前に小さいカウンターが付いている。
娘がカウンターの下で何かやってるなと思っていた。キッチンに立っていると、カウンター下は死角になる。

料理の手を止めて、娘の方へ行こうと思ったその瞬間、ビリビリビリッ。
嫌な音が聞こえて、カウンターへ回り込むと、娘が壁紙をはいでいた。

ちょっと待った待った!だめよ!

すぐに止めたけど、もう広範囲に壁紙がはがれている。どうしよう。

問い合わせをしてみると、退去のときに、まとめて管理会社を通して修繕費をお支払いすることになった。

娘が壁紙を剥がしてからは1ヵ月くらい、朝さわやかな笑顔で挨拶をしてくださる大家さんの目がしっかり見れなかった。申し訳なさ。
ごめんなさい。

いまはお絵描きブーム。
突然「かきかきしよぉっ!」と筆ばこから色鉛筆を出してお絵描きがはじまる。
本人には紙からはみ出さないようにという気持ちはあるようで、紙の上をくるくる。だけどテーブルにもはみ出してしまう。まだ難しいよね。テーブルはいいことにしよう。
床に紙を広げて、かきかきしよっが始まると、ちょっと待った、床はやめて…。

ひとり暮らしをしていた時とは比べ物にならないくらいの傷と汚れで、なんか壁紙うっすら汚れてない?拭いておこう。あああこんなところに汚れが。拭いておこう。
気を付けているつもりだけど、あと数年住んだら、この家はどうなっているんだろう。

娘にはのびのび遊んで欲しい。わたしものびのび見守りたい。
子どもの成長を見守ってくださる大家さん。ここは賃貸だから、退去のときは原状回復するだけ。
でもやっぱり住んでいて、ピリピリしてしまう。
これ以上傷と汚れが増えませんように。

家を買おうと思ったきっかけのひとつ。

ずっとここに住み続けたいと思っていたくらい、居心地が良かった。
子どもを見守ってくれる人がご近所にいるありがたさを、大家さんとの交流で知った。
新しい家でもご近所さんと、良い関係が築けたらいいなと思っている。