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無意識の発言に宿る「ガラスの天井」

ありがたいことに学生時代は自分が女であるがために我慢しなくてはいけない、と感じる機会はほぼなかったのですが、社会人になってからいわゆる「ガラスの天井」を感じる機会がかなりあります。とはいえ、仕事上で感じることはほぼなくて、それよりも同僚や仕事上で出会う人とのカジュアルな場所(飲み会やご飯の場など)での会話で、ジェンダーイクオリティーについて考えさせられることがあります。さすがに今の時代あからさまに差別をする、と言うことはあまり多くはありませんが、無意識の発言に宿る女性蔑視や「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」と言う社会の圧に辟易します。そして、悲しいことに、それはなかなか海外の友達との会話で感じることは比較的少なくて、日本社会で特に色濃く残っている、と言うことが心を重くします。

「女の人って25すぎたら後は下り坂じゃん」
社会人になる直前かなった後かに同世代の男の子に言われて衝撃だった言葉です。私はその時猛烈に腹が立ち、誰でも歳は取るし、そんな考え方は悲しすぎる、私は25の時は25の、35は35の、50は50の美しさがあると思うし、そう言う自分でありたい、と反論しました。そして、その考えは今も全く変わっていません。27になったけど、そりゃ18の時の方が可愛くてみんなちやほやしてくれたかもしれないけど、18の自分にはその時の良さがあったけど、27の自分にはあの時になかった学びと経験が自分を美しくしてくれてると思っています。つい最近も、自分に向けてではないけれど、私も同席しているときに、知り合いの男性が二人で話していて女性の芸能人を見て「30すぎたらおばさんだもんな、やっぱ若い子には勝てないよな」と言っているのを聞き、まだそんなこと言っている人がいるんだ、と改めて衝撃を受けました。フェミニストと言われればそうなのかもしれませんが、正直私は男性に対して年齢という一つの基準だけで優劣をつけていることを聞いたことがないですし、なんで女性に対してそんな言説がまかり通るのか謎です。社会全体がその風潮を作り出し、女性側もそう思い込み生きていく世界ってとっても悲しくないですか?

「そんなにバリバリ仕事して、海外転勤もあって、結婚願望とかないの?」
余計なお世話ナンバーワンの質問がこちらですが、海外赴任の多い総合職についている女性は絶対聞かれたことある質問でもあると思います。逆に海外赴任の多い男性でこの質問を聞かれたことがある人はどれほどいるのでしょうか。私の同世代のバリバリ働いている女の子たちは、結婚して旦那さんを連れて行っている人もいるし、単身赴任をしてそれぞれの場所で頑張っている人たちもたくさんいます。今はそういう時代なんですよ、とそういう質問をしてくる人たちに言うと、いいなあそう言う人生が良かった、俺も連れて行って欲しい〜とか言いますが、はっきり言いますがそう言っている人の98%は、変なプライドで、妻の赴任についていく人生を選ばないと思います。人生でどんなチョイスをするかは個人の自由だと思いますし、奥さんを連れて海外赴任をされている男性、単身赴任されている男性に対して、どれもいろいろな苦労があると想像し深い敬意を払っています。どんなライフスタイルに対しても素敵な面と大変な面があることを理解してくれればいいのにな、といつも思うのに、こちらは頑張って仕事をしていると言うだけで、なんだか人生を諦めてるのもったいないよ的なテンションで話しかけれらることも多いのです。不思議。

「うちの会社はお局さんが上に詰まってってさ〜」
これは男女関係ない話なのかもしれないのですが、職種によって人に対して自分が優位に立とうとする意識で話している人にも辟易してしまいます。どの仕事もいろいろな職務の人がいるから仕事が成り立つわけで、それがどのアプローチなのかは違えど職業に優劣なんてないと思います。お局さん、と言う言葉はその意識をギュッとまとめたニュアンスが詰まっている気がして苦手です。女性の社会進出を謳いながら、長い職務経験のある女性に対してdiscriminativeな言葉が存在していること自体が社会の無意識の価値観を体現していますよね。

自分が学生時代、同じように学部学科を卒業して、一般職につく女の子に対して、なんでだろう、もったいない、と思っていたことがありました。なんでここまで頑張って勉強してきたのに、と。今は自分のライフプランをしっかり考えた上でそう選択していた彼女たちを尊敬するし、私のその思いはある意味傲慢で、それこそ職種に対して優劣つけた考え方だったのだと思います。ただ、私がその時に感じた違和感は、同じ学部学科で学んで同じように家庭を持ちたいと思っていて、プライベートな時間を大事にしたい、と思っているどれだけの男の子たちが自分のキャリアのペースを抑えようと思ったのだろう、ということです。女の子たちはきっと外圧があったわけでも、誰に言われるわけでもなく、自分でその道を選び取り、逆に男の子たちは自分が望む望まないにかかわらず、キャリアを選ばざるを得なかったのかもしれません。

もうやめませんか?はっきり言ってダサいし。もっと自由に、個人がリラックスして働いたり人生を選べる社会になるといいな。そして優劣をつけたり、マウントをとったり、見下したりするのではなくて、あんな生き方もこんな生き方も素敵だな、って思う方がずっと自分の人生が豊かに輝く気がしませんか?

記事を読んでいただきありがとうございます!日々の中で感じたこと、考えたことをつらつらと書きとめていきたいと思います。