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中国スタートアップ 資金調達Weekly Report_2021/04/16-2021/04/22_16w

こんにちは!
中国大好きな竹内雄登です。
現在は、SPEEDAというデータベース向けに中国産業調査をしていますが、前職は、ソフトバンクの投資部門でベンチャー投資をしていました。

今年の2021年から、ITjuziというデータベースの情報をもとに、Weeklyで中国スタートアップの資金調達状況について発信することにしました。
このWeekly Reportでは、主に以下3点についてまとめていきますので、お時間がない方は気になる箇所だけでも、ぜひご覧ください。

・各週の資金調達案件まとめ
 - 資金調達件数(日別、業界別、都市別、ラウンド別)
 - 投資金額(日別、業界別、都市別、ラウンド別)
 - 資金調達実施企業リスト
・上記資金調達により、新たにユニコーンになった企業
・投資案件数上位10の投資家

では、早速本題に入りたいと思います。

1. 日別 資金調達件数・金額

2021年の第16週目である4月16日〜4月22日における、日別の資金調達状況を見ていきます。

[資金調達件数]
4月16日〜4月22日の週は、合計88件となりました。
なお、1月1日からの資金調達件数の累計は1,622件となりました。

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[調達金額]
非公開や曖昧な情報を除き、公開されている情報のみを集計したため、あくまで参考としてのデータですが、4月16日〜4月22日の週では、公開金額合計で98.3億元の資金調達が行われました。
また、1月1日からの調達金額の累計は2,526.0億元(約4.04兆円)となりました。なお、今週の88件のうち57件が金額非公開のため、単純計算すると、今週の調達金額は集計できた金額の約3倍の規模になると考えられます。

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2. 業界別 資金調達件数・金額

では、業界別に見ると、どうなっているのでしょうか。

[業界別 資金調達件数]
今週の88件の内訳を見ていきます。
業界別に見ると、先週に引き続き、法人向けサービスの資金調達件数が最も多く、合計20件となりました。次いで、医療・健康、Eコマース、ローカルライフサービスが上位に入り、上位4業界だけで今週の件数全体のうち63.6%を占める結果になりました。

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1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、上位4業界の医療・健康、法人向けサービス、先進製造、ローカルライフサービスだけで、全体の57.8%を占めています。

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[業界別 調達金額]
公開されているものだけのため、あくまで参考程度のデータですが、今週はEコマース、法人向けサービス、医療・健康、先進製造の順に多く、上位4業界で全体の91.9%を占めています。

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なお、Eコマースが今週の1位になった理由は、深圳を拠点にするEコマース関連企業の行云集团(Xingyun Group)がシリーズC2(C+)にて6億米ドル(39.0億元)を調達したためです。

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2015年創業の同社は輸入商品の仕入れおよび卸売向けに越境ECプラットフォームを運営しており、具体的にはブランディングサービス、輸入品代行サービス、金融サービス、国際物流サービスなどによるワンストップのグローバルECサービスを提供しています。同社のHPによると、世界40以上の国・地域における2,000を超えるブランドをカバーしており、SKUは15万を超えているそうです。また、国内の16万を超えるオンライン・オフラインの小売店が同社のサービスを利用しており、2019年のGMVは135億元を突破したようです。

今回のラウンドでは、アリババの創業者であるジャック・マー氏が設立した雲峰資本(YF Capital)がリードインベスターとして資本参加しました。アリババグループの投資件数・金額が減少傾向にある中で、同VCは活発に投資をしています。

話を戻して、1月1日からの調達金額累計を業界別に見ると、医療・健康、Eコマース、物流、自動車・交通の順に多く、上位4業界だけで全体の60.2%を占めています。

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3. 都市別 資金調達件数・金額

続いて、都市別の内訳を見ていきましょう。

[都市別 資金調達件数]
今週の88件を都市別に見ると、北京、上海、深圳、蘇州の順にランクインし、上位4都市だけで全体の68.2%を占める結果となりました。

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1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、上位4都市の北上深杭(北京、上海、深圳、杭州)だけで66.6%を占めています。
また、先週に引き続き、上位10都市のみで累計投資件数の約85%を占めていることから、投資は一部の都市に集中していることがわかります。

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[都市別 調達金額]
公開されているものだけのため、あくまで参考程度にご覧いただきたいのですが、今週は深圳、北京、上海、蘇州の順にランクインしました。深圳が1位になった理由は、上記の行云集团(Xingyun Group)の資金調達によるものです。

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1月1日からの調達金額累計の内訳を見ると、北京、上海、深圳、長沙に集中していることがわかります。次いで、先週に引き続き5位以降は蘇州、広州、杭州が競り合っています。

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4. ラウンド別 資金調達件数・金額

ラウンド別に見るとどうなっているのでしょうか。

[ラウンド別 資金調達件数]
今週の88件では、シリーズAが37件で1位、シリーズBが15件で2位になりました。これら上位2つのラウンドだけで全体の59.1%を占めています。

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1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、先週に引き続き、シリーズA、戦略投資、シリーズBの順に多いです。シード/エンジェルラウンドの比率は日に日に上昇しており、総じてアーリーステージの企業による資金調達が活発であることがわかります。

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[ラウンド別 調達金額]
公開情報のみをもとに集計した調達金額をラウンド別に見ると、シリーズCが最も多い44.3億元となり、全体の45.0%を占めています。
次いで、シリーズDが21.3億元で2位となり、全体の21.7%を占め、上位2つのラウンドで全体の66.7%を占める結果となりました。

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1月1日からの調達金額累計の内訳を見ると、戦略投資、シリーズD、シリーズAの順に多く、上位3ラウンドでの合計は全体の59.3%を占めています。

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5. 今週、新たにユニコーンになった企業

今週、新たにユニコーン企業になった企業はなく、中国のユニコーン企業数は2021年4月22日時点で287社*になりました。
*ITjuziが公開しているデータのため、その他データベース等がまとめている数値と異なる可能性があります


6. 今週、資金調達を行った企業リスト

2021年4月16日〜4月22日に資金調達を行った企業は以下の通りです。

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今週気になった案件は、蘇州の矩陣品牌管理(蘇州)有限公司による資金調達です。同社は蘇州や上海周辺を中心にコーヒーチェーンの"algebraist coffee(代数学家珈琲)"を運営しています。

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2015年に設立された当初は、MatrixCoffee(矩陣咖啡)というブランド名で展開していましたが、2019年に現在のブランド名に変更しています。36Kr Japanによると、algebraist coffee(代数学家珈琲)の出店状況は以下とのことです。

現在、約30店舗ある直営店のほとんどが江蘇省蘇州市内にあり、そのほかも同省内や上海、浙江省エリアの一級、二級都市に集中。どの店舗も黒字を達成している。直営店を2021年末までに100店以上に増やす計画だ。

出所:36Kr Japan

本件が気になった理由は2つあります。
1つ目は、今年の2月頭に破産申請を行っていたluckin coffeeが、先週4/15に既存株主から合計2.5億米ドルの資金調達に成功しており、中国のコーヒー市場が再度活性化している印象を持っているためです。なお、同社は調達した資金で債務履行を行い、事業再生を狙うようです。コーヒー市場が活性化してきた背景として、個人的には、コロナの抑え込みに成功し、オフィスに出社するビジネスパーソンが増えたためでは?と思っています。

2つ目は、蘇州という都市が気になっているためです。北京や上海に注目が行きがちですが、蘇州という都市の発展ぶりには要注目です。なお、現時点での2021年におけるスタートアップ投資の累計件数では6位、累計金額では5位にランクインしています。

統計によると、蘇州市の2020年の1人当たり平均年収は前年比4.1%増の6万2582元(約104万1520円)。北京、上海、広州、深センの4都市に次ぐ5位にランクされている。蘇州市内では都市と農村の格差も比較的少なく、都市部の平均年収は前年比3.4%増の7万996元(約118万1550円)、農村部は6.9%増の3万7563元(約62万5142円)だった。

蘇州市のGDP(域内総生産)は2020年に2兆170億5000万元(約33億5688億円)に達し、中国でGDPが2兆元(約33兆2849億円)を超えた6番目の都市。市内で活動するハイテク企業は2020年末で過去最高の9772社に上り、1線都市の4市に次ぐ5位にランクインされている。

出所:Yahoo!ニュース


7. 今週末時点での投資件数TOP10の投資家

2021年の投資件数TOP10の投資家は以下の通りとなりました。
※順位の矢印は先週との比較を表しています

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テンセントは今週6件の投資を行い、先週に引き続き1位にランクインしました。今週は、ゲーミング、法人向けサービス、ローカルライフサービスにそれぞれ2件の投資がありました。

なお、今週話題になった美団(Meituan)の資金調達は既存株式の売り出し・第三者割当増資・テンセントによる新株引き受けといった内容になっており、テンセントは引き続き支援を強化しています。

当該資金調達の詳細は以下、美団(Meituan)公式のプレスリリースをご覧ください。

また、セコイアチャイナも先週同様2位にランクインしました。
今週の投資案件は7件となっており、法人向けサービスへ4件、医療・健康に2件、農業に1件の投資をしています。


以上、今週の中国スタートアップ資金調達レポートでした。

今後も毎週レポートしていきたいと思いますので、よかったらスキとフォローをお願いします。


お問い合わせは以下にて受け付けております。
竹内 雄登(Yuto Takeuchi)
Twitter:https://twitter.com/yuto_takeuchi01

注:
・本noteは速報の位置付けとしています
・事実を整理し、定期的に投稿することを目的としていますので、特定企業の分析や各社の投資傾向に関する情報が薄くなることはご了承ください
・本noteにおける中国スタートアップは、中国を拠点とする非上場企業を指します
・投資件数・金額およびその他データは本note投稿時点にITjuzi上で集計できたものを反映していますので、後日ITjuziのデータが修正・削除された場合、Weekly Reportの前後で数値のずれが発生する可能性があります。ずれが発生した場合、遡及して過去分を修正しませんので、ご了承ください


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